Framestore が『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー：リミックス』で成し遂げた 6 つのヒーロー的偉業

1/ ロケットの再登場に勢いをつける

一作目でロケットの作成に携わった私たちにとって、本作は、アニメーションの向上と新しいコスチュームでロケットを洗練させるチャンスでした。ただし、チャーミングで、冗談好きに見えなくてはなりません。彼自身は変わってはいないのです。私たちは実際のスーツをばらばらにほどき、型紙を作りました。それを参考に、Marvelous Designer というツールで 3D のスーツを再構築しました。それからロケットにスーツを着せ、微調整を加えてリアルに見えるようにしました。シミュレーション作業はすべて Maya でやっています。

2/ ベビー・グルートを再始動させる

本作では、すっかり様変わりしたベビー・グルートが登場します。表情豊かであっても、人間と同じではない。赤ちゃんのようであって実はエイリアン。木でできているが、年寄りではない。自社開発のツールと、Maya でのプラグラミングを駆使して、「木」らしさを持ったキャラクターを作成できました。たとえば、あるツールは、一部の領域では木の特徴である「硬さ」を保持し、一部の領域には伸縮性を持たせて表情が伝わるようにしました。

3/ 黄金の都市を回転させる

オープニングのグルートのダンス シーケンスは、大がかりな作業でした。4,000 フレームも続くシーンは、ちょっとした映画作品です。黄金の都市は反射性が高く、現実に忠実です。雲に覆われ、変化する空を可能な限り自然に見せるために、開発を重ね、レンダリングにも時間をかけました。ミスは一切許されません。

4/ 戦闘シーンをリアルに表現する

ガーディアンたちは、巨大で半透明のタコのような「アビリスク」と戦います。皮膚が透けているため、内部構造と外部構造を作成し、はじめに内部ジオメトリをレンダリングしました。内部構造について 開発を行い、シミュレーションを実行し、その後でスキンをアタッチしました。また、このキャラクターのレンダリング用に新しいサブサーフェス スキャッタリング シェーダを作成しました。それからシェーダを修正して、精度とリアルさを高めました。コスチュームのクロス シミュレーションの作成、アビリスクの脂肪でたるんだ皮膚のシミュレートに役立ったのは、もちろん Maya の nCloth （クロス機能） です。

5/ MAYA および ARNOLD とタッグを組む

モデリングはほぼすべて、Maya で行いました。各ツールのレイアウト、豊富な機能、そして使い慣れたショートカットによって、アセットのモデリング時間を大幅に短縮できました。
新しいクワッド描画ツールは、大活躍でした。プログラムを切り替えなくても、ポリゴン メッシュのエッジ フローを修正できます。

Mudbox のツールが Maya 2017 に統合されたことで、カメラの視点からの見た目で、ショットごとにヒーロー キャラクターを調整できるようになりました。この統合がなければ、クライアントの要求に応えるのは難しかったでしょう。モデルのディスプレイスメントとディテールにはZBrush を使用しましたが、ベース モデルはすべて Maya で作成しました。

ロケットやベビー・グルートなどの主要キャラクターのアニメーションには、2D のキーフレーム アニメーションを使用しました。これに対し、ラヴェジャーズのような一部のバックグラウンドのキャラクターには、モーション キャプチャを使っています。アニメーションも仕上げに使ったのは、どちらの場合にも Maya です。

カスタムのシェーディング、ライティング、レンダリングには、カスタマイズした Arnold で行えるようにしました。また、自社開発のソフトウェアを使ったライティング、ジオメトリの変換も Arnold で実装できるようにしました。

6/ SHOTGUN ですべてを管理する

マーベルの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー：リミックス』で、ロケットやベビー・グルートなどのヒーロー キャラクターを手掛け、1,000 を超える VFX ショットと CG アセットを作りあげました。.クライアントから104,737 のコメントをもらい、12,900 のタスクをこなし、100,000 のイテレーション（反復作業）を成し遂げました。ここで活躍したのが Shotgun です。スケジュールや、社内およびクライアントからもらったコメント、メモ、フィードバックは Shotgun で管理しました。