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30. レンダリング ステートセットとレンダリング出力

キャラクターと背景を別々にレンダリングするためのステート設定と、アニメーションを連番ファイルにレンダリング出力する方法を解説します。


こんにちは。
このビデオでは、ステートセットを使って、キャラクターと背景を別々にレンダリングするための設定と、複数フレームを連番ファイルにレンダリング出力する方法を解説します。

事前に作成した、こちらのアニメーションシーンを使用して説明していきます。
結果はArnold RenderViewで確認しますが、速さ重視のためにサンプル数は下げた状態で作業していきます。

メニューバーのレンダリングからステートセットを開きます。
ステートセットとは、シーンに対する変更を記録して、表示やレンダリングをすばやく行えるようにできる機能のことです。

まずはキャラクターの素材用のステートを作成していきます。

デフォルトで、State01というステートができていますので、こちらをCHという名前に変更しておきます。
右クリック>名前変更で、ステートの名前を変更できます。

次に、BGのマット素材が欲しいので、BGモデルをコピーして、新規レイヤーに入れます。名前はBG_matteにします。

コピーしたマット用のBGモデルを選択して、ArnoldPropertiesモディファイヤを入れます。
パラメータの、GeneralPropertiesの中のGeneralオンにし、その中のMatteをオンにします。
Matteをオンにすると、そのモデルがある部分がこのように真っ黒でレンダリングされるようになります。

一旦キャラクターモデルとBG_matteレイヤーを非表示にした状態で、ステートセットのレコーディング開始のボタンを押します。
この状態で変更を加えると、その情報をステートセットに記録することができます。
キャラクターモデルレイヤをオン、bgレイヤをオフ、bg_matteレイヤをオンにしてから、もう一度レコーディングのボタンを押し、記録を終了します。

こちらの矢印のアイコンを押すと、シーンの表示を、記録した状態に切り替えることができます。
もう一度押すと非アクティブになり、元の状態に戻ります。

キャラクターの素材のステートができたので、背景素材のステートも作成していきます。
まずは新規ステートを作成し、「BG」にリネームします。
キャラクターを非表示にしたいので、キャラクターのモデルを全てコピーします。
レイヤー名は「ch_MWK_mdl_invisible」にしておきます。
コピーしたキャラクターモデルにArnoldPropatiesモディファイヤを追加し、GeneralPropertiesのVisibilityをオンにして、Camera(Primary Rays)をオフにします。これで、モデル自体はレンダリングには映らなくなりますが、モデルの影や金属などへの映り込みはレンダリングされるようになります。

レイヤーの表示、非表示の状態を元に戻してから、レコーディングを開始ボタンを押します。
キャラクターモデルレイヤをオフ、invisibleのレイヤをオンにし、記録を終了します。
これで、BGのステートが作成できました。

最後に、影素材用のステートを作成していきます
BGステートを右クリックして、クローンを押します。BGのステートが複製できましたので、これを「shadow」にリネームします。
マテリアルエディタで、「Map to Material」を作成します。次に「Shadow Matte」のマップを作成して「Map to Material」につなぎます。

レコーディングの開始ボタンを押し、BGのモデルに「Map to Material」を適用します。適用出来たら、記録を終了します。
こちらのボタンを押して、レンダービューの表示をアルファに切り替えてみると、影だけレンダリングされていることがわかります。

それぞれの素材用のステートセットが作成できたので、
アニメーションを連番ファイルとして出力していきます。

レンダリング設定を開き、開始フレームと終了フレームを設定します。
テストレンダリングなので、サンプルはすべて最低にしておきます。

次に、ステートセットウインドウでメニューから「ステート」>「レンダリング出力」を押します。
パスを任意の場所と名前に変更します。
トークンを使うと、ステートの名前や、日付などの情報を簡単に追加することができます。


パスの設定が出来たら、「パスを設定」を押します。
この時、ステートセットタブの一番上の「ステートセット」と書かれた部分を選択した状態でパスを設定すると、全ステートに記録されます

レンダリングするステートを選びます。
「ティーポットに目」のアイコンがオンになっているステートがレンダリングされます。
レンダリングの準備ができたので、メニューの「ステート」>「すべてのステートをレンダリング」でレンダリング実行をします。

指定したフォルダを見てみると、連番ファイルの出力ができていることがわかります。
ステートセットと連番出力の方法についての説明は以上になります。

データダウンロード

※シーンデータの作成は「3ds Max 2021」と「3ds Max 2022」を使用しています。
「1. 基本操作 インターフェース概要」から「15. 番外編 スペースワープオブジェクトとワールド空間モディファイヤ」までは3ds Max 2021で作成しています。
「16. リギング Bipedの作成」からは3ds Max 2022で作成しています。

ご利用上の注意
・Maxシーンデータをはじめとする全てのデータ及びキャラクターは著作物であり、著作権はそれぞれの著作権者に帰属します。
・ダウンロードしたデータは学習用として個人で使用することができます。
・各種ネットワークやメディアを用いてデータ(改変前及び改変後)を2次配布することは、営利目的、個人使用に関わらず禁止いたします。
・非営利目的の場合に限り、本データ(改変前及び改変後)を使用した制作物(静止画、動画等)を各種ネットワークやメディアを通して公開することができます。
免責事項
本データを使用した結果、損害や不利益等が発生した場合、当社は一切責任を負えませんので予めご了承ください。
あくまで自己責任においての使用をお願いいたします。
株式会社ジェットスタジオ
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株式会社ジェットスタジオ

監修:株式会社ジェットスタジオ 赤崎弘幸
制作:株式会社ジェットスタジオ 稲葉麻友・小原孝介

ジェットスタジオは2001年にスタートしたCGプロダクションです。設立以来、ゲーム、パチンコ、映画、CM等で使用される様々な3DCGコンテンツを時代に先駆けた新しい技術や表現方法を使って開発しています。2011年にはベトナムのホーチミン市に「JET STUDIO VIETNAM」を、2018年にはロサンゼルスに「JET STUDIO U.S.A.」を設立し、グローバル × クリエイティブという新たなビジネスモデルに挑戦しています。
同社のダンジョンゲーム『AKAPAN NITE(アカパンナイト)』の制作でも3ds Maxが使用されています。
https://akapannite.com/

HP:http://jetstudio.jp/

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