チュートリアル / ゼロから始めるMAYAアニメーション
第5回:HumanIKを動かしてみる。②

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前回はHumanIKを使って歩くモーションのコンタクトのポーズ、ミラー化、ループモーションの作り方と移動の相殺について学びました。
今回は「ダウン」、「パッシング」、「アップ」のポーズの作成からハンドポーズの付け方を学び、歩きモーションを完成させます。
完成したモーションを動画として書き出す「プレイブラスト」の使い方も併せて紹介していきたいと思います。

⑤パッシングのポーズ作成

コンタクトとコンタクトの丁度真ん中にくる「パッシング」のポーズを作成していきましょう。最も左右に重心が移動したり、腰の回転が加わるポーズにもなるので、ポイントを押さえておきましょう。

⑥ダウンとアップのポーズ作成

「ダウン」は腰の位置が最も低くなるポーズになります。「ダウン」の時点で前に出した足はベタ足で接地させ、地面を蹴った足はつま先を伸ばすのがポイントになってきます。
「アップ」は腰の位置が最も高くなるポーズになります。足を前に出す際につま先は少し遅れていき、無駄に高く上げないことが大事なポイントになってきます。

⑦腕の振り方の調整

第3回のチュートリアルで慣性の法則を学んだ際に関節が回転する台車の動きを付けました。腕の振りも同じように先端に行くほど遅れていく表現を加える事で自然なモーションになります。鎖骨や肩甲骨の可動域を意識して肩の動きを付けてあげる事も大事なポイントです。ループが綺麗につながっていることも忘れずに確認しましょう。

⑧ハンドポーズの付け方

指にもIKとFKのコントローラがあります。用途に応じて使い分けましょう。
今回は指の曲がり具合だけ調整するのでFKで制御します。ハンドポーズ用のセットを作っておくとポーズの調整や、右左のミラー化をする際に便利なので予め用意しておきましょう。

⑨滑りとめり込みの修正

キーとなるポーズは一通り完成したので、実際に進行方向に動かしてみましょう。おそらく、動画のように足元が滑ったり、つま先が地面にめり込んだりしていると思います。MAYAの補間は完璧なわけではないので、必要に応じて補正をしていく必要があります。フィールドチャートを使いこなすと簡単に滑りやめり込みの補正ができるので覚えておきましょう。

⑩プレイブラストの作成

重いシーンデータなどではリアルタイム再生ができないため、一度動画に書き出して動きの確認をする必要があります。After Effectsなどのアプリケーションで編集をしてカットの繋がりやエフェクトの追加などをする際にも動画が必要です。
プレイブラストはレンダリングした画像ではなく、作業画面の見た目のまま再生したものを動画として書き出す機能です。
解像度を下げてマシンへの負担を減らした状態で確認作業を行い、モーションやカット割りなどを確定させた後にレンダリングをして差し替えるというやり方が一般的です。
アニメーターであれば必ず何度も使う機能になりますので、オプションメニューの説明だけでなく時短テクニックも紹介します。

歩くモーションは上手く作れたでしょうか?どこかカクついて見えたり、ふらついて見えるようなら気になるフレーム付近をグラフエディタのカーブで確認してみましょう。ハンドルがカーブと交差していてカーブが滑らかでなくなっていたらハンドルを調整してみたり、無駄なキーを消すなどブラッシュアップをしてみてください。
地面への接地や腕の振りで先端ほど遅れてくるところなど、歩くモーションは他のモーションを作る上で大事な要素を多く含んでいます。
派手でかっこいいモーションを作り始める前に一度歩くモーションを丁寧に作ってみましょう。

次回はキャラクターのモーションを更に魅力的にするためのカメラワークについて学んでいきます。
キャラクターのモーションを作り込んだ就職作品は多いですが、カメラワークがしょぼくて台無しなものも多々あります。私も学生の時には気づいていなかったのですが、アニメーターとして働く上でカメラワークは大事な仕事の一部になります。就活で他に差をつける大事な要素となるのでしっかり身に着けておきましょう。


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