建築業界におけるCG制作と工程
CGで、まだ無い建物を具現化する
建築業界では、高層ビルから一般住宅まで、あらゆる建物がCADで設計されており、その検討にCGが使用されています。ビルなどの大きな建造物はもちろん、一般住宅であっても、試験的に作ることは膨大なコストがかかるため、CGを使ったシミュレーションが、あらゆる建築で利用されています。
建物の設計は、建築家によって、手書きやCADなどを使って行われます。その検討には、縮小した模型が使われていましたが、実際の建物とサイズが大きく異なるため、想像がつきづらく詳細を確認することができない手法です。
そこで、CGを使って、建物を詳細まで検討したり、周囲の景観・天候・季節も再現して、よりリアルな検討を行うようになりました。
Image courtesy of Lucia Frascerra
実際に建った状態をリアルに再現するために、建物に使われる素材は、実際に使用される素材をもとに作成し、家具や小物なども実際にある物を配置し、より現実に沿ってCGを制作します。
また、公共施設などのような、人が重要な要素となる建物の場合は、人を配置しアニメーション(動作)させます。
静止画や動画を作るだけで無く、リアルタイムレンダリング(リアルタイムでデータを画像にする)を使用して、自由に歩き回れるCGも制作され初めています。
建築後にマンションなどを販売するときに使われる、写真やムービーもCGで制作されます。このような広告は、魅力的で、住んだときの幸福を感じるように演出を加えます。
Image courtesy of TILTPIXEL
制作行程
まずは、建物の設計データ(CAD)を3DCGソフトに読み込みます。
オートデスク には、AutoCADをはじめとした建築業界で幅広く使用されている設計データを作るCADソフトがあります。そのため、オートデスクの3DCGソフトである 3ds Max とは非常に親和性が高く、簡単に読み込むことが出来ます。
また、建築設計には、2Dと3DのCADが利用されています。そのため、2Dの場合は、モデリング(物体の形を作る)して3Dデータを制作します。
建物の雰囲気をリアルに確認するため、建物以外のデータ(屋内外に配置する素材)を作成したり、外部から購入します。
例えば、屋外の樹木や構造物、屋内の家具や小物、人などです。
建築業界で 3ds Max は最も多く使用されているので、外部から購入するデータのほとんどが 3ds Max に対応しています。そのため、たくさんのデータから最適な物を選ぶことが出来ます。
設計データには色や質感が無いので、実際に使われる建築素材を元にマテリアル(質感)を作ります。例えば、屋外なら壁や柱、屋内なら床材や壁紙など、実際に使われる物より小さなサンプルを参考にしたり、スキャンします。
アニメーション(動作)設定を行います。リアルな検討の場合は、実際の人の目線と同じ高さで、自然な動きで、シミュレーションを行います。より魅力的に見せる演出も行います。
3ds Max には、建築シミュレーションを補助する機能が搭載されているので、手間をかけずに優れた結果を創り出すことが出来ます。
ライティング(照明)は、実際の照明と同じ色や配光パターンを再現し、屋外からの自然光も再現して、建物や屋内を照らします。
照明の色については、正確な色温度を指定して、照明された雰囲気をリアルに再現します。
最後に、レンダリング(データを画像にする)した画像にたいして、色調整/合成/編集等をおこなって仕上げます。
建築のレンダリングにはV-Rayが使われることが多いです。
Unity、Unreal Engine などのエンジンを利用してリアルタイムレンダリングを使用する場合は、レンダリングの段階で自由に動き回って確認を行うので、合成・編集等は行いません。
またVR(バーチャルリアリティ)などの出力もそのようなエンジンを利用して行います。
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