株式会社 白組
トミカヒーロー レスキューファイアー
週 1 回放映の特撮ドラマ制作現場で質と量、納期への厳しい要求に応えた 3ds Max&V-Ray の CG パイプライン
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商品化前提のメカ CG の高いハードルを 3ds Max のさまざまな工夫でクリア
「ビークルのデザインは、金型まで決まった段階で CAD データの形でメーカーからもらいます。金型の制約でデザインが二転三転するので、そこまで固まってからでないと貰えないんですね。それをベースに、金型の制約等で失われた開発者の思いなども察しながら、モデルを一から作り直します」(伏見氏)。
しかし元が商品である以上、市場環境の変化と共にデザインはしばしば変更される。新ビークルのデザインを売行きのよいものに近づけたり、クリスマスなど季節商戦向けの魅力の向上も当然のように行われる。
「全 7 体合体とか(笑)完全に予想外でしたし、演出についても"玩具として見せたい部分、見せたい角度"など、きわめて難度の高い要望が次々リクエストされました。同時に私たち自身がハードルを上げた部分もありますね。前作より新しい動きを、よりリアルなディティールを、と熱くなっていたのが感じ取れました」(八木氏)。
結果としてモデルは、前作以上のディティールを目指し情報量が大きく増え、アニメーションもより複雑な、凝った動きが徹底的に追求された。だが、だからといってスタッフ増員は難しく、従来のワークフローで進めれば負荷が大きくなるのは確実だった。そこで伏見氏らが打ちだしたのが、3ds Max の活用を核とするワークフローのスリム化への取組みである。
「たとえばバンプマッピング。クルマ等のモデルでは、エッジを丸めて入れるハイライトが非常に重要です。本作ではバンプマッピングで処理してボックスのままハイライトが入るよう工夫し、情報量を 1/4 まで減らしました。またテクスチャも UV で開くのを止め、自動でダートを焼き付けコンピュータに書かせています」(伏見氏)。
こうした 3ds Max の活用を主体とするスリム化や効率化への工夫は、CG 制作に関わるあらゆるパートで推進された。マテリアルやテクスチャのテンプレート化、銀玉から作成した環境 HDRI からの反射をベースとするライティングの簡素化、3ds Max 利用を前提にしたコンポジターとの連携等々、その工夫は数えきれないほどとなった。
「まあ、そうやって情報量を減らしても、その分また作り込んだりしているので負荷はあまり変わらなかったかもしれませんが(笑)。クオリティは確実に上がりましたね。厳しいスケジュール下で次々変更が発生する今回のようなプロジェクトでは、豊富なプラグインでどんな要求にも臨機応変に対応する 3ds Max が最適だ、とあらためて確信しました。この経験を生かして、次も皆で新しいことに挑戦したいですね」(伏見氏)。
導入製品/ソリューション | ・Autodesk 3ds Max |
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導入目的 | ・特撮ヒーロードラマの SFX 制作ツールとして ・自動車風メカの質感のリアルかつ効率的な再現 ・より新しい動き、より精密なディティールの表現 |
導入ポイント | ・V-Ray との組合せによるワークフロー ・用途に合せて選択できる豊富なプラグイン ・直感的な操作が可能なインターフェイス ・ユーザが多く、熟練者を集めやすい |
導入効果 | ・多様なプラグインツール・機能による作業効率化 ・度重なるデザイン変更等の要請に柔軟に対応 ・新しい動き、精密なディティール表現を効率的に |
今後の課題 | ・作業効率化、品質向上のさらなる追求 ・より柔軟かつ合理的な制作ワークフローの確立 ・より多彩かつ高度な新しい CG 表現の開発 |
作品概要 | 「トミカヒーロー レスキューファイアー」 ジャンル:特撮ヒーロードラマ(TV) 期間:2009 年 4 月 4 日 ~ 2010 年 3 月 27 日(51 回) 制作:「トミカヒーロー レスキューファイアー」製作委員会 シリーズ監督:岩本晶(白組) 制作&VFX プロダクション:白組 © 「トミカヒーロー レスキューファイアー」製作委員会 |
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*上記価格は年間契約の場合の1ヶ月あたりのオートデスク希望小売価格(税込)です。