チュートリアル / 映像編集と道具としてのSmoke
第2回:編集・・・の前に・・・

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みなさんいかがお過ごしでしょうか?オートデスク川船でございます。
映像編集に対しての私見をSmoke for Macを絡めながら述べさせていただいております。

私は、おそらくこのコラムはすでに映像編集に携わっている方や、これから携わろうとお考えの方々にお読みいただいていると思い書かせていただいております。
そんな貴方(貴女)に質問です。
編集する時、何から始めますか?

私が考える答えは”素材を見て記憶することから”となります。

道具がフィルムからテープ、そしてノンリニアへとどんなに進化したとしても、この部分は変わらないはずです。当たり前のことですが編集する素材がどんなものか知らなければ、台本やコンテ、曲に沿った映像を見つける事もできませんし、何も繋ぐことはできません。

”知らない画は見つけられない”という事で、ほとんどの映像編集者はすべての素材を見る事から編集を始めていると思います。

最近はもう無いと思いますが、以前はオフラインをテープベースのシステムで行っていました。3/4やVHSに収録素材をコピーしてオフライン用の素材とし、まずはそれらの素材をひたすら見ていきます。当然、キューマークなどを設定したり、コメントを追加することなどできるわけもなく、手書きノートなどに特徴点(時間、内容、画角など)を記入していくわけです。もちろん画像はありませんのでどんな画かは記憶に頼ることになりますし、リール名やタイムコードの管理は手作業で行っていました。この部分をおろそかにすると、いざ編集結果を出力・・(といっても編集済テープを見ながらコマ送りでタイムコードを読み取って編集シートに書き込んでいたわけですが)・・するときに惨憺たる状態になっていました。

ノンリニアではこの部分の作業性が飛躍的に向上しました。キャプチャしたクリップを見ながらコメントを付けたり分割したりして、より編集し易いように素材を整理できます。もちろんその時操作している人間はリール名やタイムコードを意識することなく作業することができ、編集結果にはそれらが正しく反映されます。素材を管理する部分をノンリニアシステムが肩代わりしてくれるわけです。


Smokeではクリップライブラリと呼ばれる場所でクリップを管理します。

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ここではVTRに対するI/Oをはじめ、ファイルメディアに対するI/OやEDL、XML、AAFなどの編集データに基づくコンフォーミングを行います。

最近では多種多様な素材の形態がありSmokeでは随時それらをサポートしています。複数フォーマットのテープベースの素材はもちろん、様々なコーデックのファイルベース素材が増えてきています。ファイルベース素材には映像、音声情報以外にリール名やタイムコード情報、中にはセンサーRawデータや撮影時のカメラ情報を含むファイルもあります。タイムコードやリール名などのデータは、メタデータとしてファイルヘッダに記述されたり、ファイル名やフォルダの階層構造などに含まれている場合がありますが、Smokeではそれらを選択、指定して読み込むことができます。必要ならば新たに設定することもできます。

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この他、Smokeではファイル素材を読み込む際に実際にストレージにインポートする方法と、リンク先を設定するのみで実際にはインポートしない“ソフトインポート”と呼ばれる方法を選択できます。ソフトインポートすることで、素材をインポートする時間や容量を軽減する事が出来ます。また、ソフトインポート元の素材が更新されればSmoke上のクリップも自動的に更新されるので、仮素材から本素材への入れ替えの手間も省くこともできます。

Smokeでファイル素材を扱うにはWiretap Gatewayを経由させる方法もあります。Wiretap Gatewayはネットワーク上にある様々なフォーマットのファイル素材をSmokeから扱えるようにするサービスアプリケーション(デーモン)です。Wiretap Gatewayを利用する事で、他のコンピュータに接続されているストレージに保存されているRED RAWファイルやOpenEXRファイルを含むメディアファイルを、リアルタイムでデコードしながらプレビューしたり、ドラッグ&ドロップでファイルをインポートできます。

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Wiretap Gatewayを経由してインポートしたクリップにはImport History情報が付加されています。この情報には、そのクリップをインポートした際の設定が保存されているので、いつでもその設定を確認したり変更したりできます。特にR3DファイルやARRI RAWファイルを扱う際に役立ちます。

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このようにSmokeでは様々な方法で素材を取り込み、管理しています。タイムコードやリール名は編集作業を完成させる上で非常に重要なデータですので、アプリケーションがしっかりと管理しておく必要があるわけです。

ノンリニアになって作業性が向上したとしても“素材を記憶する”事が始まりである事は変わりありません。次回は素材を見るところから始めていきましょう。

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