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スティーブン・スピルバーグの「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」で新たなテクノロジーを最大限活用した Industrial Light & Magic

スティーブン・スピルバーグの「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」で新たなテクノロジーを最大限活用した Industrial Light & Magic
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ソリューション:滝、ジャングル、猿のシーン

「プレビジュアライゼーションは Maya で作成しましたが、Halon Entertainment 社の Dan Gregoire 氏の協力を仰ぎました」と Helman 氏は語ります。「さまざまな理由からプレビジュアライゼーションは非常に有益でした。私達は初めの段階で、各エフェクトの作成に最適な手法と人材を決めることができました。1 つの部門だけで各シーンのすべてを処理するのは不可能だということは最初から明らかで、共同作業が必要でした。ライブのアクションスタントの調整とビジュアルエフェクトを 1 つの画面で処理するという非常に複雑なプロセスでしたが、プロジェクトが進むにつれて、プレビジュアライゼーションは進化し続けました。撮影中の段階から、各チームが協議して互いにテストを見せ合い、スティーブンがその結果を評価するのです。素晴らしいコラボレーションでした。」

ライブアクションのスタントワークとビジュアルエフェクトのシームレスな結合は、ジャングルでのハラハラドキドキする長いカーチェイスシーンにとって極めて重要でした。このシーンでインディは、長年、行方不明だった恋人のマリアン(カレン・アレン)や最近になって存在がわかった息子のマット(シャイア・ラブーフ)と一緒に、タイトルでもある"クリスタル・スカル" を巡って卑劣なロシア軍兵士たちと闘いますが、その間ずっと、いろいろな戦闘車を乗り換えながら鬱蒼とした木々の間を走り抜ける必要がありました。

「ジャングルのシーンではたくさんのスタント撮影が必要だとわかっていましたが、ジャングルの植物を作り出すのは私たちの仕事です。」と Helman 氏は語ります。「スタントマンやコーディネーターは素晴らしい仕事をしますが、彼らは平坦のところでないと仕事ができません。私達は当初から、その方が簡単だとしても、デジタルダブル(CG による代役)は使わないことに決めていました。インディ・ジョーンズ映画ならではのスピリットやイメージを大切にしたいと考えたからです。特にジャングルのシーンでは、グリーンスクリーンのスタント映像を引き立たせるコンポジティングやパーティクル処理において、SABRE システムの使用に集中しました。」

同様のスペクタクルシーンとしては、インディやマリアンたちが徐々に激しさを増す 3 つの滝をボートごと落下しながらも進んでいくシーンが挙げられます。映像は極めてリアルに見えますが、どんなに動きが機敏な役者であっても、この場面では Helman 氏らのデジタルテクノロジーの助けを借りる必要がありました。

このシーンを監督した Helman 氏は語ります。「滝のシーンはまず、ブラジルとアルゼンチンの奥地でヘリコプター撮影した手の込んだショットで始まります。実際の滝はあまりにも激流でボートで下ることができないので、ヘリコプター撮影の他に、グリーンスクリーンを背景に橋やボートの部分を撮影しました。必要なときにシーンを埋めるのに使う水の要素もたくさん撮りためておきました。Maya で素晴らしいプレビジュアライゼーションができたおかげで、極めて正確な滝の地形図を作成できたのですが、すべての映像は 60 フィート(約 18 メートル)上から見下ろすように撮影されているため、トラッキングが大きな課題でした。シーンを合成して制作するために、当社独自のトラッキングツールを組み込んだ Zeno と SABRE を併用してシームレスなルックを作り出したのです。」

ストーリーをすべて明かすことはできませんが、あえて言うなら、「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」にはインディの助けとなる猿の群れや貪欲なアリの大群など、たくさんの生き物が登場します。

「猿のシーンでもアリのシーンでも Maya が大活躍しました。当社のテクニカルディレクター Jacob Buck が Maya 内でシステムを構築してくれました。これはアニメーターがfollicleノードを使って、変形するキャラクターにモーションパスをアタッチしたり操作したりできるシステムです。アニメーターは適合するアニメーションをインポートして、ヒーローのアニメーションに数匹のアリを素早くアタッチできました。人間のキャラクターの全身を這い上がるアリの大群を補うものです。デイリー(編集用の下見映像)で注目を集めたのは、悪役の鼻まで這い上がるようにアニメートされた大胆な CG のアリでした。」と White 氏は述べています。

成果

最近の映画史上でおそらく最も期待の高いプロジェクトに参加した Helman 氏、White 氏と ILM のチームは、楽しみながらも長時間に及ぶ仕事を18 カ月以上にわたり行なってきたわけですが、インディ・ジョーンズと同じく、驚くほど元気に切り抜けたのです。この複雑なプロジェクトがスムーズにできたのは、素晴らしいコラボレーションとコミュニケーション、そして優れたツールのおかげだと Helman 氏は述べています。

「Infernoを使うことはごく自然な選択でした。」と彼は当然のことのように言います。「特に大切なシーンである滝のシーケンスには、単純に Inferno のスピードと柔軟性が欠かせなかったのです。このような意欲的なショットのトラッキングやインテグレーションには、極めて迅速に処理できる柔軟性が必要でした。SABRE 責任者の Dan O'Brien や Chad Taylor との共同作業では、まさしくコミュニケーションと迅速なコミュニケーションを導き出すコラボレーションのために設計された Inferno のツールに助けられました。」

Autodesk Maya のお気に入りの機能を尋ねると、White 氏は少しためらいながら答えてくれました。

「それほど目立ったことではないかもしれませんが、Maya に Python スクリプトが追加されたことは ILM にとっては思いがけない幸運でした。Maya と独自のソフトウェアを接続するアプリケーションを記述できるようになり、利用可能なPython モジュールの素晴らしいライブラリもあります。Python を使って Maya を当社のアセット管理システムやプロダクションデータベースに接続できるので、キャラクターや編集上の変更を自動更新できるのです。」

White 氏にこの映画制作を通して経験した苦労を聞くと、とても明るく答えてくれました。

「信じられないほど素晴らしい経験でした。 Pablo はスティーブン・スピルバーグ、ジョージ・ルーカスの両氏と仕事を通して緊密な関係を築いていたので、そのことがプロセスをスムーズに進めるのに大いに役立ちました。スティーブンは自分の求める映像について明確なビジョンを持っていて、想像できる限りで最も実力あるコラボレーターです。今回のような映画を長年作っているスティーブンはプロセスに関する知識を豊富に持っています。そして一緒に仕事をする上でこれ以上素晴らしい人はいません。」

「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」はあなたのキャリアの中で最も難しい仕事でしたかと尋ねると、Helman 氏は苦笑いを浮かべてスピルバーグの言葉を引用しました。

「私達は皆、厳しいスケジュールにへとへとになったのですが、スティーブンに言わせるとこうです。"仕事はちっとも大変になっていない。僕達が歳を取っただけだ。"」

これはインディ・ジョーンズ本人にとっても当てはまる言葉かもしれません。

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