チュートリアル / もしもMotionBuilderでプリビズをしたら
第5回:なぜプリビズをするべきか

更新日 2012.01.19

おひさしぶりです。いろいろゴタゴタしてまして執筆が遅れてしまいました。
と言いますのも、私は2007年より(株)IMAGICAでプリビズ業務を行なってきた訳ですが、昨年末に退職し、本年より(株)IDAにてプリビズスーパーバイザーとしての活動を開始しました。前会社でも続けられないわけではなかったのですが、そこはポスプロの日本最大手、いろいろしがらみもありますし、なにより本業はポスプロなわけですから、プリプロ業務であるプリビズを行なうには難しいところもあったわけです。私も家族を抱える身なので、この年齢での転職は大きな冒険になるのですが、プリビズという新しい事業に手を染めてしまったからには徹底的にやるしかないと思い、一念発起した次第です。

というわけで、前回の終わりに「次回はバーチャルカメラについて」という予告を致しましたが、この機会なので予定を変更し、「なぜプリビズをするべきか」というお話させて頂ければと思います。


どんな映像をつくりたいですか?

AREA JAPANをご覧になっている方の多くは、CGクリエイターの方々だと思います。Autodesk社のソフトを活用され、様々なメディアで映像制作をされていることと思います。

そこでお聞きします。

皆さんはどんな映像をつくりたいですか?
「何をバカなことを聞くんだ」と思われるかもしれませんね。「クオリティの高い映像をつくりたいに決まっているだろう!」と。
でも、一度じっくり考えてみてください。
本当にそれができていますか?
予算や納期に阻まれて、自分の納得するレベルに達していないことが多いのではないでしょうか?「仕方がない」と自分を納得させてしまっているところはないでしょうか?

商業映像の場合、予算や制作期間に限りがあり、どうしても妥協せざるを得ないところはあります。ですが、私は今の現状が限界までトライしているとは思えないのです。
ハリウッドの送り出す映像と日本の映像とを比較すると、その差は歴然です。多くの方は「かける予算も時間も違うんだから仕方がないじゃないか」と思われるでしょう。本当にそうでしょうか?他に原因はないのでしょうか?もっとクオリティを上げる方法はないのでしょうか?


ハリウッドの映像制作における変化

ハリウッドでも潤沢に予算がある夢のような時期は終わりました。サブプライムローン問題から引き起されたリーマンショックによる景気の急激な悪化のため、予算は削減され、フィルムも満足に使えないという事態に陥りました。そこで盛り上がったのが、デジタルによる効率化です。効率化というとマイナスイメージを持たれるかもしれませんが、そうではありません。デジタルを活用して、映像の質を落とす事なく、映像制作を進める方法を考えた訳です。
その中核になったのが「プリビズ」でした。


3Decemberでのスペシャルセッション THE THIRD FLOOR のクリス・エドワーズ 氏による「プリビズの未来」の様子。プリビズの必要性・重要性について興味深い話が語られました。
昨年12月8日にラフォーレミュージアム六本木で開催された3December2011の中のスペシャルセッションや、12月9日にパシフィコ横浜で開催されたプリビズセミナー(ビジュアルメディアExpo2011)に参加された方はご存知でしょう。プリビズがハリウッドにおける映像制作にどれほどの威力を発揮しているか。。。実際、米国において制作予算は大きく削減されていますが、ハリウッド制作の映画をご覧になってそれを感じる事ができるでしょうか?ストーリーについては置いておいて。。。

その動きは、もはや米国内だけではありません。ハリウッドの映像制作にも関わるカナダやオーストラリア、英国はもとより、ヨーロッパ各国や韓国などのアジアでもその動きは始まっているのです。どこも、限られた条件の中でいかにしてクオリティの高い映像を生み出すかということに知恵を絞っています。


プリビズの目指すところ

ハリウッドだろうと、英国だろうと、韓国だろうと、日本だろうと使っているツールは、Autodesk社のソフトウェアがほぼ100%担っており、大きな違いはありません。使う人材にも大きな違いはありませんし、私の知る限りにおいて技量の差はほとんどないと思います。であれば、予算や時間などの限られた条件の中であっても、知恵を絞って工夫していけば、もっともっとすばらしい映像をつくりあげることができるはず!日本の映像クオリティをハリウッド制作のものと肩を並べるまで押上げる事ができると確信しています。

そのためにプリビズをするべきなのです。

制作費を安く上げるとか、制作時間を短縮するとかいうことが目的ではありません。より高いクオリティの映像を作り上げる事、それぞれのクリエイターの皆さんの力を思う存分発揮できるような状況を作り上げる事こそが目的であり、目標なのです。

私は、今年、この目標を達成させるべく動き始めます。

日本のプリビズはまだ始まったばかり。
皆さんが考えておられることを教えてください。
「こうすればいいのに」
「こうすればもっとうまくできるのに」
それこそが鍵なのです。その鍵を貸してください。私がプリビズの扉を開きます。

というわけで、次回はMotionBuilderチュートリアルに立ち戻り、「バーチャルカメラ」についてお話をしたいと思います。

更新日 2012.01.19
著者プロフィール
山口 聡
山口 聡
(株)IDA プリビズスーパーバイザー
90年代、日立系企業にて業務用フライトシミュレータを開発しながら、CG技術のイロハを学ぶ。その後、97年に(株)IMAGICAに入社。モーションコントロールカメラシステムMILOを担当し、映画、CMなどの実写とCGとの合成に携わる。2000年にMILO用プリビズシステムMILOBOTを開発。2005年よりMILOBOTを汎用プリビズシステムに改良し、リアルタイムプリビズとして運用。映画やCMでプリビズ作業を担当する。2012年より(株)IDAにてプリビズ業務を開始。米国Previs Society会員。米国Visual Effect Society会員。座右の銘は「為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」。

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