トレンド&テクノロジー / アニメーションの作り方
第1回:何故アニメーションは面白いのか?

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© 東映アニメーション・ニトロプラス/楽園追放ソサイエティ2
© 東映アニメーション・ニトロプラス/楽園追放ソサイエティ2

この記事について

みなさん、こんにちは!
突然の質問ですが、好きなアニメーション作品は何ですか?

私は、近年のアニメーション作品が多すぎて追い切れていない状態ですが(笑)、楽しいやスゴイ!と思える作品がたくさんあると思います。

みなさんは不思議に思ったことはありませんか?こんな面白い作品はどうやって作られているのかな?と。
このページをご覧になっている方の多くは、アニメーション制作の裏側がどのようになっているのか興味をお持ちのことでしょう。私はアニメーション制作に20年以上(年齢がバレちゃいますねw)携わってきましたので、その経験を活かし、アニメーション作品の制作過程についてご紹介させていただきたいと思います。

アニメーションには様々なジャンルと制作手法がありますが、この記事では、テレビや劇場で放映される一般的なアニメーション作品の制作フローを例にあげています。
私が経験したこの20年だけでも色んな技術が発展し、ワークフローも複雑化してきました。この記事が初めて公開された2017年から色々と状況が変わっていますので、今回お届けするものは現在の状況にアップデートしたものになります。

何故アニメーションは面白いのか?

やっぱりストーリーが大事?

『良い作品』とはなんでしょう?
魅力的に感じるキャラクターや世界観だったり、ストーリが面白い、音楽が好み、という点が挙げられると思います。
もちろん、「魅力的なキャラクター」と「面白いストーリ」は不可欠ですが、キャラクターがカワイイ/格好よくて、ストーリが面白ければ全てヨシ!という訳でもありません。

ストーリが突飛なものであれば、「気になる!」という気持ちは増すかも知れないけれど、それだけで「面白い!」という気持ちに結びつくとは限らない。
逆に、ありきたりなお話でも、ちょっと変わった視点から物事を語られると、すごく新鮮な感覚を味わえることがあります。お話が進むにつれ「こう来たか!」と思わせるような展開があったり、予想を裏切る結末にたどり着くならば、これはもう「面白い!」と感じる確率は大ですよね!

自分が見ている作品に、自分の実体験や知識と重ねられる部分があったりすると、さらに共感度がアップすることもありまよね。

そうです。
面白い作品を作るためには、「演出」がとても大事なのです。お話しをどう語るのか、観客がどう理解してどう感じるのかを考えながら、どういう切り口で展開を見せるのかなどしっかり考えていく必要があります。

面白いストーリーと切り口以外に何が必要なのか?

それでは「ストーリーをどう語るのか」以外には何が必要なのか。

ストーリが意図した通りに伝わるためには、「絵としてどうしてみせていくか」を考える必要があります。
キャラクターと世界観のデザインも大事ですが、「こういう作品を目指そう」という作品全体のイメージを捉えることがとても大切です。この「作品全体のイメージ」を念頭に置いて、ストーリ展開と共に出てくるキャラクターや場面が適格に且つ魅力的に映るように「どういう風に見せていくのか」という絵としての演出も必要なのです。

「お話しをどういう風に語るのか」と「絵をどう見せるのか」という方向性が決まったならば、「どの方法で作っていくのか」かを取捨選択していくのが大事なポイントになります。
こういうお話とこういう世界観を見せたいので、どの手法で、どのワークフロー(制作の工程)で、どのツールを使うのかを考え、作り方を決めていきます。それにどんな人材が必要なのかも考えます。全体の予算とスケジュールは制作手法やワークフローの選択に大きく影響しますが、まずは作品の方向性に見合ったものを選ぶのことが大事でだったりするんですよね。

ということで、「なにをどう見せるのか」「どういうイメージの作品を目指すのか」「どうやって作るのか」などが全て「面白い作品」に繋がる鍵となるのです。

『怪獣デコード』©円谷プロ・東映アニメーション
『怪獣デコード』©円谷プロ・東映アニメーション

アニメーションの分類

商業用と個人制作による分類

アニメーション作品は、大まかに言えば、「商業用のアニメーション」と「個人作家」の作品のふたつに分けられます。
商業アニメーションは、皆さんがよく目にするテレビシリーズ、劇場作品やオンデマンド配信の作品の多くを含みます。
もう片方は、個人(あるいは少数のグループ)が制作し、商業化をあまり意図しておらず、表現の一環としてアニメーションを用いている作品を含みます。制作手法やワークフロー(制作の工程)も商業のアニメーションより自由で、簡単に言えば、芸術性の高い作品のことを差します。
いずれにしても、見る側を魅了してしまうほどの「フォース的な何か」があるわけなんですが、どうしてそこまで「面白い!」と思ったり「もう一度見たい!」と思わせることができるんでしょうか。そんな作品がどうやって作られるのかを知りたいですよね?
この記事では基本的には、制作手法と工程がある程度定まっている商業用のアニメーション制作にフォーカスを当てていきます。

作画とCGの割合による種類分け

商業用のアニメーションにフォーカスを当てていることを前提にお話ししますが、作品のテイストや絵柄の方向性を決める段階で、手描きの手法がメインの作品なのか、CGなどのデジタルツールを最大限に駆使したいのか、手描きとデジタルをどの割合でコンビネーションするのかなどを考えていきます。それによって、どの制作のワークフローを辿っていくのかが変わってきます。
この観点から、作画とCGの割合でアニメーションの作品を3つに分類することができます。

1) 作画メインの作品

キャラを含めて、作品内で動くもののほとんどが作画で描かれています。
背景の美術は手描きのものが多く、背景やメカ部分にCGのサポートが入っていることもあります。実写撮影をされたものをベースに作画をされたロトスコープ作品もあります。

例を挙げるとしたら、『鬼滅の刃』『ルックバック』『デデデデ』といった作品では、キャラクターは手描きの作画がメインです。背景も美しい手描きの美術をふんだんに使用していますが、場面によってはCGをこっそり使用している場合があります。例えば『君の名は。』では、描くのが難しいディテールの多い空間を3Dで作り上げて作画や美術のガイドにしたり、壮大な風景を見せたい場面では背景に3DCGを用いているカットが多数あります。

2) キャラのアップなどが作画で、ロングのキャラやアクションシーンはCGの作品

CGのワークフローで効率化を図りつつ、キャラクターの魅力を最大限に引き出すために表情が良く見える場面やアクションシーンに作画の力量を集中させた作品です。
キャラクターがロングで映る場合やモブキャラ、動物、乗り物など、3Dで制作されていることが多い。
背景は手描きの美術もありますが、CGで制作された3DBGを用いている作品も多い。
作画の量と、手描きの美術の量と、CGとの割合は作品によって異なります。

作品例としては、『劇場版ハイキュー』や『メダリスト』のキャラクターはデジタル作画で描かれている。前者では、モブキャラや車、背景の一部にもCGを使っています。

3) フルCGの作品

作品内に登場するもの全てが3Dで作成されている作品です。

作品例としては、『アナ雪』や『トイ・ストーリー』等のディズニー映画や、『ミニオンズ』、『野生の島のロズ』など、海外のプロダクションが得意とするフル3Dの作品が多いですね。

もちろんこれ以外の分類の仕方もありますし、他の手法を取り入れた作品もありますが、日本で一般的に制作されている多くの作品はこの分類に当てはめることができます。

では次に、アニメーション制作のワークフローとはどんなものなのかを見ていきましょう。その制作に使用されている一部のツールも併せて紹介していきたいと思います。

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