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株式会社 白組 
SPACE BATTLESHIP ヤマト 
Maya & 3ds Maxのデジタルパワーで"何処にもない世界"を一から創り、壊す「SPACE BATTLESHIP ヤマト」の挑戦

株式会社 白組 SPACE BATTLESHIP ヤマト Maya & 3ds Maxのデジタルパワーで

2010.12.09

  • 3ds Max
  • Maya
  • 映画・TV

戦場のまっただ中で初めて鉄砲の撃ち方を教わる

ヤマト登場シーンの仕上がり
ヤマト登場シーンの仕上がり。大岩が割れ砕けて飛び散り、土ぼこりが濛々と舞い上がるなか、ヤマトがゆっくりと姿を現す。
Mayaの制作画面
Mayaの制作画面。山崎監督にとってMayaは、頭の中の発想を映像化する最初のステップから出口までトータルにカバーするオールインワンの制作工場である。

----CGツールに関して起った問題とは?

山崎氏:今回CG制作でメインに使用したCGはAutodesk Mayaです。今回に限らず、私たち調布チームはずっとこのMayaをメインツールとして使っているので、今回もこれ1本で乗り切ろうと考えたんです。ところがCG制作がスケジュールを半分ほど過ぎた段階になって、あるシーンを作ろうとした処で、Mayaでは対処し切れない問題にぶちあたってしまったんです。

----問題が起ったシーンとは?

山崎氏:"ヤマト発進"のシーンです。巨大な岩が大きく割れ、崩れて、濛々とホコリが舞い上がるなかヤマトが姿を現し、ゆっくり発進していくあのシーン。ヤマトの名場面の一つで、私自身も思い入れがあります。これを予告編に使うというので、外注せずに社内で先に仕上げることになったんですが、いざ作りだすと、ポイントである大規模な崩壊や破壊のエフェクトがなかなか思いどおりに行きません。繰返しトライしましたが、求める絵がスムーズに上がってこないんです。で、もっと破壊系のエフェクトに強いCGツールを使った方が良いんじゃないか、と分かってきた。ただMayaだけ使ってきた私たちには、そうしたエフェクトのノウハウがほとんどないわけで、これには参りました。

----その段階になるまでまったく気づかなかったんですか

山崎氏:実は最初、やや高を括っていて......だって、破壊や崩壊なんてハリウッド映画では珍しくないじゃないですか。なんとかなると思っていたんですよ。ところがいくらやってもうまく行かない。一方で、そういうエフェクトは3ds Maxが得意だと聞いていたのですが、私たちはMayaオンリーできたチームなので、3ds Maxも使えるような器用なスタッフはいなくて......。たしかに社内には3ds Maxをメインとするチームあるんですが、技術交流はないし、外注を含めて、このギリギリのタイミングで依頼するのも非常に難しかったんです。かといって、今さら3ds Maxを1から学ぶのもリスキーですしね。

----困りましたね

山崎氏:ものすごく困りました(笑)。どうしよう、と悩み続けるうちに時間はどんどん経って。そんな時、ゴールデンウィークに数日だけお休みを貰えたので、YouTubeでCGによる破壊シーン集を観ていたんです。するとそこで自分が"いいな!"と思う作品は、やっぱりどれも3ds MaxとRayfire等のプラグインで作られてる。また、映画『2012』を見れば大破壊シーンはやっぱり3ds Maxで......これはもう覚えるしかないな、と、3ds Maxの導入を決めたんです。とにかく時間がなかったので、すぐに講師を招いて全員で講習を受け、3ds Maxを勉強しました。その時期すでにCG制作は佳境で、そんな中で3ds Maxを一から学んでいるんですからね。何というか、銃弾飛び交う戦場のまっただ中で初めて鉄砲の撃ち方を教わってる(笑)的な凄い光景でした。でも、それはそれでなんだか楽しかったんですよ、部活動っぽくて。追いつめられて不可能そうな課題を出されると、CGの人たちってなぜか燃えるんです。

----3ds Maxの操作はすぐに身につきましたか

山崎氏:我々は脊髄反射で使えるくらいMayaを使い込んでいるんです。なのでそれが逆に邪魔になって、Mayaとは微妙に異なる3ds Maxの操作系がなかなか飲み込めず、いらいらさせられたこともありました。とにかく一通り操作を学んだところで、すぐに実戦投入しましたが、他のスタッフたちはみんな自分の担当カットを抱えていて手が空かず、結局3ds MaxとRayfire等のプラグインを使って物を壊すのは、私の担当になりました。物が壊れるシーンがあると、そこだけ預かって3ds Maxで壊して納品する"壊し屋さん"です(笑)。

最高に楽しいおもちゃ箱であり最強の仕事ツール

地上に全身を現したヤマト
ついに地上に全身を現したヤマト。砕けた岩を振るい落とし、土ぼこりを巻き上げながら発進していく。原作アニメーションの名シーンの再現である。

----初めて3ds Maxを使ってみていかがでしたか

山崎氏:豊富なプラグインが生み出す多彩なエフェクトは、素直に凄いと思いましたね。できないことはないんじゃないかってくらいいろいろあって、私もほかにFumeFX等も使ってみました。実際に2カットくらいこれで作って納品しましたよ。エフェクトなら3ds Maxというのは、だから間違いないと思います。でも、そんな3ds Maxも、Maya使いの私からすると、実はそれ自体Mayaのプラグイン的な感覚なんですよね。贅沢な話ですが。

----監督の中でMayaがそれほど重要な位置を占めている?

山崎氏:とにかく私のクリエイティヴの全てのベースにMayaがある。まさに標準装備という感じなんですよ。実際、一つのシーンを作っていて、ここからここまでをCGで作ろうと思った時、私の場合、まずMayaの画面として思い浮かぶんです。で、ここまではCGでいけるな、と分かるのです。

----Mayaベースの映画作りどはどんな風に進むのでしょうか

山崎氏:Mayaは絵コンテの次くらいから使いますよ。たとえば映画のあるカットを作ろうという時、まずそのカットをどんなルックにするか、どんなカメラワークで撮るのか。カットの基盤となる部分を検討して決めていかなければなりません。実はこの段階から、私はMayaで作業しています。Mayaでごくシンプルなモデルを作り、それをいろいろ動かして動きを見たり、アニメーションにしてみたりしながら決め込んでいくんですね。このとき作ったカメラワークなどを、その後もずっと共有しながら、CGスタッフがさまざまな要素を加え、磨き込んで、徐々に1つのカットに仕上げていく。そんなイメージです。

----まさに映像制作のプラットフォームですね

山崎氏:そうですね。とにかく頭の中の発想を映像にする最初のステップから、合成の担当者に渡すところまで、全工程を私はMaya上に置いているんです。だから、Mayaについては非常にオールインワン感があるというか......基本的に何でもあって何でもできる制作工場なんです。それが統一された形でマシンの中にすべて入っているというのは、考えてみたら相当凄いことですよね。

----凄いというのはなぜでしょう

山崎氏:私たちがアナログ時代のVFXを体験した最後の世代なので、そう感じるんでしょう。アナログ時代は、とにかくツールが非常に多岐に渡っていました。模型工作し塗装ブースで色を塗ってミニチュアを作り、撮影スタッフとカメラでフィルムに撮影して、ラボに持っていってブルーバック合成をお願いして......という調子で。とにかくいろんな処でいろんな人たちと交渉しながら、やらなければならなかった。その膨大多岐にわたる作業が、今はMayaという1つのツールの中で全部できてしまうんです。しかも、できてくる絵がちゃんと実写の中で使えるのが、また凄い。大げさでなく、私にとって夢のような場所ですよ。最高に楽しいおもちゃ箱であり、最強の仕事ツールでもあります。

----映画は間もなく公開です

山崎氏:皆さんがどんなふうに評価してくれるか分かりませんが、私自身は手応えを大いに感じています。もちろんまだまだ不満な部分はありますが、あの厳しい制作環境のなか、とにかく振り切った!感があるんです。皆で倒れるところまで突っ走って、前向きに倒れた。そんな感じですね。あと、CG関係の方には、やはりぜひ"ヤマト発進"のシーンに注目して欲しいですね。ひどい目に遭いながら、必死でもがきながらたどり着いたカットなので、私も思い入れがあります。まあ、ご覧いただいて、良いだの悪いだのいろいろ言って楽しんでください。......悪いって言われたら怒るかもしれませんが(笑)。

導入製品/ソリューション Autodesk Maya
Autodesk 3ds Max
導入目的 ・映画制作のメインツールとして(Maya)
・より多彩かつ効果的なエフェクト(3ds Max)
・限られた制作期間・予算内での効率的な制作(Maya、3ds Max)
導入ポイント ・柔軟で使い勝手の良い
・VFX制作の一連の流れをトータルにカバーするオールインワン性(Maya)
・多様な制作ニーズに応える豊富なプラグイン(3ds Max)
・ユーザの要望に応えた着実なバージョンアップ(Maya、3ds Max)
導入効果 ・両ソフトの使い分けによる効率的な制作進行
・予算・スケジュールと高度なクオリティの両立
・デジタルならではの新たな映像表現
今後の課題 ・より多彩かつ高度な新しいVFX表現の創造
・さらなる効率化、コストダウンの推進
・両ソフトの効果的な使い分けと制作体制の確立
作品概要 上映時間:2時間18分
ドルビーデジタル/シネマスコープサイズ
製作年:2010年
監督・VFX:山崎貴
脚本:佐藤嗣麻子
音楽:佐藤直紀
製作:映画「SPACE BATTLESHIP ヤマト」製作委員会
(C)2010 SPACE BATTLESHIP ヤマト 製作委員会
http://yamato-movie.net/
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