プロダクション I.G
ホッタラケの島~遥と魔法の鏡~ 2
2D/3D のノウハウと技術が Maya をベースにコラボレーションそこから生まれた新しい CG 表現
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私たちにとって、Maya はあって当然の空気みたいな存在です。だからあらためて意識することは少ないんですが、今回は大手 CG 制作会社が揃って協力し、あらためて業界のスタンダードとしての強みを感じましたね。もっとも個人的には、むかし Maya で初めて触れたペイントエフェクトやフルイドエフェクトのように、他に無いユニークな機能をポンと出してくるところが、Maya の大きな魅力だと思っています。また何か斬新な、面白い機能が出てこないか――今もひそかに期待してるんですよ。
『ホッタラケの島 ~遥と魔法の鏡~』
CG 監督
長崎高士 氏
2D+3D が高度なレベルで融合した世界観
ピクチュアズ
長崎 高士 氏
ポリゴン・ピクチュアズといえば、わが国を代表する 3D CG 制作スタジオの 1 社である。そのポリゴン・ピクチュアズのもとへ、これも日本有数のアニメーション制作会社・Production I.G から協力依頼があったのは 2008 年半ばを過ぎた頃。内容は Production I.G が 4 年前から制作を進めていた長編劇場用アニメーション、『ホッタラケの島~遥と魔法の鏡~』の CG パートの制作である。日本ではまだほとんど例のない、フル CG による手付けアニメーション作品。しかも制作期間は 1 年弱という厳しいスケジュールのプロジェクトだったが、同社はその依頼を快諾した。
「私自身、話を聞いてすぐ参加したいと思いました」。そう語るのは、今回のプロジェクトで CG 監督を担当した長崎高士氏だ。
ピクチュアズ
牧野 治康 氏
「2D アニメの Production I.G と 3D CG の当社がコラボすれば、今までにない面白いことがやれると直感したんです」。しかし、その一方で与えられたスケジュールはきわめて短く、彼らの作業量が膨大なものとなるのも確実だった。特に手付けにこだわったアニメーションは、ポリゴン・ピクチュアズと IGFX (Production I.G の 3D スタジオの名称)では制作しきれない。そこで、さらに多数の制作会社が協力することになったのである。ラインプロデューサとして参加した牧野治康氏は語る。
「これだけ大手スタジオが揃ったのは珍しいでしょう。共通点は Autodesk Maya を使っていること。Maya は大手の多くが採用するデファクトスタンダードだから当然ですが」。いわば Maya ユーザが結集したプロジェクトとなった制作現場は、長崎氏の期待どおり Maya の柔軟性をフルに生かす一種の実験場となった。
「例えば今回、背景も 2D では作りきれず 7 割を 3D で作っています。難しいのは 2D と 3D を繋ぐ部分。ここで違和感を感じさせたら台無しです。そこで背景美術の美峰さんに協力を仰いだんです」(長崎氏)。つまり、2D パートの背景美術を制作した美峰さんの担当者に筆で手描きしてもらい、それを CG のテクスチャとして使用。2D/3D 間で全く違和感のない世界観を創りだしたのである。
「勉強になりましたよ。たとえば室内のマッピングを貼る時、私たちは俯瞰から 2~3 個で貼り付けますが、美峰さんが室内からのアングルで作らなければ空気感が出ないというんです。そこでカメラマップ風に 1 シーンで 20 ショットも貼り付けました。手間はかかりましたが、確かに仕上が全然違いましたね」(長崎氏)
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*上記価格は年間契約の場合の1ヶ月あたりのオートデスク希望小売価格(税込)です。