チュートリアル / 初めての背景モデル制作
第1回:写真からモデルをおこす - ラフモデル制作

2021.07.01

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みなさんこんにちは。
SAFEHOUSE鈴木です。
普段はSAFEHOUSEというCGプロダクションで取締役兼モデリングSVとして働いています。

SAFEHOUSE
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今回コラムでは「初めての背景モデリング制作」を5回に分けて解説させていただきます。
内容としましては前半3回は写真からの模写をベースに僕が背景モデリングにおける基本的な流れと背景モデル制作の注意点を説明します。
後半の2回は弊社のリードアーティストの長岡がファンタジー作品をベースにしたオリジナルの背景作品の作り方の流れを説明いたします。
この全5回を見ていただけたら背景モデル制作が一通り理解できるかと思います。

CGの背景モデルはゲームでも映画でも使われていて、今ではVRやバーチャルプロダクション等でも使われています。
エンターテインメントにおける背景モデルの役割は世界観を表現するということが最大の役割です。
キャラクターがどんな世界にいるのか、それを表現するのが背景モデリングです。
大切なのはその世界観にどうやって説得力を持たせるのかという所が大事になってきます。
その為に必要なスキルとして再現力という物があります。
再現力とは現実にあるものをCGで再現できることです。
今回なぜ前半のコラムに模写というテーマを持ってきているかというと、この再現力を養うという事をやりたいからです。
実際にあるものを再現することで、その物がどういう風に作られているのかを知ることができます。
その物の成り立ちを理解することで、想像上の場所でもどういう作り方をすれば実際にあるリアルな世界のように表現できるかを知ることができます。

まずは背景模写から背景のモデル構造やモデリングにおける注意すべき点を理解しましょう。

今回はこちらの写真を再現したいと思います。

今回再現する写真

まず最初の手順として何をするかというと精巧なモデル(ハイモデル)を作るためのガイドとして使う、簡単な形状のラフモデルを作成します。
言葉だけではわからないと思いますので、わかりやすい制作例として過去の作品を用意しました。
右側がラフモデルで左側が完成したハイモデルになります。なんとなくイメージができたでしょうか?

  • ハイモデル
  • ラフモデル

こういったラフモデルを作成しつつ、この時点でカメラも決めます。
なぜハイモデルを作る前にカメラから先に決めてしまうのかというと背景モデルにおいてカメラからどう見えるかという所が一番重要だからです。
キャラクターと違って背景モデルが360度どこからでも見えることはほぼありません。
逆に言うとカメラから見える範囲だけ作ればOKという事のほうが多いです。
背景の場合は作るものが多いので順番を間違えると見えないところまで作ってしまったりそのせいで多く時間を取られたりします。
合理的に進めるのであれば先にカメラを決めてしまえば余計なものを作らなくてすむのでまずはカメラを決めましょう。
ということで限られた時間の中でクオリティーの高いものを作るには、まずカメラを決めるという事がとても重要なことだという事がご理解いただけたかと思います。

ただカメラを決めるにもカメラに映すものがなければ作れませんので、基準となるラフモデルを作成します。
第一回ではラフモデルを作成し、それを元にカメラから見える範囲をきめていきたいと思います。

ここで問題がラフモデルといってもどこまでラフなのかということですが、物の大きさとドアや窓などの構造が合っていればOKです。
静止画の背景であればそれだけあっていれば基本OKだと思います。
ただ映像の背景となるとキャラクターが歩く場所、キャラクターが触るものなどはラフモデルの段階でほぼ大きさや範囲をきめてしまうことが多いです。
なぜならそのラフモデルを元にアニメーションを付けたり演出を決めたりするのでラフモデルの段階で歩いたりつかんだりするものの形や大きさを決めておくという事です。

このラフモデル、一見簡単なように思えますがこのラフモデルを作る段階が一番大変で一番重要です。

なぜかというと、このラフモデルをベースに今後さらにモデルを作りこんでいくからです。
このラフモデルの段階で大きさや形がずれていたら完成したモデルもずれてしまいます。
再現という点においてモデルの比率を写真と合わせる事は基本的な事なのでデッサンをするように写真を観察しラフモデルを作成しましょう。

まず初めに写真からどのように大きさを図るかというと、写真の中で大体の大きさがわかる基準のものをまず探しましょう。
人物がいればその人物の大体の身長を基準にして、そこを目安に他のところはどれくらいの大きさだろうと予想とたてます。
この写真の場合は人物がいないので扉や手すりが基準になります。
その他にも車や椅子、机、階段、など日常でよく目にするものや規格として大きさが分かるものを基準にすると大体の大きさが見えてきます。

では実際どのようにサイズを決めていくのか見てください。

まずMayaの中での大きさを設定します。
1グリッド1センチがリアルスケールといわれる設定なので今回はリアルスケールでやってみましょう。
1グリッド1センチというとCUBEのスケール1が1センチ四方の箱です。
なのでCUBEのYスケールを180にして身長180センチのヒューマンスケールを作ります。
分かりやすいようにCUBEではなく人型にしていいと思います。

CUBEのYスケールを180にして身長180センチのヒューマンスケールを作る
(左)スケールYに180をいれたCUBE(右)身長180センチ想定の男性

このヒューマンスケールを元にラフモデルを作成していきましょう。
まずは人物と比較しやすい階段の手すりや扉から作成していきましょう。
この段階ではざっくりしたシンプルなモデルで良いです。
大事なのは細かい作りではなく比率です。

人に対して扉はどれくらいの大きさか?
扉の幅と扉の高さのそれぞれの比率はどれくらいか?
扉に対して壁はどれくらいの大きさか?
扉の幅に対して壁の広さの比率はどれくらいか?
扉を基準にして大きさの比率を図りながらまずはざっくりとつくっていきます。

最初からぴったり合わせようとすると完成に時間がかかってしまうのでまずは全体を作ってから調整していくほうが最終的な完成が見えるし全体の比率を見やすいです。

まずは構造などを考えずに大きなアウトラインをとっていきましょう。
この段階で全体の縦横比の比率はある程度合わせておきます。
次に窓の位置や大きさを簡単なモデルで仮置きします。
照明や植木鉢も配置してバランスを取ります。

窓の位置や大きさを簡単なモデルで仮置き。照明や植木鉢も配置してバランスを取ります。

この状態で一度カメラを置いてみましょう。
写真と同じようなアングルになるように調整してください。
見える範囲が同じようになれば写真とぴったり合わなくても別にいいです。
全体のバランス、比率、大きさなどを写真に合うようにモデルを微調整しましょう。
自信のない時は比率を知るために写真に定規のような線を引いて確認してもいいかもしれません。

比率を知るために写真に定規のような線を引いて確認
扉の部分や窓の仮置きした部分をブーリアンやExtrudeをつかって凹まして構造的な凹凸を付ける

比率が合ったら次は扉の部分や窓の仮置きした部分をブーリアンやExtrudeをつかって凹まして構造的な凹凸を付けましょう。
気を付けないといけないのは奥への凹みや手前への出っ張りの比率もわすれないことです。
雰囲気で凹凸をつけるのではなく写真を観察してどれくらい壁側から凹んでいるのかをちゃんと確認しましょう。
この奥行きの凹凸を雰囲気で作ってしまうとせっかく比率に気を付けて作ったスケール感を失うことになります。
軽く窓枠部分も作ってもいいかもしれませんね。
建物が終わったら地面などの周りの環境も簡単なモデルで作っていきます。
構造や大きさが理解できるぐらいのモデリングで大丈夫です。

扉の部分や窓の仮置きした部分をブーリアンやExtrudeをつかって凹まして構造的な凹凸を付

全体的に構造の凹凸をつけたら次はこのモデルに対して仮ライティングを行います。
なぜこの段階でライティングを行うかというと構造の凹凸が作る立体感や影の落ち具合をみて全体の雰囲気をつかむためです。
最終的な完成図を想像しながら作業することはとても重要なことなので意識しておくといいと思います。
今回は屋外なのでドームライトにHDRI素材を張ってライティングしていきます。

仮ライティング

ラフモデルの作成はここまでになります。
料理で例えるならここまでが下準備ですね。
次回はこのラフモデルを元にモデルにディティールを加えていきたいと思います。

今回の動画内で作成したラフモデル二点をスケールを合わせるためのHumanModelをいれた状態でダウンロードできます。
このラフモデルを見比べて作業の流れの雰囲気をつかんで頂けたらと思います。


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