VFX スーパーバイザーの危機を救った Shotgun
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Elad Offer 氏は、フリーランスのビジュアル エフェクト(VFX)スーパーバイザーであり、ベテランの Flame アーティストです。短編のインディーズ映画を予算内でスケジュール通りに制作するという責任の大きな仕事を任されたとき、彼が最初にリクエストしたのは Shotgun を導入することでした。Sobini Productions 社はそれまで、ショットと進捗の追跡管理に Google スプレッドシートを使用していましたが、非常に大量の VFX ショットを扱うプロジェクトの経験はありませんでした。
課題
Elad Offer 氏はアーティストでもあり、自らを「小うるさい VFX スーパーバイザー」だと認めています。つまり、彼のもとで仕事をするアーティストたちは、大量の修正指示を受けとることを意味しています。Offer 氏は通常、大規模なコマーシャル制作の仕事を手がけています。しかし最近、このインディーズ映画『エンペラー』のビジュアル エフェクト監修を依頼されました。これはアメリカ南部で撮影する時代劇でした。ビジュアル エフェクトのショット数は編集を含めて 500 ショット以上になり、その内 200 ショットは Offer 氏が参加した時点で撮影済みでした。すべてのショット作業を 6 社のベンダーにアウトソースして 5 週間で仕上げなければなりません。さらに Offer 氏は、この映画の VFX の予算を 60% 削減する必要がありました。
エフェクト作業は、時代に合わせるための編集や、兵士の追加といった 2D 合成が大半になります。大量の火花や爆発を追加する必要もあり、複数のタスクを 1つにまとめる必要があることが予想されました。複雑なコンピュータ グラフィックスの作業はスタジオ Spin で行うことになります。
ビジュアル エフェクトのショット数や、限られた制作時間と予算をふまえて、Google スプレッドシートでは目標を達成できないと Offer 氏は考えました。そこで彼は、予算に厳しいプロデューサーを説得して、VFX プロセスの管理ツールを導入することにしたのです。Offer 氏が Shotgun を使い始めたのはその 5 年前で、当時はフリーランスとして The Mill や Digital Domain に所属していました。その頃、数多くの大手 VFX 企業が一斉に、パイプラインのカスタマイズと運用、ツールの統合、世界中のチームとのコラボレーションを実現するために Shotgun に移行しようとしていました。彼は当時、業界情報としてそのことを知っていました。
「Shotgun が必要な理由をプロデューサーに説明するのに時間はかかりませんでした。アーティスト、スーパーバイザー、プロデューサーが簡単にコミュニケーションを行い、常に同期することが可能になると話しました」と Offer 氏は回想します。「幸いなことにプロデューサーの説得に成功し、時間と予算を大幅に節約できました」
ソリューション
『Emperor』の制作チームは、Artery(ニューヨーク)、Spin(トロント)、Redi Studios および Tempest FX(ロサンゼルス)、そしてインディーズ アーティスト 2 名(Nuke 担当と Flame 担当)という構成でした。Offer 氏はそれぞれの Shotgun アカウントを作成します。
「各ベンダーへの仕事の割り当ては、初めからすべて Shotgun で行い、ノートで注釈を付けました。そして出来上がってくるものからレビューを行いました。Shotgun をメイン ツールとして、タスクの割り当てとレビューを行いました」と Offer 氏は回想します。実際、Google スプレッドシートから Shotgun にデータを読み込むのはとても簡単です。
Offer 氏は、ノートの作成とコミュニケーションについては Shotgun をベースにパイプラインを作成し、クイック リファレンスの作成やプレートの確認、試写室でのレビューについては Flame をベースにパイプラインを作成しました。
「私たちはポスト プロダクションの施設を拠点とし、数日おきに Flame を実行するコンピューターを試写室のコンピューターの 1 つにつなげ、Shotgun のプレイリストから DLP プロジェクターの高解像度 4K でショットを再生しました。Shotgun ではとても効率的にショットを確認しながらノートを追加できます。Shotgun がなければ、試写室の準備ができるまで待機し、ショットを個別に取得し、何らかのメディアに転送する必要があります。そしてほとんどの場合、ショットを連続再生することはできません」
Offer 氏は Flame を使用してショットからレイヤを作成したため、たとえばチームから前のバージョンについて質問されても、クリックするだけでプロジェクトの履歴を確認できました。こうした作業は通常の試写室ではできません。
「何もかも一人でやらなければならない VFX スーパーバイザーにとって、頼りになるアシスタントです」と Offer 氏は Shotgun を称賛します。「本来なら 4 つのチームで 2 ヶ月かかる仕事も、Shotgun、Flame、AWS を活用すれば 5 週間で完成させることができます」
- 75%試写にかかる
時間を削減 - 30%試写室の
コストを削減 - 60%コストを
削減 - 5-6週間制作期間を
短縮
機能
Shotgun では画像に簡単に注釈を付けることができる点を、Offer 氏は特に称賛しています。スーパーバイザーとして、クリエイティブなアイデアを画像に描けることは、とても便利だと話します。
「ボタンを押すだけで簡単に操作できます」
Offer 氏が追加したノートだけでも 1,200 以上になりました。さらに Shotgun でパイプラインを標準化している VFX スタジオの Spin 社および Artery 社が、社内用にノートを追加しました。
「20 ショットにノートを追加したころには、さらに 30 ショットがアップロードされている状況でした。レビューする側も作業を提出する側もレスポンス速度があがり、効率よくコミュニケーションを図れました」
Offer 氏は、プレイリスト全体を取得して、大画面でレビューしながらノートを追加できる Shotgun のノート作成機能もよく活用しました。
「プロデューサーが話す間に、Flame と Shotgun をすばやく切り替えながらノートに書きとめることができます」
Offer 氏は Shotgun チームのプロフェッショナルで献身的なサポートにも驚きました。
「Shotgun を導入してから 10 日ほど経った頃、分からないことがあったので 30 分のサポートを予約しました。サポートチームは問題をすぐ解決に導いてくれました」
どのような規模の映画製作でも、時間は足りなくなるものです。『Emperor』でも同様でしたが、Shotgun によって効率的な VFX 制作が可能になったと、Offer 氏は称賛します。
「VFX 予算を 60% 削減して 5 週間で完成させることを要求されたとき、これを乗り切るには Shotgun に頼るしかないと思いました」
300 ショットを 6 スタジオにわたる 25 ~ 35 名のアーティストで完成させるためには、他に方法はないと Offer 氏は確信しました。『Emperor』の制作で、制作管理ツール Shotgun の導入は、コストを大幅に上回る価値をもたらしてくれました。
EMPEROR
スタジオ:Siboni Productions
VFX スーパーバイザー: Elad Offer 氏
VFX ショット数: 500 以上
スタジオ数: 6
アーティスト数: 25 ~ 35 人
使用したノート数:約 1,200
制作期間: 5 週間
*上記価格は年間契約の場合の1ヶ月あたりのオートデスク希望小売価格(税込)です。