チュートリアル / ゼロから始めるMAYAアニメーション
第3回:リアルな動きに見せるコツ!
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今回はリアルで説得力のあるモーションを作るための大事なポイントを理解することが目標となります。アニメーションの原則なんて聞くと難しそうに聞こえてしまいますが、身の回りで起きている様々な物体の動きを意識して見てみれば当然の内容ばかりです。
チュートリアル動画と同じシーンデータを触りながらコツを掴みましょう。
① スペーシングとタイミング (Spacing & Timing)
スペーシング…キーフレーム間の距離を短くすれば遅く、長くすれば速く動きます。
タイミング…モーションの開始や終了のキーの時間をずらすことで同じスペーシングでも速度差が生じます。
使用するシーンデータはSpacingAndTiming.mbです。
(チュートリアルで使用するシーンデータはこちらからダウンロードできます。)
② イーズインとイーズアウト(Ease in & Ease Out)
物体は基本的に急に動き出したり、止まったりはしません。動き始めや止まる際にこの原則を意識すると、より自然な動きを表現できます。別名スローイン、スローアウトとも言います。
イーズイン…動いている物体が徐々に減速して止まる動作。(スペーシングが徐々に小さくなっていく。)
イーズアウト…止まっている物体がゆっくり動き出す動作。(スペーシングが徐々に大きくなっていく。)
使用するシーンデータはEaseInAndEaseOut.mbです。 (チュートリアルで使用するシーンデータはこちらからダウンロードできます。)
③ 運動曲線(Arc)
物体の動きをなぞっていくと綺麗な曲線が表れてきます。この運動曲線に歪みがあると違和感につながります。
綺麗な動きを作るためにはモーション軌跡を表示するのが効果的です。
使用するシーンデータはArc.maです。 (チュートリアルで使用するシーンデータはこちらからダウンロードできます。)
④ 慣性(Follow Through and Overlapping Action)とポーズ トゥ ポーズ(Pose to Pose)
慣性…中学理科で習う物理法則として有名な慣性の法則です。電車に乗っている時に電車が急発進したら、乗客は後方に置いて行かれそうになります。また、走行中に急ブレーキを掛けると進行方向に傾きそうになります。
これは物体が元の状態(動いていたり、止まっている状態)を維持しようとするため、急に環境が変化しても元の状態を維持しようとするために起きる物理現象です。
ポーズトゥポーズ…アニメーションは連続したポーズの連続ですが、MAYAはキーとキーの間の動きを自動で補間してくれます。そのため、全フレームにキーを打つのではなく、動きの中で大事なキーポーズだけにキーを打っておくだけでも大まかなモーションの流れを作ることができます。
ポーズトゥポーズで大きな動きの流れを作った後に慣性を意識してキーをずらしていくと、とてもリアルな表現になります。
使用するシーンデータはFollowAndOverlap.maです。 (チュートリアルで使用するシーンデータはこちらからダウンロードできます。)
⑤ 潰しと伸ばし(Squash and Stretch)と予備動作(Anticipation)
潰しと伸ばし…跳ねるボールに潰れる動きや伸びる動きを足すとボールの弾性を表現できたり、生命感を与えることができます。同様に人体でも屈んだり伸びたりすることでジャンプすることができます。
予備動作…例えばジャンプする前に膝を曲げて腕を後ろに振ると、「腕を前に振りながらジャンプするかもしれない。」と、次の動作が予想できます。予備動作を入れることで見せたいモーションが更にリアルに感じられるようになります。
使用するシーンデータはSquashAndStretch.maです。 (チュートリアルで使用するシーンデータはこちらからダウンロードできます。)
⑥ 誇張表現(Exaggeration)
誇張表現…カートゥーン調なアニメだけでなくリアルテイストの3DCGでも用いられます。その中の一例を紹介します。
使用するシーンデータはExaggeration.maです。
(チュートリアルで使用するシーンデータはこちらからダウンロードできます。)
まとめ
物体は急に動き出したり止まったりしないので、イーズを意識してスペーシングの調整をしていきましょう。
キーのタイミングやスペーシングによって動きの速度が変化し、速くなれば伸ばしや慣性で置いて行かれる具合(のこし)も大きくなり、止まるときのオーバーラップや潰しは大きくなります。
また、速く、強く動くためには大きな予備動作を必要とします。それらのキーポーズを一つずつ丁寧に作っていきましょう。ポーズトゥポーズで作った大きな流れに、これらの原則を意識してキーを加えていくことで説得力は増していきます。
そして、単に現実的な動きだけでは迫力に欠ける場合に、現実より少し大げさにモーションを付けたり、見えないところで上手に嘘をつく事で見せたい部分を誇張することも魅力的な作品を作るためには必要な技術です。
今回紹介した内容を意識して作るかどうかでクオリティの差は歴然です。世の中に出回っている映像作品はこれらの基本原則をしっかりと意識して作られています。
基本原則を意識しながらたくさんの映像作品を見て、色々な種類のアニメーションを作ってみましょう。
次回はMAYAに標準搭載されているHumanIKの基本操作を学び、人体が歩く動作を作っていきます。