映像制作の現場から TV編
テレビの映像制作現場のフロー
映像といっても制作手法によっては、その流れ(フロー)も大きく変わってきます。やはり映像のメインとなるのは実写プレート(撮影素材)です。この実写プレートを映像の中でどの様に活かすのか?これによって制作の工程も大きく左右されます。
ここではオートデスクのウェブページということもあるので、デジタルツール寄りの話になっています。フローはその条件によって大きく変わるので、ここに記載されるものは非常に大きなくくりであると考えてください。
では、実際のテレビの制作現場のフローを見てみましょう!テレビ編のフローは2種あります。
映像制作の中で、映画・テレビ・CM制作においては最近では掛ける予算と時間を除けば、フローは然程大きくは変わらないでしょう。
テレビ・ドラマ作品の制作において2つのポイント
1. 制作本数
テレビ・ドラマ作品はその制作本数が圧倒的に多く、クール中に連続するテレビ・ドラマ作品のトータルでの時間は1本の映画作品よりも長くなります。そのため視聴者を飽きさせない工夫もしなければなりません。ストーリー展開やその世界観、同様にVFXなどのビジュアル面においてもそれは同様のことです。そしてNetflixやAmazonビデオの様なインターネット ビデオ・オン・デマンド (VOD) サービスなど、視聴環境はストリーミング配信へと移行をはじめていると言っても良いでしょう。
覚えておこう
テレビ・ドラマ作品において映画監督が製作総指揮を手掛け、重要なエピソードを含めた数話を自ら監督することも多く見受けられます。ストーリー展開を重視する監督において、テレビ・ドラマ作品のシリーズ制作はキャラクターを描くという面において非常にやりがいのある仕事でしょう。
そういった面でも企画の段階から、プロデューサー、スタッフ等に常に「コミュニケーション」を取れるシステム作りが大切となるでしょう。今やSNSの世界で情報は流れているのです。「コミュニケーション」のツールとしてネットを活用することは当たり前となっています。
オートデスクからの提案
そこで ShotGrid によって円滑な「コミュニケーション」、そして全体の工程管理がスムースにできるシステムづくりをお勧めします!特にロケハンなどで監督とスタッフは遠方にいる場合、プロデューサーからの変更ポイントを的確に把握し、すぐさまタスクとして工程に反映させなければ、明日のロケ弁代に危険信号が点いてしまう!といった状況が回避されるかもです!
2. プリビズ
以前では映画作品ほどの予算化はなかったとされているテレビ・ドラマ作品ですが、最近では逆転現象も見受けられVFXなどのビジュアル面でも映画作品に引けを取らないテレビ・ドラマ作品も数多くあり、クオリティの高いものが放送されています。
テレビ・ドラマ作品の制作現場では、街を使ったロケハンなども多く、派手なカーチェイスなどでは、どんなカメラアングルで決めるのか?どう撮影するのか?撮影に入る前段階においてプリビズの重要度は映画制作と同じく高いと言えるでしょう。
覚えておこう
テレビ・ドラマ作品は、時間的な制約が多く、撮影もスピード命となっています。現場でのミスは極力避けたいところです。無駄を省くためのシミュレーションとしてプリビスは重要となります。
オートデスクからの提案
現場での打ち合わせは時間勝負なので、Autodesk MotionBuilder のリアルタイムの操作性と、データの差し替えにおいても柔軟な対応がおこなえ、スピーディーに結果を導き出せるでしょう。
Adele, Send My Love, image courtesy of MPC
現場での仮合成
監督やクリエーターは現場において、本編で使用する撮影素材を決め、編集し、時にはダミーの背景素材か、すでに撮影された背景素材をその場で仮合成し、カメラアングル決め、完成形に近い絵を求めます。常に現場での貴重な時間を無駄にしない工夫を求めています。
覚えておこう
テレビ・ドラマ作品ですと、現場での前述の通り撮影スピードは早く、下準備に掛ける時間は少なく、その場でできることのみとなる方が多いと言えます。
オートデスクからの提案
現場からやってくる撮影素材は、役者が芝居に入る前に空の舞台を撮影した素材、グリーンバックで演技をする役者を撮影した素材、別の場所で撮影された素材プレートなどがあり、当然の如くカメラ機材の違いによる画質の違いがあります。テレビ・ドラマ作品の現場での撮影スピードは早く、下準備に時間を掛けられない現場も多いでしょう。Autodesk Flameは、そういった撮影素材をタイムラインに並べ、時には画質を調整し、そして合成を掛けると言った縦と横の編集機能を兼ね備えた素晴らしいツールです。そして、なんといってもポストプロダクションとの連携性が高いツールと言えるでしょう。
まとめ
テレビ・ドラマ制作において大切なポイントは、映画制作やCM制作と同じで如何にスタッフ間の「コミュニケーション」を円滑にして、一番初めに設計をおこない、そのアイデアができるのか否かを決める!ことなのですが、現実的に「時間」と「予算」の制約が大きな現場とも言えるので、成立するか否かの判断の的確さとスピードが求められます。
VFXとしての「3DCGツール」
テレビ・ドラマ作品でのVFXの使われ方としては、主に、その世界観を構築するための群衆・モブキャラクターや背景といったものがほとんどですが、時には大掛かりな爆発などのエフェクトや、クリーチャーといった具合で様々に活用されています。ただ、前述の通りで「時間」と「予算」の制約が大きな現場なので、効率良く作業をおこなう必要があります。
覚えておこう
テレビ・ドラマ作品の制作は、常に時間との戦いであると認識しておきましょう!
現実世界の光を再現する「HDR」
また映画作品の制作と同様、実写プレートがメインになるのですが、最近だとクライアントからの「HDR」での納品という非常にシビアな要求があります。現場でのあらゆる「光」の情報が必要となってくるのです。伴ってデータの正しいあり方を学ぶ必要性も高いと言えるでしょう。
覚えておこう
ここでも映画作品の制作と同様、現場ではHDRIやレーザースキャナーも有効活用され、全てのものをデータ化しています。扱う情報が多いということはデータの肥大化に即つながってしまいます。しかし、現場からそれら大量のデータをスタッフに渡すことも視野に入れなければなりません。ハードディスクtoハードディスクの転送速度にも限界があることは確かなのです。つまり無駄なデータを無くすのかが大きなポイントでしょう。
また、スタッフは大量のカットをこなさなければなりません。しかも、編集は待ってくれません。プロデューサーは段々とせっかちになって来ます。そして、クライアントは次第に派手な演出を要求しがちです。
オートデスクからの提案
そういったテレビ・ドラマ作品の制作現場で、特にポストプロダクションで一番多く使われている「3DCGツール」はAutodesk 3ds Maxでしょう。沢山あるエフェクト系のプラグイン、スクリプト、そしてノウハウ...最新のツールセットで大規模人数の制作においても、小規模人数の制作においてもスタッフ間のコラボレーションを効率化できるでしょう。また、なんと言ってもレンダリングツールの豊富さは、表現の幅の広さを表しているので、クリエーターとしては使い勝手の良いツールと言えるでしょう。
Game of Thrones. Image courtesy of Pixomondo
報道・情報・バラエティ番組
テレビ局はテレビ・ドラマ作品だけを制作している訳ではありません。例えば、日々の放送で流れるニュースや情報番組、また毎日の生活に欠くことができない天気予報番組に加え、台風や地震・津波などの災害情報番組、選挙報道番組などもあります。そして、番組内では3DCGでの表現が数多く使われています。番組タイトル、Qカット、番組内での解説用途、またはバーチャルスタジオで撮影する番組の背景などです。
覚えておこう
特に天気予報番組や選挙報道番組は、常に新しい技術を積極的に取り入れ、そのテレビ局が持つ技術力の見せ所とも言えます。「3DCGツール」は、データをグラフィカルに展開し、視聴者へより解り易く情報を伝えるためのツールのひとつとも言えます。
オートデスクからの提案
テレビ・ドラマ作品の制作と同様に、番組の制作時間の制約は厳しく、それ以上かもしれません。納期は非常にタイトであり、ディレクターの要求に応えるために制作現場でツールの選択肢が多いMayaや3ds Maxを選ばれるのは必然と言えるでしょう。特にバーチャルスタジオにおいてはUnityやUnreal Engine 4とのコラボレーションで、よりリアルな空間をリアルタイムに演出できるでしょう。
Game of Thrones, Season 6. Image courtesy of Iloura
放送へ
どんなに慌ただしい現場であっても放送時間は決められています。落とすことは絶対にできません。デジタルツールは工程短縮につながりますが、扱う素材の量が多くなるため、ケアレスミスも生じやすいと言えるでしょう。またクリエーターといっても専門性も常に求められています。
覚えておこう
例えばアウトプットとなるデータはどの様な構造なのか、また観る側は何のデバイスで観ているのかを、もっと深く意識し、その特性を知ることが大切です。
オートデスクからの提案
テレビ・ドラマ作品の制作と報道・情報・バラエティ番組の制作の多面性を持つ放送局では、それぞれの役割分担で作業しているのはもちろんですが、クリエーターがそのフローを考えると、オフライン編集やポストプロダクション的要素の高い合成にもXML ワークフローによって他社製品との相互運用ができるFlameのシステムがあれば迅速に作業が続けられるでしょう。
まとめ
放送局のテレビ・ドラマ作品の制作と番組制作において、常に時間との戦いであることは変わりません。「コミュニケーション」能力は必ず求められますし、視聴環境が激変する世界なので技術的な理解力も相当に求められます。そして何度も繰り返しますがスピードが一番求められる世界です。しかし、毎日が変わる世界でもあるので、仕事に対してのやりがいは大きいとも言えるでしょう。
Text by Takao Kido, GIGAON Co.,Ltd
WHY 3DCG? 〜3DCGが支えるコンテンツ制作の現場〜
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