株式会社バンダイナムコゲームス
アイドルマスター2
PV 制作における Softimage の活用
- 映画・TV
国民的アイドルユニットをめざし、きらめく舞台はさらなる高みへ!
2005年にアーケード版として稼働が開始したアイドルマスターは、プレイヤーが芸能事務所の新人プロデューサーとなりトップアイドルを育ててゆく人気シミュレーションゲームだ。同タイトルは、これまで Xbox 360、PSP、ニンテンドー DS 向けにリリースが行われており、Xbox 360向けの完全新作である「アイドルマスター2」が2011年2月24日に待望のリリースとなった。
今回は、「アイドルマスター 2 」における PV制作のワークフローについて株式会社バンダイナムコゲームスの辻山氏にお話を伺った。辻山氏は、アイドルマスターチームの専属スタッフでは無いが「アイドルマスター ライブフォーユー!」以降アイドルマスターシリーズほぼ全ての PV 制作に携われてきたという。PVが活用される場面は、インターネット配信、展示会やライブ会場での上映、店頭モニターでの上映などが例としてあげられる。製品の魅力を伝えると共に、発売日や特典といった情報を分かりやすく伝えるために PV は効果的な手段である。アイドルマスターシリーズは、ゲームの発売後に定期配信されるダウンロードコンテンツの人気が高いことも特徴である。こうしたダウンロードコンテンツとして追加配信される楽曲、衣装、アクセサリーなどの魅力を伝える事も PV の重要な役割である。
PV制作のワークフローは次のとおりである。
(1) 各種検討
・ 広告宣伝チーム、プロジェクトスタッフと内容や公開日等を決定
・ 作業分担の明確化
・ ステージ、衣装、楽曲など詳細の確認
(2) 情報整理
・ 作業フローをPV内の時間軸にそって図式化
・ 不足している素材や未決定事項の洗い出し
・ テロップ内容のブラッシュアップ
(3) 素材収集
・ 動画キャプチャー
・ タイトルロゴ等の各種画像
・ 各種テキスト情報
(4) 加工・作成
・ ロゴデータの最適化や 3D 化、素材作成等
・ レンダリングやコンポジットソフトによる合成加工
(5) 編集・確認
・ 用意した素材の編集と確認
(6) サウンドスタッフへのMA作業依頼
・ スタジオ音源を用いたミキシングや、効果音編集を依頼
(7) 最終映像の完成
・ 最終サウンドと映像素材をマージして完成
(8) 適切なフォーマットへの変換
・ 使用形態やメディア毎に適切な納品フォーマットに変換
PV制作の作業は、各部署との連携が重要であるという。例えば、広告宣伝チームがポスターで使用している文章と映像内での表記の統一や、ウェブやパッケージとのカラーや雰囲気の統一など様々な注意が払われ映像制作が行われている。「アイドルマスター2」最初のPVは、製品の発売日から実に半年前に公開されている。開発の途中段階に適切な素材を準備して映像を完成させるためには、各セクションとの協力や連携が不可欠である。そして、必要な情報と必要のない情報を切り分け整理を行いながらPV制作は進められる。
Softimage ICEを利用したエフェクト作成
PV制作には2D編集ソフトだけでなく3DソフトであるSoftimageによる素材制作も積極的に行われている。
オープニングの舞い散る羽の表現には、ICEパーティクルが活用されている。まずは、動きのベースとなるモーションパスが作成され、このパスに沿ってエミッターを移動させている。エミッターから発生するパーティクルに羽のモデルをアサインしてランダム要素の調整が行われた。量、サイズ、回転、カラー、速度、透明度などがICEノードのパラメータとして調整されている。
ICEのアドバンテージは、一度エフェクトをライブラリとしてストックしてしまえば再利用や応用が容易に行える点である。インゲームで使用されているエフェクト素材をICEのインスタンス機能を利用してパーティクルに割り当てレンダリングを行うケースもあったそうだ。試行錯誤が容易であるノードベースの利点を活かしてエフェクトの発生や消失のタイミングは非常に細やかな調整が施されている。1、2フレームのタイミングでも映像から受ける印象が大きく異なるために、場合によっては前後の2パターンを作成して比較検討も行われている。素材制作から編集の細部に至るまで、フレーム単位での繊細な調整が施されており、これが何度も繰り返し観たくなるような気持ち良さにつながっている。
ゲームに登場するユニット『竜宮小町』のアクセサリーをイメージしたICEリジッドボディによるエフェクトもさりげなく映像に盛り込まれている。
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