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  • Autodesk×Digicon6 コラボ企画 Top Creator's Eye ~CG業界のフロンティア達の視点~ 『サンジゲン』松浦 裕暁 氏 インタビュー

Top Creator's Eye は TBS Digicon6 とオートデスクのコラボレーション企画で2012年夏に3ヵ月にわたり連載。業界の著名人から若いクリエイターに向けて熱いメッセージをいただきました。限定公開でしたが、この度一般公開となりました。見逃した方は、ぜひご一読ください。

誰も踏み入れたことのない領域に、果敢に挑む人達がいる。
そんなフロンティアスピリット溢れる人は、日本のCG業界にも存在する。
常に困難に立ち向かい、開拓者となった彼らが語る言葉は、後に続く若者達に
大いなるMessageを与えてくれるに違いない。

--- CG業界の「フロンティア」達は今、何を見ているのか ---

AutodeskとDigicon6が協力してお送りする企画『Top Creator's Eye』
第一弾はCG業界で「経営者」としても活躍する、ある人物にスポットを当てた。

2006年に株式会社サンジゲンを設立して以来、『機動戦士ガンダム00』など様々な作品で3DCGプロデューサーを務めてきた松浦 裕暁(まつうら ひろあき)氏。 TVアニメ『ブラック★ロックシューター』では制作会社として初の元請け作品を手がけ、今秋には株式会社プロダクション・アイジーと共同制作の『009RE:CYBORG』が劇場公開予定だ。

経営者としては、昨年8月にサンジゲン・Ordet・トリガーの3 社でホールディングスカンパニー「株式会社ウルトラスーパーピクチャーズ」を、今年2月にはアニメーション制作会社「株式会社ライデンフィルム」を設立。両社の代表取締役社長も兼任している。 次々と結果を出しながら、なお新しいアニメーション制作を追求し続ける松浦氏に話を聞いた。

――松浦さんは2006年にサンジゲンを設立されていますね。それまでの経緯を教えてください。

25歳で上京して、デジタルハリウッドに3カ月ほど通いました。将来に繋がる道を考え、実写の編集を経てアニメ会社に入りました。そこは1年半で解散したので、GONZOに入っていた友人に誘われ、フリーランスとして他の仕事をしつつGONZOに関わることになりました。2000年頃、「ヴァンドレッドthe second stage」の制作中に入社の話をいただいて、そのプロジェクトが終わったところでチーフとしてGONZOに入社したんです。

2003年にGONZOを辞めて、再びフリーランサーになりました。それからフリーの集団として漢字の「三次元」を結成し、2006年3月にカタカナの「株式会社サンジゲン」を立ち上げました。

――フリーランサー時代やGONZO社員時代は、どのような職種でしたか?

ディレクターをしながら、自分でカットを作るアニメーターでした。実力主義ですから、腕を見せないと誰も信頼してくれないと思ったので、スタッフの誰よりもカットを多く作りたいと考えていました。会社設立後も、2年前くらいまでは自分で作っていました。

――アニメ制作会社では、ある程度のボジションに就くとコンテだけを作って他は部下に任せるのが一般的ですが、ご自分でツールを操作して作業されていたのですか?

はい。うちのディレクターは全員、「誰よりも多くカットを作れ」という方針で仕事させています。そうでなければ、ディレクターはできないと言い聞かせています。 最近では、バジェットが大きくなったので、うまく分業するようにしています。

――GONZOを辞められてフリーで始めたきっかけは何ですか?

東京に出てきた時から、「どうやって会社を作ろうか」とは考えていました。GONZOという企業でアニメを作っている時も、GONZOの将来について、こうした方がいいんじゃないかということは考えていました。それを経営者やスタッフにも話しましたが、GONZOでの僕はチーフとはいえ新入りでした。元々いたスタッフが全員、僕と同じモチベーションを持っていたわけではなく、企業としても作画のアニメ会社だったんです。僕がこの先CGで会社を作るには、特有の何かを武器にしてアニメに特化する必要がありますし、アニメの中で何が必要か考えなくてはならない。このままGONZOにいるよりも外に出よう、と決断しました。

フリーランスの仕事は色々オファーを頂いていたので、まずは無理なく数人で、僕個人が1千万円稼げれば会社としても何とかなると思いました。それをクリアしたので、さらにスタッフを集めて効率アップを目指しました。将来CGでアニメを作っていくなら、キャラクターアニメーションやオリジナル作品といった大きなビジネスに変わっていきます。そうしたビジョンに向かうには、やはり仲間が必要だと思ったので会社を設立しました。

――上京されるタイミングではアニメ業界を考えていたのですか?

初めはアニメ業界に限定せず、広く全般的に映像業界で、と考えていました。当時はFFの映画を作っている時期で、ピクサー作品や『タイタニック』なども見ていたので、映画が面白そうだと思っていました。しかしアニメ会社に入ってみて、アニメの制作体制などに改善の余地を見つけ、そこにチャンスがあると思ったんです。結果的に、映画やゲームなどの素材を作るより、ストーリー性のあるアニメ映像を作る方向を選びました。 先ほど話したように、2年前頃までは現場で作業していましたが、周りのために最近は経営側としてチェックに徹しています。

――現場にいた時と今では、何か大きく変わりましたか?

サンジゲンも規模が大きくなってきて、ウルトラスーパーピクチャーズというホールディング会社を設立し、最近は作画のアニメーションの会社も作りました。また、フィギュアの原型などのビジネスも色々と展開してきて、僕が1人のアニメーターだったら仕事を選べて楽しいだろうと思います。これまでもメジャータイトルを手掛けましたが、技術的に昔より今のほうが進歩して、現場の仕事は楽しいだろうなと思いますね。

しかし、今やっている仕事は更に楽しいです。昔ぼんやり思い描いていた生き方が実現していると思います。まだ夢の途中で、何をやっても実現するような、理想的な立場にいると感じます。ずっと続く保証は無いですけど、それでも進もうと思った方向に進めているので満足です。今後も進んでいきたいですね。

松浦 裕暁 氏

――サンジゲンさんは今、フルCGリミテッドアニメーションで作画のように見せるスタイルを特徴にされていますね。今が夢の途中だそうですが、リミテッドアニメーションの先に、何か見据えているものはありますか?

もちろんあります。それも5年~10年の間に考えています。過去の流れから考えて、今やっているセルスタイルは、おそらく今から5年の間に増えて、10年後には下火になってくると思うんです。5年後にピークがきた時、僕たちは次の画に入っていないといけません。僕たち自身が「CGでアニメーションを作る」という成功例を出したように、また別の強みを見つけたいと思います。

――現在の制作現場は人員が増えたと思うのですが、どのような構成になっていますか?

モデラーが10人程。撮影部隊と制作管理系がそれぞれ10人弱。残りの50人程がアニメーターです。そして、アニメーターの約半分が経験3年未満の若手です。もう半分が中堅やベテランと言われるスタッフです。

――セルの撮影やCGのレンダリングも、撮影部隊が行なうのですか?

それも行ないますが、今はコンポジットがメインです。アニメの撮影をしていてCGを使うこともありますし、忙しくなればCGの人間が撮影を手伝うこともあります。

――パイプラインで分かれてはいても、共同作業なのですね。

そうですね、できれば分けたくないんです。やはりサンジゲンの全員で、サンジゲンの仕事を全部しなくてはならないので。だから50人のCGアニメーターは班分けしていません。向き不向きや本人たちの希望で仕事を割り振ることが多いです。

――一般的に、大きな案件が2つあるとラインを2つに分けますが、そういうことは無いのですか?

はい。分けるとラクですけど、会社全体の生産性は確実に落ちます。全員でやったほうが早いに決まっていますから。スタッフも色々な仕事ができて、その方がストレスも少ないはずです。別の班だから制作に関われないなんてバカバカしいじゃないですか。他の班でもお互いに手伝った方がいいですよ。

――現在、3DのツールといえばAutodeskさんの3ds Maxなどが主流かと思います。画を作る上で重要なプラグインか何かはありますか。

「Pencil+」ですね。 他はプラグインも使いますが、「それが無いとダメ」という決定的なものはありません。エフェクトも、プラグインはあまり使わずに(純粋な機能の中で)表現しますね。煙や水のシミュレーションを使えばリアルなものは出来ます。しかし、リアルなものが欲しいわけじゃなくて、作画で書いたようなものを目指す方向性なので。効率アップのために使いますけど、そのままだと面白くないですから、アレンジを加えます。

――御社の作品について、制作中の『009』は公開まで半年を切りましたね。仕上がりはどのような感じになりそうですか?

「作画に見えるけど作画じゃない」というのはすぐに分かると思います。カメラワークやスローモーションなど、CGでしか出来ないことをやっています。画面がFIXでキャラクターが喋っているシーンも、作画にしか見えないと思います。立体視なので、よく見ると気付くかもしれませんが、仕上がりは作画のようです。狙い通りですね。

――かなり話題を呼びそうですね。

話題を呼びたいですね。『009』が、後にも先にも一番素晴らしい作品となるようにしたいと思っています。そして、それは確実に"希望"になると思います。日本のCGで、しかもアニメーションで、「このやり方はアリなんだ」と思って欲しいです。

――ジャパニメーションは非常に注目を浴びつつも、産業としては大成功と言い切れない面があります。サンジゲンさんの手法で作品が成功すれば、ジャパニメーションへの固定観念を変えられるかなと思うのですが。

産業としてのアニメには、色々な問題点があります。日本国内のアニメ市場は2千億円程度ですし、描ける人間も作る場所もすごく制限されてきました。しかしコンピュータが出てきて随分と効率化されましたし、アニメスタッフの間口は広くなったと思うんです。東京以外の場所からでもデータでやりとり出来ますから。

サンジゲンも京都の四条にスタジオを作り、先月面接を行ない、7月から本格稼働です。今後は大阪や福岡など全国で7カ所くらい、スタジオ設立の計画を立てています。全国で人を集めれば、その地方ごとにアニメを作れるようにできると思って。現地で採用・教育して、全国のみんなで一つの仕事をするのも良いですし、例えば関西なら関西だけで作品を作るのも良いですね。

また、ウルトラスーパーピクチャーズでは海外の市場拡大を目指していて、来月も打ち合わせがあります。国内でも海外でも、市場を広げつつ生産性も上げていく。仕事を生み出すことはできるので、そうやって産業へと育てていく必要があると思っています。

聞き手: TBS Digicon6  川鍋 昌彦(かわなべ まさひこ)
執筆:フリーライター 蓬莱 早苗(ほうらい さなえ)

サンジゲン、松浦社長へのインタビュー前編、如何でしたでしょうか。氏の経歴とサンジゲンのこれまでの歴史を語っていただきました。後編は、世界を見据える同社の今後の戦略、日本の若者へ寄せる期待など、必読の内容満載です。

『サンジゲン』松浦 裕暁 氏 インタビュー 後編

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*上記価格は年間契約の場合の1ヶ月あたりのオートデスク希望小売価格(税込)です。

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