• Home
  • >
  • ユーザー事例
  • >
  • 映画・テレビ
  • >
  • 株式会社サテライト 劇場版マクロスF 〜サヨナラノツバサ〜 迫力あふれる戦闘シーンとライブシーンの映像表現を支えたオートデスク3DCG製品群

株式会社サテライト 
劇場版マクロスF 〜サヨナラノツバサ〜 
迫力あふれる戦闘シーンとライブシーンの映像表現を支えたオートデスク3DCG製品群

株式会社サテライト 劇場版マクロスF 〜サヨナラノツバサ〜 迫力あふれる戦闘シーンとライブシーンの映像表現を支えたオートデスク3DCG製品群
  • 3ds Max
  • Maya
  • MotionBuilder
  • アニメ
  • 映画・TV

劇場版マクロスFは、テレビシリーズをベースとしながらも新たな構成でストーリーが展開する完全新作だ。2009年11月に公開された前編〜イツワリノウタヒメ〜に続いて、2011年2月に二部作の後編となる「劇場版マクロスF 〜サヨナラノツバサ〜」がついに待望の公開となった。完結編となるサヨナラノツバサでは可変戦闘機バルキリーと宇宙生物バジュラの壮絶なバトルも最終決戦へと突入する。そして、主人公アルトと二人の歌姫シェリル、ランカの三角関係の行方にもついに結論が...。

本記事には作品に含まれる特定のカットに関するメイキング情報が含まれています。これから作品をご覧になるという方はご注意ください。

劇場版ならではのクオリティの追求

劇場版マクロスFのCG制作では、Softimage、Maya、3ds Max、MotionBuilderという全てのオートデスク3Dアニメーション製品が使用されているという。そこで、映像制作を担当された株式会社サテライトの八木下氏に劇場版マクロスFにおける3DCG表現についてお話を伺った。八木下氏はCGIシニアディレクターとしてテレビ版マクロスFからシリーズの制作に携わられている。最新作の「劇場版マクロスF 〜サヨナラノツバサ〜」では3チームからなるCG制作ユニットの統括を担われた。

サヨナラノツバサのCG制作は、次の3チーム体制で行われている。

オープニング教会ライブ: 株式会社カラー/株式会社GEMBAが担当
前半戦闘: 株式会社グラフィニカが担当
ランカライブと最終決戦: 株式会社サテライトのサテライトユニットが担当

今回のインタビューではサテライトユニットとして制作に参加された株式会社unknownCASEの加島氏と崎山氏にも同席を頂いた。加島氏はCGIディレクターとしてコンポジット、ライティングのディレクションを担当。そして、崎山氏はCGアニメーションディレクターとしてアニメーションやレイアウトのディレクションを担当されている。

劇場版のCG制作にあたっては、テレビ版では成し得なかったクオリティを追求することが命題であった。このため、戦闘シーンの作り込みからライブシーンの演出まで作品トータルで質の高いCG制作が行われている。破壊表現やフルイド、群集シミュレーションなどのリッチな表現が取り入れられているのも劇場版の特徴といえる。

SoftimageのBullet PhysicsプラグインであるMomentumを用いた破壊表現。

プリプロダクション

サヨナラノツバサのプリプロダクション作業が開始されたのは2010年初夏からである。本制作に入る前に雲海や煙の質感をどう向上させるかといった技術検証が行われている。また、7月の時点で群衆シミュレーションを取り入れたミュージッククリップの制作がサテライトで行われている。ここでの反省点を踏まえた群衆表現に関する技術リサーチも行われたという。

準備期間には作業の効率化とクオリティ統一のための工夫も行われている。例えば、バルキリーのポージングを美しく見せるための注意点が3Dデータの指示書として準備された。他にもカメラの画角やレンズ口径のプリセット、モデルが映えるカメラアングルなどの各種作業ガイドラインが崎山氏によって用意されたという。これらのデータは、新規にプロジェクトへ参加する各社に配布が行われた。こうして事前の意識統一を効果的に行ったうえで万全の体制で本制作へと移行が行われたのだ。CGIカットの本制作は、2010年10月~2011年1月の約4ヶ月の期間で、総CGIカット数は500カット強にものぼる。プロジェクト全体で約80人のCGアーティストが制作に携わったという。

作画とCGの融合

映像制作の開始にあたっては、絵コンテ素材が整った段階で河森監督を中心に、演出担当、作画担当、CG担当による演出打ち合わせが行われる。ここでは、そのカットの制作を作画で行うかCGで行うかという切り分けなどが話し合われる。そして、作画とCG双方のメリットとデメリットを検討したうえで作業の切り分けと作業順が決定されていく。

3Dカメラワークを必要とするカットでは、CGチームが先行してレイアウトの作成を行った後に作画を行う。逆に2D表現がメインのカットでは作画チームのレイアウトに対してCGをあわせる形になる。サテライトでは、作画とCGの融合をこれまで多数手がけてきている。このため、それぞれの担当が互いにリードをとりながら作業を円滑に進める土壌ができているという。CGパートと作画パートの表現の乖離(かいり)を防ぐためのノウハウもあるため、表現が困難なカットであっても臨機応変な対応がとれるのがサテライトの強みであるという。

後述のライブシーンのメイキングでも解説を行うが、シェリルやランカといったキャラクターを3Dで表現しているカットが存在する。キャラクターに3D表現を用いる際には、同じカットで作画キャラクターと3Dキャラクターを混在させることは基本的に行われていない。混在させることでクオリティやコストのバランスが崩れることを避けるためである。例外的にメカのボディは3Dで腕から先が作画にといったハイブリッド表現を行っている場面はあるという。

映画のワンシーンには、しゃがみこんだランカの周りをカメラがゆっくりと回りこむカットが登場する。ゆっくりと回りこむカメラワークは、動画が歪んでしまい絵の破綻が起こりがちなためアニメではタブーとされている。そうなると全て3DCGでキャラクターを作成するほうが良いと思いがちかもしれない。しかし、限られたショットのためだけに衣装をモデリングして自然な布を3Dで再現することは大きなコストが発生してしまう。そこで、この場面ではいったん簡易的な3Dモデルによるレンダリングが行われている。そして、CGの映像をガイドにしながら作画の作業が行われている。こうすることで、ゆっくりとしたカメラワークでも破綻のない自然な動きを表現したという。3Dと作画それぞれのメリットとコストを入念に検討しながら制作は進められているのだ。

製品購入に関するお問い合わせ
オートデスク メディア&エンターテインメント 製品のご購入に関してご連絡を希望される場合は、こちらからお問い合わせください。