チュートリアル / Mayaで始めるゲーム用ローポリキャラモデル
第1回:モデルのデザインと仕様
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はじめに
みなさんはじめまして。こんにちは。高部(たかべ)と申します!
MayaがMaya 2019にバージョンアップするということで、今月から隔月予定で6回、コラムを書かせていただくことになりました。至らない点も多々あるかと思いますが、およそ1年間、よろしくお願いします!
このコラムでは、私がとても好きなローポリのキャラモデルを取り扱います。これからモデルを作ってみたい方は、ローポリモデルから作ってみてはいかがでしょうか?ポリゴン数が増えたり、複雑なモデルになったりしても、ローポリモデルで学んだ基礎は役に立つことも多いと思います!
1回目もくじ
・自己紹介
・コラムの内容
1 使用するツール
2 仕様
・モデル作成の流れ
1 モデルのデザインと仕様を決定
2 Maya 2019のセッティング
3 素体モデルの作成
4 デザインしたモデルを作成
5 モデル完成後
・作るキャラクターのデザイン
・仕様とデザインをつくる理由
・1回目のまとめ
・次回のコラムの内容
自己紹介
ゲーム会社勤務の3Dデザイナー。イラストを描くのも好きです。ゲーム会社に入る前は病院の手術部で看護師をしていました。
自分のデザインしたキャラが3Dモデルになってほしいなあ、となんとなく思っていましたが、自分で作ってみたいという思いが強くなり、3Dツールを覚えていきました。
仕事以外でも趣味でイラストを描いたり、キャラクターモデルを作ったりしています。
【twitter】
https://twitter.com/takabedesu
コラムの内容
このコラムでは、Maya 2019を使用したキャラクターモデル作成の方法、また、モデル作成の際に私が気を付けていることを書いていこうと思います。一言でキャラクターモデルといっても、いろいろな作り方や仕様があります。今回、私が紹介させていただく内容は「一つの例」として参考にしていただければ幸いです。
「これからMayaを触ってみたい!」「キャラクターのモデルを作ってみたい!」という方も、参考にしていただければ幸いです。以下、使用するツールと簡単な仕様になります。
1 使用するツール
ツール | 用途 |
---|---|
Maya 2019 | モデリング |
photoshop | テクスチャ作成 |
sai | アートと三面図作成 |
2 仕様
ポリゴン数 | 〜△6000polys |
---|---|
テクスチャ | メイン:1024 * 1024 pixel 1枚 |
ライティング | なし |
・ポリゴン数は、武器なども含めて△(三角形ポリゴン)6000程度を予定しています。
・メインのテクスチャ以外に、表情用のテクスチャを1~2枚作成します。
・ライティングは、モデル完成後に絵作りのためのリムライトを予定しています。
モデル作成の流れ
1 モデルのデザインと仕様を決定
どんな見た目のモデルを作るか? ラフ、イラスト、3面図などを作成します。
どんなデータでモデルを作るか? ポリゴン数、テクスチャサイズなどを決定します。
2 Maya 2019 のセッティング
モデルを作りやすいよう、Maya 2019の初期設定やショートカット登録などを行います。
3 素体モデルの作成
服を着ていない状態のモデルを作成します。素体モデルを作らず、デザインしたキャラクターを直接作っても問題ありません。素体を作るメリットはいくつかあります。
① 自分で作成した素体は、ほかのモデルをつくるときのベースにできる
② 服を作らないため、体自体の形状やバランスを作成する練習になる
③ デザインしたキャラクターを作る際、素体を使用することで時短を兼ねることができる
④ 着せ替えをする要領で、素体から様々なキャラクターが作成できる
4 デザインしたモデルを作成
素体モデルをベースに、デザインしたモデルを作成します。
5 モデル完成後
ライティングをしてみたり、全身がわかる一枚絵に沿って背景をつくったり、ポージングをつくったりします。Unity上に表示することもできます。私のコラムでは、最後にちょっとした何らかのおまけを載せるつもりでいます。
上記が、今回のコラムで紹介するモデル作成の一連の流れになります。モデルをどういう形で使うか(ゲームに実装したり、レンダリングしたり)によって、順番や内容は変わってくると思います。
ここで使用した画像は、コミックマーケット94にて私が作成した、「2Dイラスト・3Dローポリモデル・Tips本(オリジナル本)」からとってきています。
twitterなどにサンプルがありますので、気になる方はご覧になってみてください!
作るキャラクターのデザイン
▼ fixしたデザイン。
全身がわかる一枚絵(左上)、三面図(右上)、表情の想定(左下)、パーツのディテール(右下)
▼ ラフ段階のデザインと素体
ラフイメージ(上)、素体(左下)、線画(右下)
デザインはこんな感じです。
5~6頭身のキャラクターなので、少し横に広めのシルエットで可愛さを出してみました。
個人的に、
• 装飾が少なめの服、シンプルな武器
• 色は3~4色(ベース・サブ・アクセントカラーとその他)
• 素材は布と革をベースに、アクセントとして金属
というデザインが好きなので、それも意識していきました。
キャラのテクスチャは、
• アンビエントオクルージョンをベースに
• コントラストを少し抑え気味で、マットな部分を多く
というテイストで進めていきます。これについては、テクスチャ作成の回で紹介していきます。
仕様とデザインをつくる理由
「作業の着地点」を決めて作るために、仕様とデザインはとても重要になってきます。どこまでディテールを作るか、どんなデザインにするかを考えながらモデルを作ると時間がかかってしまいがちです。そのため、私はまず仕様とデザインを大まかに決めてからモデル作成を行っています。
デザインは自分で描いたものでなくとも、作りたいものの資料を集めておいて、すぐに開けるようにしておくようにするだけでも時間短縮・クオリティアップになります。いいなと思ったデザイン、写真、形状、色使いは、資料として持っておくととてもいい刺激にもなると思います!
モデルを作ったことがない方はぜひ、最初のうちはモデルを1から最後まで作ってみてください。最初は時間がかかってもいいので、丁寧に作業して1体を完成させるようにするのが私としてはおすすめです。モデルの形がうまくとれなかったり、ツールに慣れないなど、なかなか一筋縄ではいきませんが、作業のスピードはあとからついてくると思います。最初のうちは丁寧にきっちりと作業することを意識してみてください!
1回目のまとめ
・モデル作成の流れを考える
・モデルを作るときは、仕様やデザインを決めて着地点をわかりやすくする
・自分が作りたいデザイン・自分が好きなデザインを資料として持っておく
・モデル作成に慣れるまでは、スピードよりも丁寧さを重視する
以上、コラム1回目でした。次回からMaya 2019を実際に使用してキャラクターモデルを作っていきます。ここまで読んでいただきまして、ありがとうございました!
次回のコラムの内容
・Maya 2019のセッティング(モデルを作りやすくする準備など)
・素体モデル作成開始(ポリゴンモデリング~ボーン作成やUV展開)
上記を予定しています。よろしくお願いします!それでは、また少し暖かくなってきた頃にお会いいたしましょう。作業も楽しいですが、規則正しい生活をして風邪など召されませんように!
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