株式会社バンダイナムコゲームス
アイドルマスター2
PV 制作における Softimage の活用
- 映画・TV
モーショングラフィックス
タイトルのロゴデータは、グラフィックデザインチームによって制作されるが、分解して動作させる事まで想定されたデータ構成にはなっていない。このデータは、辻山氏によって分解、再構築された後にSoftimageへと読み込まれ、ロゴのアニメーションが設定される。
ロゴを全て 3D 上で制御する意義は、2D 表現では不可能な動きや各エレメントのシームレスな静止ロゴへの変化が表現出来るためだ。合成時にフラッシュさせて素材を差し替える方式ではなく、シームレスに流れるようにタイトルロゴが変化する演出が施されているのだ。
「アイドルマスターDS」のPVでは、テロップを立体的に回転させる表現が3Dで構築された。
3Dを利用した素材作り
素材準備から合成編集まで全ての作業を行うPV制作作業では、カット内の映像演出に必要な素材を短時間で用意しなければならないケースも多々発生する。こういった場合に2Dだけの表現よりも、3Dを使えるほうが問題解決に臨機応変な対応アプローチがとれるという。このため、必要な素材が2Dであっても、あえて3Dでレンダリングするケースもあるそうだ。また、PV制作においてコンポジットソフトでは困難な映像演出にもSoftimageによる処理が取り入れられている。
インゲームのカメラアニメーション
辻山氏が「アイドルマスター2」プロジェクトでPV制作以外に担当した作業にインゲームのカメラアニメーションがあげられる。ゲーム中には、多種多様なカメラが存在し、プログラム制御によるカメラと、キーフレームアニメーションが設定された演出カメラに分けられる。曲が流れる約2分間をずっとシームレスにアイドルを撮り続けているのが演出カメラである。
演出カメラは、曲調、歌詞、キャラクターの表情やダンス等を考慮してアニメーションがつけられている。例えば、不安な曲調や表情に合わせてZロールや画角を変化させたり、ダンスで手を振った際には注視点を追随させたりといった具合だ。また、実際のカメラマンが撮影している雰囲気を表現するために、急にカメラが逆へ振られた時に少し慌てる動きや、ジャンプした時に一瞬遅れてついて行くなどのさりげない演出も含まれている。
次の動作を予測して空間の確保を心がけながら、破綻がないシームレスなカメラアニメーションを作成するのは、実はとても大変な作業であるという。まず、前提として一曲に対してソロ、トリオの 2 パターン、楽曲によってはクインテットを含む 3 つのパターンを作成する必要がある。そして、楽曲ごとにキャラクターのフォーメーションが全く異なるためにカメラの動きをクリップ化して再利用するような対応がとれないのだ。
また、ソロ・トリオ・クインテットの各パターンに合わせてカメラ位置や画角を最適化した際には、その前後のつながりに対する修正も行う必要があったという。こういった作業では、Softimage の直感的で使い勝手の良いアニメーション編集機能が力を発揮したという。F カーブエディタのフィルター機能、領域ツールによるスケール機能、タイミング編集が容易なドープシートなどを駆使して大量の流れるようなカメラアニメーションが作り上げられた。
現在PVおよび演出カメラ制作は辻山氏+山村氏の2名体制で対応している。山村氏は辻山氏監修のもと「アイドルマスターSP」のダウンロードコンテンツ紹介PVを制作、また「アイドルマスター2」ではPV中の一部テロップを担当。現在は演出カメラ制作にも着手しつつある。山村氏と作業を分担する事により、表現の幅が大きく広がったとの事だ。
センシティブトゥーンと呼ばれるリアルタイムの繊細なトゥーンシェーディングでグラフィックが進化した「アイドルマスター2」は、ゲームの内容はもちろんであるがアイドルたちを捉え続けるシームレスなカメラの動きにも注目したい。そして、細部までこだわって仕上げられているPV映像では、今後の作品でもSoftimage ICEによるエフェクト表現がどう盛り込まれているか楽しみである。
「アイドルマスター2」作品概要 (http://www.idolmaster.jp ) |
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発売日 | 2011 年 2 月 24 日 |
機種 | Xbox 360 |
ジャンル | 国民的アイドルユニットプロデュース(育成シミュレーション) |
価格 | 初回生産限定「特典封入きらきらパッケージ」¥8,800 (税込) 追加生産「通常パッケージ」¥8,800 (税込) |
オンライン機能 | オンラインランキング・ダウンロードコンテンツ |
CERO | B |
スタッフ | プロデューサー:坂上陽三・大村純 ディレクター:石原章弘・加藤正隆 キャラデザイン:窪岡俊之・田宮清高 |
株式会社バンダイナムコゲームス (http://www.bandainamcogames.co.jp/) 第一スタジオ ビジュアルアート ディビジョン 辻山 勝 氏 代表作 「サイバーコマンド」(業務用) ・演出、2D 関係を担当 「MotoGP」シリーズ ・アートディレクション、カメラ演出、モーション、ムービー等を担当。 「リッジレーサー 6 」 ・エフェクト、カメラ演出、PV 制作を担当 「アイドルマスター」シリーズ ・「アイドルマスター L4U !」以降のPV 、アトラクトムービー、エフェクト等を担当 ・「アイドルマスター 2 」ではアトラクトムービー、演出カメラ、PV 制作を担当 |
導入製品/ソリューション | ・Autodesk Softimage |
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