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Star Wars The Force Awakens. © and TM Lucasfilm, Ltd. All Rights Reserved
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映像制作の現場から 映画編

Posted: 2017.04.21

映像制作現場のフロー

映像といっても制作手法によっては、その流れ(フロー)も大きく変わってきます。やはり映像のメインとなるのは実写プレート(撮影素材)です。この実写プレートを映像の中でどの様に活かすのか?これによって制作の工程も大きく左右されます。

ここではオートデスクのウェブページということもあるので、デジタルツール寄りの話になっています。フローはその条件によって大きく変わるので、ここに記載されるものは非常に大きなくくりであると考えてください。

では、実際の映画の制作現場のフローを見てみましょう!

映画制作のワークフロー
映画制作のワークフロー

映像制作の中で、映画・テレビ・CM制作においては最近では掛ける予算と時間を除けば、フローは大きくは変わらないでしょう。

映画作品の制作において2つのポイント

1. 情報の共有化

映画作品の制作は予算が潤沢であっても、それなりであっても大勢の人達によって制作は推し進められます。大切なことは監督のイメージを如何に共有化し、淀みなく制作を推し進めるか。しかし、業界は常に慢性人手不足。デジタルツールに明るく、新しい技術に好奇心を持つラインプロデューサーは引く手をあまたの状態です。

覚えておこう

ラインプロデューサーとは、「処理」、「折衝」、「管理」の能力が常に求められる職種です。

彼らが最も対峙するのは、監督やクリエーターという独自のこだわりを持つ職種なのです!何度でもチェックをする職種です!ラインプロデューサーは常に時間とも戦わなければなりません。そして誰もラインプロデューサーを休ませてもくれやしません。

オートデスクからの提案

そんなラインプロデューサーには、ShotGrid によって上流から下流まで円滑な「コミュニケーション」、全体の工程管理はスムースにできるシステムづくりをお勧めします!何よりイメージの共有化!百聞は一見にしかず、映像素材にチェックポイントをダイレクトに描き、監督のリテイク意図を各クリエーターと共有することが可能です。さらにはでき上がった映像をスクリーンで即チェック!素早く決定、末端まで伝えましょう!承認要求もメッセージで返事が来るまで何度でも送れます!

ただし、クリエーターも必ず工程報告をするのか?といった疑問も残ることは確かです!彼らは独自のこだわりを持つ職種です!と述べたのは、そういった意味も含まれるからです!頑張れ!未来のラインプロデューサー!

2. プリビズ

また制作費があるならばプリビズは重要です!扱う機材も人も増えることは必至です!やってみたい事は無限大!ですから、制作費が多ければ多いほどプリビスの重要性は高まるのです。

ただし、実写プレートを中心にして考えると、撮影素材を見ながら映像を練り上げていくポストビズを中心に制作を進めるケースもあります。

覚えておこう

プリビスは映像制作での設計図とも言えます。映画の制作現場では、特機と呼ばれる移動撮影用の機材があり、大型機が多いのでカメラアングルを決める場合など動線の決定などプリビスが重要となります。

オートデスクからの提案

プリビズにおいて Autodesk MotionBuilder のリアルタイムの操作性は、現場ではスピーディーに結果を導き出せ、メインツールである Autodesk MayaAutodesk 3ds Max へとデータの受け渡しが最適化されているので、その後の工程に繋げることが容易でしょう。

Star Wars: The Force Awakens © and TM Lucasfilm, Ltd. All Rights Reserved. Image courtesy of Hybride.

Star Wars: The Force Awakens © and TM Lucasfilm, Ltd. All Rights Reserved. Image courtesy of Hybride.

縦と横の編集

監督やクリエーターはプリビスを元にして撮影素材を重ね、編集し、時にはポストビズのチェック用途で合成もおこないます...複数のツールを使うことも良いのですが、ツール間を行き来するということはケアレスミスが発生しやすく、貴重な時間のロスに繋がるといった現実的な問題もあります。

覚えておこう

ところで、実写プレートを撮影するカメラ機材ですが、一眼レフカメラを使うケースが、ここ最近ではインディペンデントの作品において数多く見受けられる様になりました。

ことの発端はCanonの5D Mark IIという一眼レフカメラに動画撮影機能が付き、これを使って2010年にヴィンセント·ラフォレ氏がショートフィルム「Reverie」を撮影しました。業界で作品の評価は高く、彼の撮影スタイルからこの撮影方法に火がついたと言っても過言ではありません。

また最近では、庵野監督は自らiPhoneで撮影し、その素材を「シン・ゴジラ」において「エクストラショット」で使用しました。

オートデスクからの提案

つまり、現場からやってくる撮影素材は、解像度もさることながら画質の違いが如実にあります。Autodesk Flame は、そういった我儘な監督やクリエーターが作成要求した撮影素材をタイムラインに並べ、時には画質を調整し、そして合成を掛けると言った縦と横の編集機能を兼ね備えた素晴らしいツールです。そして、編集・合成はレスポンシビリティが重要です!なぜなら、刻一刻と過ぎていくリアルな「時間」と共にタイムラインに並べられた「時間」を扱うツールだからです。

まとめ

そう、映像作品の制作において大切なポイントは、いかにスタッフ間の「コミュニケーション」を円滑にして、一番初めに設計をおこない、そのアイデアの可否を決める!ことです。映像制作は建築工事と同じで、沢山の職種を持つ人が集まり同じ時間を共有しながら作品をつくり出す作業の集合体であり、予め共通の設計図が必要なのです。

Arrival © 2016 Paramount Pictures. Image courtesy of Hybride

Arrival © 2016 Paramount Pictures. Image courtesy of Hybride

第3のカメラ機材としての3DCGツール

その前に「VFX」という言葉を聞いたことはありますか?
Visual Effectsを略して、VFXと呼ばれています。デジタルツールを利用して実写映像を加工し、視覚面での効果を与えることが主な定義となります。視覚効果とも呼ばれます。

撮影現場で施されるミニチュアや特殊メイク、ストップモーション・アニメーションなど撮影技法であるSFX(Special Effects、特殊効果)に対して、VFXは撮影後のポストプロダクション段階に付け加えられる映像技法です。VFX(Visual Effects)やSFX(Special Effects)のエフェクトを「FX」と略すのは発音が似ている所から来ています。

アメリカのアカデミー賞にはアカデミー視覚効果賞とアカデミー科学技術賞があり、VFXの業界団体としてアメリカには視覚効果協会(VES)、日本にはVFX-JAPANがあります。

上文で、VFXは「デジタルツールを利用して実写映像を加工」とありますが、最近の映像制作において殆どがこの技法によって成り立っているといっても過言ではありません。中には撮影素材を元に「3DCGツール」を使い撮影された風景を完全に3DCGの空間上に再現し、再撮影をおこなうといった技法も採用されています。

大掛かりなセットを組むことは、監督が役者に演出意図を伝え演技を求める上で、役者の理解の仕方が変わってくるため大変重要ではありますが、掛かる予算と時間、かつ柔軟性を考えるとデジタルツールでセットを組んでしまった方がベストな場合も数多くあります。

例えばジェームス キャメロン氏が監督し、2009年に公開された「アバター」は、作品中の殆どがデジタルでつくられた風景となり、登場人物さえもデジタルで制作されています。またアルフォンソ キュアロン氏が監督し、2013年に公開された「ゼロ・グラビティ」。宇宙空間という実際では不可能な場所での撮影を可能にしたのは、やはり「3DCGツール」の力が大きいのです。

覚えておこう

そう!「3DCGツール」は第3のカメラ機材であるということを強く認識しておきましょう!

環境(背景)を生み出すための「3DCGツール」

また実写プレートがメインになると、「3DCGツール」でつくられた背景を合成する場合、違和感を与えることはNGなので、実際の環境(現場)をシミュレートしなければなりません。つまり現場でのあらゆる情報が必要となってくるのです。特に映像は光の集積結果ともいえるので、その光量、被写体との距離・位置関係...などなど。

年々テクノロジの進化と共に扱うデータ量は肥大化する一方です。これは現場での重要な課題であるとも言えます。常に現場への要求度は高すぎるのです!身体的にもデジタルデータ的にも!

覚えておこう

最近では撮影現場でHDRIも有効活用され、レーザースキャナーで地形や現場にある建物といった全てのものをデータ化しています。口で言うのは簡単ですが、機材のセットアップも含めかなりの体力仕事となります!3DCGクリエーターといえども現場に出向いて体力仕事も必要です!今からトレーニングジムに行って身体を鍛えておきましょう!

そして、見慣れた長閑な風景だけが作品に登場する訳ではありません。2016年に公開された「ジャングルブック」の様に密林での舞台や、「白鯨との闘い」の様に大海原での舞台設定もある訳で、最近では大自然を相手にクリエーターは戦わなければなりません。映画を観る人たちは、「日常の中で非日常」を体験するために劇場へと足を運ぶのです!

オートデスクからの提案

なんといっても風や波といった物理シミュレーションも必要になってくるでしょう。となると更にデータが肥大化し、当然のごとくアセットマネジメントも必要だと考えられます。そういった映画作品の制作現場で、特にポストプロダクションで一番多く使われている「3DCGツール」は Maya でしょう。大勢の人達が関わるケースでは、独自にカスタマイズして制作をスムースに運用でき、他ツールとの接続性が高いからです。

The Jungle Book

The Jungle Book, image courtesy of MPC ©2016 Disney Enterprises, Inc.

「3DCGツール」で人は創れるのか?

最近では、特殊メイクという言葉をあまり聞かなくなってしまいました。やはりこの職種も「3DCGツール」に置き換わろうとしています。理由としては、長時間に渡り役者を束縛してしまうからです。

覚えておこう

さすがに主演の役者を全て「3DCGツール」で補うことは相当技術的なハードルが高いと言えます。ですが、画面中央に大写しにならないで背景の一部と見なされる、その他大勢の人たち(群衆・モブキャラクター)や、危険なアクションをデジタル・スタント(CGスタント、デジタル・ダブル)に置き換えてしまう技法が活用されています。

見た目は実写なのですが、登場する役者が全て「3DCGツール」で制作されているのであれば、それはフルCGアニメーションと呼ぶべきなのでしょうか?興味あるところです。

オートデスクからの提案

人は一番身近な対象物であり見慣れているので、人をデジタルで創る場合にちょっとしたことでも直ぐに違和感を覚えてしまうものです。また有機的なディティールは複雑な形状となるのでモデリングでは一苦労なのです。Autodesk Mudbox に見られるスカルプトツールにより、クリエーターにとってイメージを描く様にモデリングが可能なので直感的な操作で作業が進められます。

Ben-Hur, image courtesy of Mr.X

Ben-Hur, image courtesy of Mr.X

最終段階の絵づくりへ

作業は大詰めに差し掛かるのですが、ひとつ忘れてはいけないことがあります。映画の主役とは?ということです。あくまでも映画の中では、主演の役者である=実写撮影素材が主役なのです。元となる実写撮影素材に対して、どこまで忠実にデジタルツールを使ってアプローチできるのか?が重要なのです。

覚えておこう

例えばカメラ機材を使用して撮影された素材には、フィルムカメラ機材であればグレイン、デジタルカメラ機材であればデジタルノイズが撮影素材に含まれます。合成をおこなう上で大切ポイントとして、いかに「3DCGツール」でつくられた素材にノイズを加えられるかということです。つまり画質をなじませ整えるという作業です。

オートデスクからの提案

クリエーターにとって納得のいく作業ができる素材が常に渡される訳ではありません。カメラ機材の撮影だって場合によっては手持ちでおこなわれます。そうなるとカメラのブレは必至です!そんな撮影素材の合成においてマスクを切るという作業は非常に厄介です。Flame は、リアルタイムに編集・合成のプレビューを可能なシステムです。常に結果を確認しながら作業を進めることができます。カメラのブレをスタビライザーで補正し、マスクに対してモーションブラーを掛けて、さらに画質を整えることが可能です。そして最終工程のグレーディングも Autodesk Lustre ではおこなうことができるのです。

まとめ

映画作品の制作において、確かに「3DCGツール」の操作性と特性を知ることは必要不可欠なのですが、それ以外の知識がかなり重要なポイントとなってきます。見る側としては「日常の中の非日常」を求めに映画館に足を運ぶので、興ざめさせてしまっては元も子もありません...「センス」という曖昧な言葉で全てを誤魔化してはダメなのです。そして、どんなショットであったとしても、そこには意味があり、常に美しい絵づくりを心掛けましょう!

Text by Takao Kido, GIGAON Co.,Ltd

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