株式会社サテライト
劇場版マクロスF 〜サヨナラノツバサ〜
迫力あふれる戦闘シーンとライブシーンの映像表現を支えたオートデスク3DCG製品群
- 3ds Max
- Maya
- MotionBuilder
- アニメ
- 映画・TV
ライブシーンと背景における3D表現
作品のオープニングでは圧巻の映像表現によるシェリルの教会ライブが繰り広げられる。複数キャラクターのダンスや群衆の表現は、従来のセルアニメではタブーとされる演出であった。しかし、本作ではこういった場面に3DCGを活用することで新たな映像表現を見事に実現している。
ダンスシーンではモーションキャプチャー技術が採用されている。撮影ではキャプチャーデータ収録と同時に実写のリファレンス動画も撮影される。まず、この実写素材を利用してダンスのカット割り編集が行われた。カット割りが決まればキャプチャーデータのリターゲット処理やアニメーションの加工がMotionBuilderを利用して行われた。こうして複数キャラクターが複数登場する迫力のダンスシーンは生み出された。なお、シェリルの髪の毛の揺れもMotionBuilderのシミュレーション機能によって自動計算を行ったという。
妖精ランカのライブステージでも一部のカットでは3Dキャラクターによるアニメーションが行われている。当初、このカットは作画で行う予定であったが、3Dで制作したアニマティクスの出来が良かったためにフル3Dキャラクターで構成する判断が下された。ライブステージでのエフェクトにも3Dが活用されている。
また、カメラワークが大胆に変化する場合は、情報量が膨大な背景を美術で描き起こすことは困難である。そこで、作品中では背景の多くが3Dで制作されたという。
宇宙空間から地表の山脈に近づく過程にリアリティを持たせるためにGoogle Earthを利用してバーチャルのロケハンも行ったそうだ。地面と雲の距離、地平線の高度、15kmの宇宙船団のサイズを入念にリサーチしたうえで制作は行われている。
レンダリングが完了したバルキリー、キャラクター、背景の素材は、いったんCGチームによって仮のコンポジットが行われる。空気感、馴染ませ処理、モーションブラー効果までCGチームがある程度設定したうえでコンポジットデータは撮影チームへと提出される。最終的に撮影チームが作画を含めたすべての素材のコンポジット調整を行う。このようにして挿入歌とのタイミング同期が緻密に計算された映像が完成となるのだ。
劇場版マクロスFは、戦闘シーン、ライブシーンなど、それぞれのパートだけで一本の作品と言っても過言でない密度の濃い作品になっている。メインの演出とは違う部分に目を移しても細かい部分に遊びがちりばめられたサーカスのような楽しさが大きな魅力と言える。見直すたびにきっと新しい発見がそこにはあるだろう。
最後に
今回のプロジェクトでは、全てのオートデスク3DCG製品を使用したことでそれぞれの得意分野を生かせるという利点があったという。SoftimageのICEや非破壊、Mayaのフルイド表現、3ds Maxの豊富なプラグイン、MotionBuilderのリアルタイム性といった複数の選択肢がタイトなスケジュールのなかでも臨機応変な問題解決を可能としたという。
サテライトでは、各ソフトの長所を最大限に活かすためのワークフローを今後も引き続き積極的に検討していくという。日本独特のアニメの良さを受け入れたうえで、その枠にとらわれない3Dを主体とした新しい表現を提示していきたいと今後のサテライトの取り組みについて八木下氏は力強く語ってくださった。
右から
株式会社サテライト http://www.satelight.co.jp/
八木下 浩史氏
株式会社unknownCASE http://unknowncase.com/
崎山 敦嗣氏、加島 裕幸氏
取材コーディネート: 株式会社サテライト 千浜 なぎさ氏
「劇場版マクロスF 〜サヨナラノツバサ〜」公式サイト http://www.macrossf.com/movie2/
©2011 ビックウエスト/劇場版マクロスF製作委員会
導入製品/ソリューション |
・Autodesk 3ds Max ・Autodesk Maya ・Autodesk Softimage ・Autodesk MotionBuilder |
---|
*上記価格は年間契約の場合の1ヶ月あたりのオートデスク希望小売価格(税込)です。