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『バイオハザード5』が放つ極限のグラフィック

株式会社カプコン 『バイオハザード5』が放つ極限のグラフィック
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10 年前に発生した洋館事件で多くの仲間を失ってしまった主人公クリス・レッドフィールド。彼は事件に対する自責の念にかられながらも、現在はバイオテロ対策部隊 "BSAA"のメンバーとして活躍をする日々を送っている。不穏なテロの動きを警戒し、灼熱の太陽が大地を焦がすアフリカのキジュジュ自治区へと調査に降り立ったクリスを待ち受ける運命は...。

イントロダクション

サバイバルホラーという新たなジャンルを切り開いたバイオハザード。待望の最新作『バイオハザード 5』(以下、バイオ 5)が、「プレイステーション 3」、「Xbox 360」のプラットフォームに向けて 2009 年 3 月にリリースされた。初回出荷量が全世界 400 万本ヒットという記録が、同タイトルの絶大な人気を物語っている。なお、2009 年度中には PC 版『バイオ 5』のリリースが予定されているため、その記録更新はさらに続くと見られる。

『バイオ 5』は、2 つのコンセプトをもとに制作が進められたという。1 つ目のコンセプトは、"光と闇が生み出すホラー"を表現すること。2 つ目は、Co-op プレイに象徴される"絆"である。ゲーム中のストーリーとグラフィックの両方で、これらのコンセプトが様々な要素として散りばめられている。コンセプトを意識してゲームをプレイすることで、きっと新たな発見を感じ取れるはずだ。

常に最先端のグラフィック表現を行ってきたバイオハザードシリーズであるが、最新作『バイオ 5』のグラフィックが持つ説得力は驚きの一言である。この極限のグラフィックはどのようにして生み出されたのだろうか?また、その際に Autodesk 製品はどのように利用されたのであろうか?株式会社カプコン開発スタッフの皆様に『バイオ 5』プロジェクトについて詳しくお聞きした。

キャラクタ制作のパイプライン

『バイオ5』プロジェクトのキャラクタ制作パイプラインには、Autodesk Softimage がメインツールとして利用された。主人公であるクリスやシェバのデータは、約 1 万 5 千ポリゴンでモデリングが行われている。リグセットアップには、約 130 本のボーン(付属物の揺れボーン、フェイシャル用ボーン含む)が使用されている。ゲームプレイパートとリアルタイム演出パートのボディ部分には、同様のポリゴンデータ、ボーン数が使用されている。ただし、ゲームプレイパートのフェイシャルモデルは 2,000 ポリゴンなのに対して、リアルタイム演出パートではフェイシャルモデルに、4000 ポリゴン(髪を除く)のデータが使用されている。そして、リアルタイム演出パートでの豊かな表情を実現するためフェイシャル用ボーンも 80 本ほど追加されている。

また、キャラクタモデルを 3D スカルプティングツールにも読み込んで、ディテール表現を追加した高解像度モデルの作成も行われる。このデータを Softimage に戻し、Ultimapper 機能で法線マップを生成するというのは一般的な作業の流れといえる。しかし、状況によっては 3D スカルプティングツールを利用せずに、法線マップ用の高解像度モデルを完成させるケースもあったという。

Softimage のサブディビジョンサーフィス機能が力を発揮したのだと、モデルチームリーダの福井氏は解説してくださった。Softimage のサブディビジョンは、作業のどの段階でもテンキーの+と-で、分割レベルを自由に切り替えられる感覚的な操作が特長だ。そこで、サブディビジョンレベルをうまく切り替えながらモデリング作業を進め、最後に一気に分割数あげることで滑らかな高解像度モデルを Softimage 内で作り出したそうだ。そこから直感的な操作が魅力の Softimage モデリング機能を利用してクリーチャの表皮や衣装のしわなどのディテールを直接モデリングで表現したのだ。

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ディテールマップによって 表現される繊維感が良く分かる

「データのやり取りやアプリケーションの切り替えを行わずして、Softimage 内で高解像度モデルの作成から法線マップ生成までを完結できることは大きな作業時間の短縮につながりました。スカルプティングツールの機能に負けないくらい臨機応変に作業ができる Softimage のモデリング機能には満足しています。」と福井氏は語ってくださった。

主人公クラスのキャラクタには、次のようなテクスチャが割り当てられている。1024 ピクセルのカラーマップと法線マップ、512 ピクセルのスペキュラーマップ、そして 32 ピクセル程度のディテールマップと呼ばれるテクスチャである。

通常の法線マップで大きなしわや立体感を表現したうえに、2 枚目の小さな法線としてディテールマップがタイリングで割り当てられているのだ。ディテールマップのおかげで、カメラがクローズアップした際に、衣装の繊維感がリアルに表現される効果をもたらすという。

また、キャラクタモデルには、テクスチャ以外にも、頂点カラーデータとしてアンビエントオクリュージョンの情報が焼きこまれている。これにより、暗く遮蔽されている部位にはライトがあたりにくくなる表現のシミュレーションも行われている。

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