チュートリアル / DML~CG制作 いろはにほへと~
第4回:レンダリングのいろはにほへと ~New Mentalrayを使ってみよう!~

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はじめまして、株式会社デジタル・メディア・ラボ ルックデベロップメントチームの片山と申します。

今回の「CG制作いろはにほへと」は、機能も設定項目も一新された Maya 2016(Mental ray3.13)を使って、実際にレンダリングしながら検証し、機能と挙動を見ていきたいと思います。

検証ターゲットは品質に直結するサンプリング項目(下記画赤枠内)になります。
※赤枠以外のサンプリング項目に関しましては規定値で検証を行います。

Mayaのレンダリング設定画面

検証シーンは次の2種類を用意しました。構成をおおまかに記載します。

Scene A

Scene A

閉じた空間にシェーダー(mila_material)の異なる球体を9つ配置。6つのエリアライトを天井に配置。※ライトシェーダー「mia_photometric_light」を使用。レンズシェーダー「mia_exposure_photographic」使用。

Scene B

Scene B

開いた空間にシェーダー(mila_material)の異なる球体を9つ配置。Physical Sun and Skyによるライティング。 レンズシェーダー「mia_exposure_photographic」使用。レンダリング解像度はシーンAB共に960px ×540px。

それでは、各項目がレンダリング品質にどのように影響するか見てみましょう。

Overall Quality

Overall Quality

[全体表示]

シーン AB共に数値を上げることでオブジェクトやテクスチャのディテールをより細かく表現する事が可能になる他、ノイズも軽減されています。ただ、品質向上と共にレンダリング時間は跳ね上がっていくことが分かります。

Lighting Quality

Lighting Quality

[全体表示]

シーン A では数値が上がるほど影の領域に出ているノイズが軽減されますが、1.0を境に品質向上効果が弱くなっています。レンダリング時間を見てみると、1.0が最短です。この検証シーンに於いて、低すぎる値は逆にレンダリング時間がかかってしまう事が分かります。一方、シーン B は低い値でも良好な結果で、レンダリング時間は2.0が最短となっています。ライディング環境によって最適な値が異なり、最適な数値から離れるほどレンダリング時間もかかっていく事が分かります。

Indirect Diffuse (GI) Mode

※Finalgather/Finalgather Forceフォトン無し

Finalgather/Finalgather Forceフォトン無し

[全体表示]

※Finalgather/Finalgather Forceフォトン有り

Finalgather/Finalgather Forceフォトン有り

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GI Prototype は現在コースティクスをサポートしていないようですので、コースティクス効果が必要な場合はFinalgatherかFinalgather Force を使用し、従来のコースティクス設定を行う必要があります。シーンAのFinalgatherはオブジェクトのシェーディングがGI Prototypeに比べ若干フラットな印象を受けますがノイズが無くとても綺麗です。レンダリング時間もGI Prototypeに比べ短いですのでコストパフォーマンスは高いです。GI PrototypeはFinalgatherよりもシェーディングの表現力(存在感や接地感)はあるものの、規定値 1.0 ではノイズが出ており品質向上の余地がありそうです。 シーン B は、GI Prototype と Finalgather共にそれほど差は無い事が分かります。 シーン AB共に、Finalgather Forceはレンダリング時間がとてもかかる割には、Finalgather と殆ど印象の差がありません。

Indirect Diffuse Quality

Indirect Diffuse Quality

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シーン AB共に数値を上げる事で品質向上効果が見られます。Reflection/Transmission 系マテリアルのDiffuse 成分が低いオブジェクトに品質向上効果は見られません。1.0 と2.0を比較すると品質向上が見られますので、2.0 以上に設定することで品質向上が期待できそうです。 レンダリング時間に関しては数値が上がるほど跳ね上がっていく事が分かります。

Material (MILA) Quality

Material (MILA) Quality

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Reflection/Transmission系マテリアルの Glossy/Roughnessの品質が、上がっていく事が分かります。ただ、規定値である 1.0 を堺にあまり品質向上効果は見られません。レンダリング時間を見てみるとシーンAの方に関して1.0を堺に若干短くなっています。 シーンBに関しては頭打ちのようです。

まとめ

・各サンプリング設定項目が結果にどう影響するか理解することが重要。
・レンダリングシーンに適した設定を行う事が重要。むやみに設定を上げない。
・実際のお仕事では、オブジェクトディテールもカメラアニメーションもありますので、ノイズがノイズとして認識されない場合もあります。
・コンポジットでエフェクト効果(レンズブラーやモーションブラー等)が加えられる場合、レンダリング画像の品質はそこそこで十分だったりします。

まだまだ検証の余地はありますが、今回はここまでとさせて頂きます。 Mayaを所有していれば使用可能なMentalrayを今回題材にしましたが、Mentalray以外にもレンダラーは多く存在します。レンダラーによってそれぞれ特性は異なりますが、機能と挙動を把握しておくことでレンダリングを最適化することが出来ます。これはレンダリングコスト削減に直結しますので、使用しているレンダラーの挙動がよく分からない、なんとなく使用している方は是非検証してみてください。今まで知らなかった効果を得ることが出来る!?かもしれません。

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