株式会社スクウェア・エニックス
Final Fantasy XIII
リアルタイムカットシーンのワークフロー
- Maya
- MotionBuilder
- ゲーム
リアルタイム描画技術の進化
シンボル表示でをライト光源の影響範囲を確認
カットシーン制作では、企画班がモーションやキャラクタ、サウンドを組み込んでシーンを完成させていく作業も行われる。この時も平行して他のセクションが作業を行えるよう、Cut Editor(Crystal Tools) のタイムラインにはトラック別にアクセス権限が設定できるようになっている。トラックごとに権限を管理することで、企画班の組み込み作業、エフェクト班のエフェクト設定、カットシーン班のライティング作業が並列で行えるのだ。ここでも、チームごとに作業したデータを最終的にマージしてシーンを完成させるワークフローが採用されている。
ライティングとポストエフェクトの設定は、CrystalTools の CutEditor で全て行われている。今回の「FF XIII 」ではライティング作業が重要視されている。最終的には全カット単位で、かつキャラクタ個別にライティングの調整が行われた。Cut Editor 側での調整とテレビモニターへの出力結果を同期させることでリアルタイムにライティング効果を確認しながら調整が行える環境が整えられた。
ポストエフェクト作業では、担当者によって画のバラつきが出ないようにするため、同じロケーションごとに用意された雛形の数値を基準に調整が行われた。被写界深度の設定は、Crystal Tools ビュー内のメジャーツールで距離を測りながら、リアルタイム出力した実機の結果を確認して調整が行われた。
プリレンダリング出身の小林氏としては、リアルタイム描写技術もここまで来たかという感慨とともに将来的にはさらに表現の幅が広がることに期待している。被写界震度での Iris フィルター表現やより美しいモーションブラーなど今後リアルタイムでまだまだ実現したいことがたくさんあるという。
最後に
このように、あらゆる工程で平行作業が行えることを前提に「FF XIII 」の開発パイプラインは考えられている。徹底的したワークフローの効率化と開発スタッフによる創意工夫によって、プロジェクトで目標とされた「フローの後戻りをしない」こと、「多セクションの並行作業」は実現されたのだ。
そして、Softimage、Maya、MotionBuilder といったオートデスク製品それぞれの特性を生かせるシームレスな制作環境によって、限られた期間のなかでも 「Final Fantasy」だからこそ求められる緻密なグラフィック表現という高い期待に応えることに見事に成功できたのであろう。
株式会社スクウェア・エニックス
url: www.square-enix.com/jp/
インタビューにご協力頂いた皆様 (左より)
村松瑞樹氏 シミュレーション担当
田中雄介氏 カットシーン・モーションディレクタ
小林政児氏 カットシーンディレクタ
吉田光陽氏 VFX 担当
林淳一氏 モーションキャプチャ担当
導入製品/ソリューション | ・Autodesk Softimage ・Autodesk Maya ・Autodesk MotionBuilder |
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*上記価格は年間契約の場合の1ヶ月あたりのオートデスク希望小売価格(税込)です。