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KLab初の3DCGアクションゲーム『BLEACH Brave Souls』 ~ 原作&アニメファン納得の爽快感はいかにして生まれたか~

KLab初の3DCGアクションゲーム『BLEACH Brave Souls』 ~ 原作&アニメファン納得の爽快感はいかにして生まれたか~

2015.11.30

  • Maya
  • MotionBuilder
  • ゲーム

KLab株式会社が2015年7月にリリースした『BLEACH Brave Souls』(ブリーチ ブレイブソウルズ)は、2001年から『週刊少年ジャンプ』で長期連載中の人気マンガ『BLEACH』(作者 久保帯人氏/2015年9月現在 既刊69巻)を原作とする、スマートフォン用 爽快3DCGアクションゲームだ。原作に加え、TVアニメ『BLEACH』(2004~2012/全366話)の世界観も受け継いでいる本作は、ゲームファンはもちろん、普段ゲームをしない原作&アニメファンからの支持も得ており、取材を実施した2015年9月時点で500万ダウンロードを突破している。そんな本作の制作には、Autodeskのハイエンド3DCGツールである、MayaとMotionBuilderが使用されている。本作の3DCGがいかにして作られたのか、スタッフへのインタビューを通して紐解いていこう。

『BLEACH Brave Souls』

『BLEACH Brave Souls』公式サイト
https://www.bleach-bravesouls.com/

コンシューマゲームに近い操作感をスマートフォンで実現

井口晃慶氏(KLab 株式会社 グループリーダー/ CG クリエイター)

井口 晃慶 氏
KLab 株式会社
グループリーダー/
CG クリエイター

KLab社内で『BLEACH Brave Souls』の企画が立ち上がったのは2014年初頭だったと、3DCGチームのリーダーを務めた井口晃慶氏はふり返る。

「最初の半年間は、様々なプロトタイプをつくって方向性を模索しました。2D主体だったり、3DCGを使うにしても、より平面的な見せ方も検討したのです。最終的に今のかたちに落ち着いたのが2014年の7月頃で、そこから量産が始まりました」。同社では、本作以前にも3DCGを使ったスマートフォン用のスポーツゲームなどを開発していたが、本格的な3DCGアクションゲームの開発は初の試みだったという。

【左】本作のアクションパートは、全ての要素がリアルタイムの3DCGで表現されている/【右】シナリオパートでは、2Dのキャラクターに切り替わり物語が展開していく

「今のような奥行きのある見せ方にした方が戦略性の高い遊び方ができますし、見た目がリッチになります。3DCGゲームに人気が集まっている世相を感じていたのに加え、新しいことにチャレンジしてノウハウを蓄積したいという思いもありました。"コンシューマゲームに近い操作感をスマートフォンで実現したい!"というプロデューサーの意向も追い風となりました」。このような事情を背景として、本作の3DCGアーティストは、コンシューマ業界での開発経験者を中心に編成された。「3DCGのメインツールはAutodeskのMayaとMotionBuilderです 。コンシューマ時代から使ってきた馴染みのソフトを使った方が、効率的に良いものが作れるからというのが主な理由です。例えば、頻繁に行う作業はMELスクリプトで自動化するといったノウハウが流用されています。ゲームエンジンはUnityを使用しています」。

【左】モデリングとリギングには、AutodeskのMayaを用いている/【右】アニメーションには、AutodeskのMotionBuilderを用いている

"ファンが納得するテンポ"をフレーム単位で追求

神田淳氏(KLab 株式会社 CG クリエイター)

神田 淳 氏
KLab 株式会社
CG クリエイター

本作には約10 人の3DCG アーティストが関わっており、キャラクターモデリング・背景モデリング・アニメーション・エフェクトに分業化している。「モデリングやアニメーションなど、量産が必要なものはフィリピンの支社や外部の会社に協力を依頼しています。そこに対するディレクションも、社内スタッフの仕事ですね」とアニメーションを担当した神田淳氏は語る。

本作のアニメーションは、MotionBuilder のHumanIK を使い手付けで表現されている。MotionBuilder はリターゲティング機能の使い勝手が良く、処理が速いので重宝していると神田氏は続ける。「" 普段はゲームをやらないけど、『BLEACH』のファンだからプレイしたい! " というユーザーが気軽に遊べるよう、本作では簡単な操作性を心がけています。その一方で、実際にボタンをタップして斬撃を繰り出したときの触り心地が、ファンにとって納得できるものであることも必須でした」。

"ファンが納得するテンポ" がつかみきれず、長らく手探り状態が続いたと神田氏はふり返る。「指針を見出すまでは苦労しましたね。最終的には、パワーのあるタイプはこんな感じ、スピードのあるタイプはこんな感じといった具合に、キャラクターを何種類かに分類したのです。" このタイプなら、斬るスピードを何フレームくらいにすると良い" といったように、タイプ別の指針をつくったことで、ようやく出口がみえました」。

黒崎一護のアクションパートのアニメーション

黒崎一護のアクションパートのアニメーション

大貫詩織氏(KLab 株式会社 CG クリエイター)

大貫 詩織 氏
KLab 株式会社
CG クリエイター

エフェクトを担当した大貫詩織氏は、本作の3DCGチーム内で唯一の"3DCG初心者"だったという。「前作までは、スプライトアニメーションを使った2Dゲームエフェクトを担当していました。3DCGは学生時代に少し経験した程度だったので、同じチームの先輩たちに教えていただきながら、開発を通して慣れていきました」。とりわけ、テクスチャのUV展開には苦しんだと大貫氏は続ける。

「2Dエフェクトの場合、UV展開という概念がありません。最終的な見映えが直感的に把握できる作業ではないため、理解するまでに時間がかかりましたね」。それでも、同種の作業を何度も繰り返していくなかで徐々に理解が深まり、半年が経過する頃には、自分1人で最適な表現方法を考えられるようになったという。「Mayaには膨大な数のメニューがありますが、エフェクトに必要な機能だけに特化して教わったので、良いエフェクトをつくることに集中できました。私自身、放映時に『BLEACH』のアニメを見ていたので、そのテイストに近付けられるよう、テクスチャやタイミングなど随所にこだわっています」。

黒崎一護の必殺技のカットシーン。このようなカットシーンがキャラクターごとに作られており、基本的にアクションパートと同じモデルが使われている

黒崎一護の必殺技のカットシーン。このようなカットシーンがキャラクターごとに作られており、基本的にアクションパートと同じモデルが使われている

【左】Mayaを使ったエフェクトのUV展開/【右】黒崎一護のアクションパートのエフェクト。エフェクト作成時には、Mayaでモデリングとテクスチャ設定を行った後、Unityに読み込んでパーティクルなどを設定している

限られたスペックのなかで、原作やアニメの世界観を再現

遠藤雅之氏(KLab 株式会社 CG クリエイター)

遠藤 雅之 氏
KLab 株式会社
CG クリエイター

本作のアクションパートでは、1画面内に最大7~8体のキャラクターが描画される。キャラクター1体につき、平均2,000ポリゴン、顔と身体に256kのテクスチャが1枚ずつ割り当てられている。「本作の主役はキャラクターなので、背景のポリゴン数は極力おさえるよう工夫しています。どちらかというとテクスチャの方が重くなりがちで、同じ模様を繰り返し貼らないといけない場合、若干手こずりました」と遠藤氏は続ける。

『BLEACH』には、非常に数多くのキャラクターが登場する。必然的に、本作のキャラクターも多くなったと井口氏は語る。「アプリの初期公開時点で、約70体のキャラクターを作っています。本作のユーザーは、キャラクターに思い入れをもっている方が多いので、その期待を裏切らないように、納得感が得られる仕上がりになるように、すごく神経を使いました」。スマートフォンの限られたスペックのなかで、原作やアニメの世界観を再現するため、スタッフ一丸となってブラッシュアップに励んだという。「メインキャラクターの場合、3DCGモデル・アクションパートのアニメーション・必殺技のカットシーンなどが完成するまでに、当初は3ヶ月くらいかけて試行錯誤をしていました。今はワークフローが整備されたので、かなりの期間圧縮を実現しています。企画のなかに原作とアニメを熟知しているスタッフがいてくれたお陰で、細部にいたるまで、こだわり抜くことができました」。

アクションパートの背景モデル【左側2枚】と、それに対応するテクスチャ【右側2枚】

本作の主人公、黒崎一護の3DCGモデル【上段2枚】と、それに対応するテクスチャ(それぞれ256k)【下段2枚】。キャラクターのファイシャルはテクスチャの差し替えで表現されている

以上のように、各セクションのアーティストたちのねばり強いこだわりが積み重なった結果、本作は多くの原作&アニメファンが支持する人気タイトルへと成長した。「本作を通して、3DCGアクションゲームの開発ノウハウを蓄積することができました。今後は、別ジャンルの3DCGゲーム開発にも挑戦していきたいです」と井口氏は語る。スマートフォンのスペックは日々向上し続けており、コンシューマレベルのリッチな表現が可能になる日は目前に迫っている。「今は実現できなくても、時間の経過とともに実現できることは確実に増えていきます。そのための検証や準備、スタッフの研修を今後も続けていきたいですね」。

KLab

KLab
井口晃慶氏(KLab株式会社 グループリーダー/CGクリエイター)
大貫詩織氏(KLab株式会社 CGクリエイター)
神田淳氏(KLab株式会社 CGクリエイター)
遠藤雅之氏(KLab株式会社 CGクリエイター)

KLab株式会社
http://www.klab.com/jp/

導入製品/ソリューション Autodesk Maya
Autodesk MotionBuilder

TEXT_尾形美幸(CGWORLD)
PHOTO_弘田 充