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29. レンダリング Arnoldのレンダリング設定

ノイズの少ないきれいなレンダリング結果を出力するため、Arnoldのレンダリング設定を調整します。


こんにちは。
このビデオでは、ノイズの少ないきれいなレンダリング結果を出力するため、Arnoldのレンダー設定を調整します。

前回ライティングで使用したスタジオセットを使用していきます。

モディファイヤの名前の上で右クリックをし、「ビューポート内でオフ」をすると、レンダリングの時のみモディファイヤをオンにするようにできます。
ターボスムーズなど、シーンの重さにつながるモディファイヤは、この設定をしておくと良いでしょう。

レンダリング設定を開きます。
まずは、出力サイズを変更します。今回は、800*800にしておきます。

一度デフォルトの設定でレンダリングしてみましょう。
このようにノイズの多い画像になってしまっています。

レンダリング設定でArnoldRendererタブに切り替えます。
こちらのSampling and RayDepth内の数値がレンダリング画像のノイズの量に影響しています。
では、どのサンプルをどれだけ上げればいいのか
その適正値をAOVという機能を使って探っていきましょう。

AOVsタブに移動し、こちらのボタンを押してAOVの設定のウインドウを開きます。
AOVはレンダリングされた画像を要素ごとに分解して表示できる機能です。
AOVを使用することで、どの要素にノイズの原因があるのかを特定することができ、
必要な所にだけサンプル数を上げることで、レンダリング時間が無駄に増えることを防ぐことができます。

AOVsWizardで、All in One FileとCombinedのチェックを外し、下にあるAdd to New Fileを押します。
これで、AOVが追加されました。
CoatとVolumeは今回のシーンには含まれていないので、ごみ箱のアイコンを押して削除しておきましょう。
シーンには含まれていますが、ノイズ除去には関係のないので、Sheenの要素も削除しておきます。

今回使用するAOVは、
光が当たっている部分を表す、diffuse
反射部分を表すspecular、
サブサーフェスを使用している部分の、sss
透過された部分の、transmission
以上の4つです。

directが直接光、indirectは間接光を指します。

レンダービューの、こちらのプルダウンで先ほど設定した
AOVごとに表示を切り替えることができます。
AOVごとにノイズの量が違っているのがわかるかと思います。
では、各要素ごとにサンプル数の調整をしていきましょう。

Cameraより下のパラメータはCameraのサンプル数を基準に増えていくので、
まずはCameraのサンプル数を設定します。Previewのチェックは外しておきます。
Cameraのサンプルを上げることで、全体的な品質を上げることができ、輪郭のカクつきが軽減されます。

レンダリングの時間を短くするために、一度すべてのパラメータを1にしてレンダリングしてみます。

比較のためにこちらのアイコンでレンダー画像のスナップショットを撮っておきます。

今度はCameraのサンプルを3にしてみます。
比較するとノイズ自体の細かさや、オブジェクト境界のジャギー、髪のディティールの滑らかさが変わったのがわかると思います。
Cameraのサンプルが決まったら他の項目の設定をしていきます。

次はDiffuseの調整します。Diffuseはdiffuse_indirectに影響があるので、
diffuse_indirectを表示します。全体的にノイズが多いので、
気にならなくなるまで上げていきます。
5まで上げるとノイズが気にならなくなりました。

Diffuseのサンプル数は決定しましたが、ほかのサンプルを調整するときに数値が入ったままだと
レンダリングに時間がかかってしまいますので、一度1に戻しておきます。

続いてdiffuse_directとspecular_directのノイズを減らしていきます。
diffuse_directとspecular_directはレンダラーのサンプルではなくライトのサンプル数に影響されます。
ライトごとにサンプルを変えられるので、レンダー画像を確認しながら調整します。
メニューバーのツール>ライトリストを開くと、シーンに存在しているライトをリストで表示することができます。
こちらでライトのパラメータを変更していきましょう。
メインライトを4に、それ以外を3まで上げました。

Diffuseの時と同様に、サンプルを1に戻します。

Speularはspecular_indirectに影響があります。
Diffuseの時と同様にspecular_indirectのノイズが気にならなくなるまで数値を上げましょう。
今回は4くらいで問題なさそうです。

Transmissionは目などの透明部分のノイズに影響します。
今回は4まで上げました。

SSSはサブサーフェスを使用した部分のノイズに影響します。
半透明なものを表現するために、他よりも多いサンプル数が必要になります。
8くらいまで上げるとノイズが気にならなくなりました。

一番下のVolume Indirectはエフェクトなどを使用した際のノイズに影響しますが、
今回は使用していないので数値は0にします。

これでそれぞれのサンプル数が決定しました。
1にしていた各サンプルを決定した数値に戻します。
ライトのサンプルも戻しておきましょう


続いてRay Depthの設定をしていきます。

Ray Depthは光が何回反射や屈折をするかを決める項目です。
数値が増えるほど反射や屈折の回数が増え、レンダリング時間も増えます。

Diffuseは光の拡散の回数で、
部屋のライティングなどの際に数値を上げることで、部屋の隅まで光が届くようになります。

Specularは鏡面反射の回数で、
数値を増やすことで、合わせ鏡の様に鏡像の中の鏡像を表現することができます。

Transmissionは屈折の回数で、
ガラスが何枚も並んだシーンなどは、この数値を上げないと途中で透過がされなくなってしまいます。

Volumeは雲や煙などのボリュームエフェクト内での反射回数です。

以上の反射や屈折の回数は足し算で計算され、
1本の光線あたりの最大回数はTotalの数値で制限されます。

デフォルトの設定ですと、Transmissionの数値が大きくなっていますが、
今回のシーンではそんなに屈折回数は多くないので、
Diffuse、Specular、Transmissionをそれぞれ2にします。

これでレンダー設定ができたので、最終の絵をレンダリングをしてみましょう。
それぞれのAOVのノイズが少ない画像を出力できました。

Arnoldのレンダー設定についての説明は以上になります。

データダウンロード

※シーンデータの作成は「3ds Max 2021」と「3ds Max 2022」を使用しています。
「1. 基本操作 インターフェース概要」から「15. 番外編 スペースワープオブジェクトとワールド空間モディファイヤ」までは3ds Max 2021で作成しています。
「16. リギング Bipedの作成」からは3ds Max 2022で作成しています。

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株式会社ジェットスタジオ
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株式会社ジェットスタジオ

監修:株式会社ジェットスタジオ 赤崎弘幸
制作:株式会社ジェットスタジオ 稲葉麻友・小原孝介

ジェットスタジオは2001年にスタートしたCGプロダクションです。設立以来、ゲーム、パチンコ、映画、CM等で使用される様々な3DCGコンテンツを時代に先駆けた新しい技術や表現方法を使って開発しています。2011年にはベトナムのホーチミン市に「JET STUDIO VIETNAM」を、2018年にはロサンゼルスに「JET STUDIO U.S.A.」を設立し、グローバル × クリエイティブという新たなビジネスモデルに挑戦しています。
同社のダンジョンゲーム『AKAPAN NITE(アカパンナイト)』の制作でも3ds Maxが使用されています。
https://akapannite.com/

HP:http://jetstudio.jp/

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