有限会社ATA企画 
Autodesk Visualization Contest 2007 初挑戦&ダブル入賞した「1枚の絵」

有限会社ATA企画 Autodesk Visualization Contest 2007 初挑戦&ダブル入賞した「1枚の絵」
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高畑氏の8位入賞作「午後の中庭」
高畑氏の8位入賞作
「午後の中庭」
「Capitol」
「Capitol」
ドイツ議事堂をアレンジし3ds MaxでフルCG化。要素が非常に多く複雑なため、あえて大天窓から影を落とさないことで柔らかく空間を表現した.

オートデスクのメディア&エンターテインメントでは、毎年、オートデスク製品のユーザによるCG作品コンテスト「Autodesk Visualization Contest」を開催している。これはメディア&エンターテインメントの製品であるAutodesk® 3ds Max® 、Autodesk® VIZ、Autodesk® Maya®で作成された建築、デザインビジュアライゼーション作品を対象とするもので、この分野のCGコンテストとしては規模、実績ともにトップクラスのイベントだ。多くの建築系3ds Max/Mayaユーザにとって、いわば「憧れ」のCGコンテストといえる。

2007年11月、東京都港区のカナダ大使館において、「Autodesk Visualization Contest 2007」の結果発表イベントが開催され、コンテストの審査結果が発表された。審査は例年以上の激戦となったが、注目すべきはその最優秀賞と8位に、同じ会社に勤務する2人のCGアーティストの作品が選ばれたことである。建築系でトップクラスのCGアーティストが集うこのコンテストではこれまで、同一企業の応募者によるダブル入賞というケースはほとんど例がなかったのだ。そんな注目の受賞者、ATA企画の多田朱利氏と高畑真澄氏に話を聞いた。

「1枚の絵」としてよりよい建築パースを

多田 朱利 氏
ATA企画
CGアーティスト
多田 朱利 氏

「コンテスト自体は以前から知っていましたし、応募したかったのですが、実際にはなかなか出せなくて。実は今回が初挑戦でした」と語るのは、最優秀賞を受賞した多田氏。バンクーバーで建築デザインおよびCGを学び、3ds MaxをメインツールにCGアーティストとして十数年のキャリアを持つ同氏は、実兄の多田剛氏とともに1998年にATA企画を設立し、同社のパース部門を率いている。最優秀賞受賞作「Honeycomb Tube Design」は、バンクーバー時代の思い出をイメージした作品だ。

「スキーシーズン直前の少し寂しいバンクーバーのイメージです。見てほしいのはハニカム構造と窓ガラスの表現。ガラス越しの室内の蛍光灯と、ガラス面への映り込みが違和感なく処理できました」(多田氏)。

仕上がりには満足した多田氏だが、それでも上位入賞は難しいと考えていた。これまでの入賞作のクオリティはそれほど高く、特にディティールの作り込みは「すごい」ほどだったのだ。

高畑 真澄 氏
ATA企画
CGアーティスト
高畑 真澄 氏

「1年がかりで作り込むようでなければ勝てない、と思っていたんです。でも、それではいつまでも応募できませんから。今回はディティールにとらわれず、1枚の絵としてよいものにしようと方針を変えました。それがよい結果に結びついたのかもしれません」(多田氏)。

このような多田氏の姿勢は8位入賞の高畑氏にも共通している。同氏も、細かく作り込んだものが評価されると思っていたため自信はなく、入賞は完全に予想外だったという。

「最初ガレージをテーマに作り始めたんですが、ライティングが納得いかず路線を変え、車を捨てたりいろいろと省いて、未来の当社オフィスをイメージした"午後の中庭"になりました。絵としてのポイントは空気感。でも、技術的に手の込んだことは何もしてなくて...。だから見た人に"癒される"といわれた時は本当にうれしかったです」(高畑氏)

フォトリアルだけでない建築パースの新たな流れ

「今興味があるのは3ds MaxとRevitの連携。設計者がRevitを使うようになったらすごいことになりますよ。私も3ds Maxの技術を磨かなければ!」(多田氏)

このようにして、ユニークなアプローチによりダブル受賞を果たした多田氏、高畑氏が勤務しているATA企画は、建築トレースを中心に、CGパースから動画、手描きパース、さらには設計、DTPまで幅広く展開しているユニークなクリエイティブスタジオである。代表を務める多田剛氏は一級建築士の資格を持つアーキテクトであり、トレースやパースについても、建築のプロとしての視点でディレクションを行っている。つまり、このプロの視点を生かした高品質な仕上げが、同社のクリエイティブワークにおける大きな特徴となっているのである。

「3ds Maxをもっと勉強し、いろいろ語れるようになりたいですね。また 絵的なセンスもますます重要になるので、それも高めたいと思っています」(高畑氏)

「当社のように、トレース部門とCG部門が同居しているクリエイティブスタジオはそれほど多くないと思いますが、実はこれも当社の強みのひとつなんですよ。この両者が密接に連携することで、例えば修正対応などにおいても高い作業効率が発揮されるんです。一方、CGパースについては、近年はフォトリアルだけでなく"絵"的なニーズも強くなっているので、特にアングルには非常にこだわっていますし、手描きの感覚を生かした季節感や空気感の表現などにも力を入れています」(高畑氏)。

実際、「絵」としての仕上がりに力を注いだ両氏の作品が、今回のコンテストで大きな支持を集めたということは、これまでのようなフォトリアルばかりではない、パースの新たな流れを示しているといえるだろう。

このように、時代の先端を行く多田氏たちのクリエイティブを、文字どおりメインツールとして支えているのが3ds Maxなのだ。そして、この3ds Maxという選択は、建築ビジュアライゼーションのクリエイターとして長いキャリアを積み重ねてきた多田氏が、その長年にわたるツール遍歴の果てに、たどり着いた結論だったのである。

技術を向上させる要素が非常に多い3ds Max

「最新の3ds Max 2008で、巨大プロジェクトのモデリングやマッピングでストレスのもととなる、選択/グループ化/マテリアル配置/変換/複製などの処理が速くなったのはうれしいです。バージョンアップで機能が増え、操作が重くなる場合がありますが、3ds Max 2008は逆に、単純だが一番使う部分が速くなった。さすがです」(多田氏)

「22歳の時にバンクーバーの建築学校に留学しCGもそこで学びました。卒業後も現地の建築士事務所に入りCG制作を担当。当時は別の3次元CADやCG ソフトを使っていましたが、偶然3ds Maxが使われているのを目撃し、魅了されてしまったんです。特にアニメーションのレベルがとても高く、衝撃的でした」(多田氏)。

この時は導入できなかったという同氏にとって、3ds Maxはまさに「憧れのCG」だった。その後、多田氏は帰国して、まずフリーで建築CG制作の仕事を始めるが、3ds Maxとの再会はさらに数年後のことだった。

「帰国後もツールはいろいろ渡り歩きました。しかしどれももの足りず、常に新しい製品を探していましたね。ある時、海外建築家のCG作品のWebサイトを見ていたら、自分が"よい"と感じる作品が決まって3ds Maxで作られていることに気づいたんです。で、これはもう導入するしかない、と」(多田氏)。

こうして3ds Maxの導入を決めた多田氏は、それまでの多彩なツール遍歴に終止符を打ち、以後は3ds Max一本に絞って使い続けている。その理由として同氏が挙げたのは、3ds Maxの圧倒的な情報量の多さである。当時はまだほかの3次元CGでは参考書や資料がほとんどなかったが、3ds Maxだけは情報が非常に豊富だったのだ。

「基本的な機能、性能の高さはもちろんですが、3ds Maxは資料もプラグインも豊富でセミナーもあり、技術を向上させる要素がとても多いのが魅力なんです。私も3ds Maxを使い始めて約6年ですが、まだまだ試したい機能、向上させたい技術がたくさんあるんです。次回のコンテストも恥ずかしいものは出せませんし、今後も技術向上に積極的に挑戦していきたいですね」(多田氏)

有限会社ATA企画
設立:1996年
資本金: 300万円
年商:6,800万円
代表者:代表取締役 多田 剛
従業員数:12名
事業概要:一級建築士事務所、設計、トレース、CGパース製作
URL:http://www.atakikaku.com/

Autodesk Visualization Contest 2007
受賞者発表ウェブページ
http://me.autodesk.jp/event/avc2007/winner.html

導入製品/ソリューション Autodesk 3ds Max
導入目的 ・事業の中核である建築CG制作のメインツールとして
・特に建築パースの高品質かつ多彩な表現を、効率的に実現するため
導入効果 ・各種のハイクオリティーな建築ビジュアライゼーションを効率的に制作
・スタッフのCGアーティストとしての技術の向上が加速
・フォトリアルに加え、手描き感覚を生かした季節感や空気感まで、多彩かつ繊細なCG表現の拡大
今後の展開 ・建築CGにおける表現力の高度化と作業効率化のさらなる推進 ・3ds Maxによるリアル人体モデルの開発と、これを生かしたアニメーション制作体制の強化
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