トレンド&テクノロジー / アニメーションの作り方
第5回:ポストプロダクションとまとめ
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このコーナーではポスプロに関してはあまり深く掘り下げませんが、プロダクションとポスプロの境目にある「撮影」(コンポジット)の工程について少し触れておきましょう。
境目にあると言いつつも、本来「撮影」はポスプロの領域ではありますが、近年ではコンポジットまで本制作として捉えられることが多くなってきました。作品やスタジオによっても、特にCGの会社では同じチームで、アニメーションからコンポジットまで一貫して作業することも少なくはありません。
いずれにしても、「撮影」は、様々な工程から生み出された素材をまとめる大事な役割があります。
撮影(コンポジット)
作画、美術背景、CG素材など、各工程から上がってきた素材を組み合わせて合成していく工程です。
ただ素材を重ねていくだけはなく、色を調節したりエフェクトを加えたりして、最終的な絵作りを仕上げていくとても大事なプロセスです。
撮影の良し悪しで作品の見た目が左右されるため、もちろん絵作りのセンスが問われる作業ではありますが、「どういう絵にしていくのか」というのを監督や演出とのすり合わせをしっかりしておくことが大切です。
「撮影」の由来は、セル画の時代で、セルや美術背景をレイヤー構造がある撮影台に乗せて、その撮影台にセットされたカメラでフレームを一枚ずつ撮影していた工程の名前からきます。現代ではこの工程はデジタル上で行うため「コンポジット」という呼び名が聞こえる頻度が多くなってきましたが、従来の「撮影」という呼び名も今も現役で使用されています。
こんなツールが使用されています→ Adobe After Effects, Nuke, Flame
もうひとつ触れておきたいのが「編集」の工程です。これを無くして、アニメーションの作品は完成しません。
編集
撮影から上がってきた各カットを時間軸にならべて、作品全体をひとつながりにします。ここで肝心なのは、ストーリーや演出の意図がきちんと伝わるために、カットの長さを変えたり、場合によってはカットの順番を入れ替えたりするなど、カットとカットのつながりをよくするために調節していきます。この編集の作業には必ず監督や演出が立ち会い、最終的な出来上がりを確認します。
ポスプロには、編集の他に音に関わる音響やアフレコ(台詞入れ)などがあり、音素材と映像素材を合わせるダビングというプロセスもあります。
まとめ
ご覧の通り、たくさんの工程を経てアニメーション作品が出来上がるわけです。そして同様に沢山の人が関わっていることもお伝え出来たと思います。
このように大勢のスタッフで大量の物量に取り組み、質の高い作品を作り上げるためには何が必要でしょうか?それはスタッフ全員との目標の共有と、きちんとした管理体制だと考えています。
各工程に関わっているスタッフの全員が、全体の流れを理解した上で、自分のポジションでベストを尽くそうと努力しています。そして、他の工程と連携を取り、同じ目標に向かって作業をしています。
既に気がついているかも知れませんですが、この様なワークフローに大勢の人が関わっている仕事では、連携プレーがとても大事です。ここで私が大事だと思う点を挙げてみます。
スケジュールを守ること
作品はいつどこで放映されるかは決まっています。公開日などは安易に変更ができないため、締め切りから逆算して、どれだけ作業する時間があるのかを考える必要があります。
1カットを完成させるためには、それに必要な素材を全て揃える必要があります。また、全てのカットが揃わないと作品が完成しません。ということは、それぞれの工程に使用できる時間を知ることが大事です。
スケジュールに見合わないクオリティを目指して工数の多いワークフローを組んでは当然完成しませんので、どの工程に力を入れて、どこは素早く進めるべきか、妥協点も脇まえておく必要があります。
完成のイメージを持つこと
まず何を作りたいのか、何を目指しているのか。完成のイメージがしっかりと出来ているのか。ここが結構大事なポイントです。そこがあやふやなままだと、何をどうやって作って行けば良いか誰も分かりません。最終的な絵がコレというのが分かれば、そこに辿りつける手段を選べば良いのです。
どういう人材を集めるべきか、どういうワークフローにしていくべきか、どのツールを使っていくのか、それぞれが正しく選択できるためにはやはり目標としているものがハッキリとしていた方が良いでしょう。
努力の積み重ね
上手くなるには、やはり経験を積むしかないです。神作画と呼ばれる程のダイナミックで超人的な作画がでも、ため息が出るほど美しい背景美術でも、ロボットが登場したりエフェクトが満載のカッコイイCGシーンでも、それを作った人達が一夜でそれができるようになったわけではありません。そのレベルに至るまでは、コツコツと練習を繰り返し、時には失敗して、その失敗から学びを得て、色んなものを乗り越えてきたわけです。
とにかく、繰り返し、繰り返し、やること。それにつきます。
努力の内には、他人の話を聞くというのも含まれます。
修正の指示が来たら、凹んでいる場合じゃありませんよ。そりゃあ、ベストを尽くしたつもりなのにダメ出しをされてしまったら、誰だって凹みますよね。でも、修正依頼は、あなた個人への攻撃でもなんでもなく、この作品をより良いものにしたいという願いがあり、改善できる点がそこにあるから発生するのです。耳を傾け、監督や演出が求めているのは何かと考えてみましょう。その内、自分でも改善すべき点を見極める能力も備わってきますので、まずは他人の意見を素直に受けとめましょう。
それに、凹んでも凹まなくても締め切りが来ちゃいますので、自分の作業を完成させる方向にメンタルを向けた方が良いですね。悩んでいることがあれば先輩に相談してみたり、演出の意図や作業の方向性について確認を取ったりして、よしやってやるぞ!という気持ちで作業に挑みましょう。
コミュニケーションは大事
監督や演出だったり、現場の作業を統括するディレクターだったり、制作進行など、要になる役目の人達も大事にすべきポイントがあります。
目標と完成のイメージを伝える
これらが明確でないとスタッフが何を目標にがんばれば良いのかが分からない
何をいつまでにやって欲しいのかを具体的に伝える
どんなことを、どんな方法で、どんな仕上がりで、いつまでに。
方法などはお任せモードで良かったりする場合もありますが、基本的には作業する方にはこの4点セットをしっかり伝えることが大事です。
コミュニケーション不足は大体の失敗の元
イメージが伝わらなかった
発注をミスってしまった(間違った指示を送ってしまった)
締め切りを守って貰えなかった
関わっている人たちのモチベーションが落ちる
そして作業者側が大事にすべきポイントもあります。
努力の積み重ねの話とやや被りますが、絵コンテや指示書きをよく確認し、人の話をよく聞き、何を求められているのかをちゃんと理解しておくことが大事です。
不明な点があれば直ぐに聞く
指示の解釈が曖昧のまま作業をするのは良くありません。理由はシンプルです。きちんと理解していないことは中途半端にしかできず、大体はリテイクをくらう羽目になるからです。
作業している途中でも、これであっているのかどうかが分からなくなることがあります。モヤモヤを抱えたまましても良い出来に繋がらないので、早めに疑問を解消するためにアドバイスを仰ぎましょう。
いつまでに終わらせなければいけないのかをきちんと把握する
しつこいかも知れませんですが、スケジュールに支障が出ないように、どれだけ作業をする時間があるのかを把握し、それに合わせてペースを調節していく必要があります。ただ、工数がかかったり難易度が高い作業の場合は、思ったより時間がかかることがあります。その場合は、早目に相談をして、スケジュールの調節か、または難易度を下げる方向で調節を入れて貰えることがあります。
小まめに報告する
何を進めていて、どこまで進んでいるのか。どこを手こずっているのか。何に手をつけていないのか。今はどんな状況なのかをきちんと報告をすることが大事です。
誰に?作品によりますが、まずは自分のチームの上司と制作進行にですね。制作の管理やクオリティをコントロールする人々は、「今どんな状況で何が進んでいる」というのを把握する必要があります。また、報告をすることで、きっと適切なアドバイスを受けることもできます。
さて、本当に長くなりましたが、最後まで根気よく読んで頂いてありがとうございました。
この記事を読んで、アニメーションってすごいなとか、アニメーションを作ってみたいなぁ、と思えたなら幸いです。今からスタートしてみてはどうでしょう?w
いつかどこかの作品のクレジットにあなたの名前が載るのを楽しみにしています!





