レイ／映像技術事業本部　
Autodesk Flame Premium 2015導入、4K編集を本格稼働
編集室「F9/FLAME 4K」をオープン 特別番組『ゴジラ4Kプロジェクト』のポストプロダクション担当

（株）レイ 映像技術事業本部 マックレイ技術部はこのほど、西麻布Studio 2（K21ビル）2階にAutodesk Flame Premium 2015を導入した4K対応編集室「F9/FLAME 4K」をオープンし、本格稼働を開始した。4K対応のFlame Premium 2015の導入は国内で同社が初となる。新編集室では、日本映画専門チャンネルの特別番組『史上最高画質！ ゴジラ4Kプロジェクト』のポストプロダクションを担当している。同社では、Sony「F65」／RED「EPIC-X」／Canon「C500」／ARRI「ALEXA PLUS」といった4Kを含むデジタルシネマカメラを有する"撮影チーム"との連携をさらに強化し、イベントやCM制作など幅広い分野にワンストップの4K制作を提案していくという。

4K対応「Flame 2015」の導入は国内初

4K対応編集室「F9/FLAME 4K」

Flame 2015は、NAB Show 2014においてVXFソフトウェア「Flame」の最新版として発表、最新プラットフォームのHP Z820にGPUカード×2枚を装備することで、4K/UHD（Ultra HD）素材のSDIによる50p/60pでのリアルタイムモニタリングおよび再生、精度の高い4K/UHD色管理、タイムラインエフェクトやバッチノードのパフォーマンス最適化や4K対応サブスタンステクスチャー、16Gbファイバーチャネルコントローラーなど、"4KおよびUHDワークフロー"に対応している。さらに、ショット／シーケンス／バッチ設定といったレンダリングをバックグラウンドで処理し、フォアグラウンドでは別のタスクをインタラクティブに処理し続けることができる。なお、4K対応のFlame 2015の導入は国内で同社が初となる。

4K対応BRAVIA「KD-55X8500B」を設置したクライアントスペース

特別番組『ゴジラ4Kプロジェクト』の編集作業を担当する映像技術事業本部 第1プロデュース部／クリエイターチーム チーフディレクターでFlameエディターでもある坂本匡章氏は〈Flame 2015での4Kワークフローは、これまでのHD作業と感覚は変わらないくらいスピードが速くなっています。レンダリング作業等はバックグラウンドに投げることが可能なので、ストレスもなく作業が進められ、CM制作など立ち会いのある4K作業であっても、これまでと同様の進め方で臨めるのではないかと考えています。また、3Dシェイプやクリエイティブ ツール・レプリカなどの機能も強化され、さらに使いやすくなっていると感じています〉とする。

特別番組『ゴジラ4Kプロジェクト』、Channel 4Kでも放送

プラットフォームのHP Z820

日本映画衛星放送㈱がスカパー！で放送を行う日本映画専門チャンネルでは7月20日（22:50～）、特別番組『史上最高画質！ ゴジラ4Kプロジェクト』（28分）を放送する。日本映画専門チャンネルでのオンエアは、4Kスキャニングマスターの2Kダウンコンバージョンでおこなう一方、次世代放送推進フォーラム（NexTV-F）が実施する4K試験放送「Channel 4K」で7月25日（18:30～）に4K放送される。

特別番組は、ゴジラシリーズ全28作品から名場面を厳選し、東京現像所がオリジナルネガから4Kスキャニングを実施。番組オープニングタイトルの作成、旧作の作新紹介のタイトルワーク、エフェクト、4K/60pでの編集業務を、レイ「F9/FLAME 4K」編集室で行っている。
なお、日本映画専門チャンネルでは、米国製作の『GODZILLA』が7月25日に全国ロードショーを開始するのに先駆けて、3月から1年にわたり30作品をハイビジョンリマスター版で完全放送するほか、7月に「55時間まるごと 総力特集・ゴジラ」を実施。特別番組『史上最高画質！ ゴジラ4Kプロジェクト』はその一環として放送されるもの。

イベントやCM分野に4K制作を提案

4K編集作業を行う坂本匡章氏

編集卓、Flame 2105の画面

映像技術事業本部 マックレイ営業部 シニアチームリーダーの荒井寿斉氏は〈撮影チームでは早期から4K撮影に対応する一方、編集室の4K対応については市場動向やFlame 2015のリリース時期を考慮して待っていたというのが実情です。F9/FLAME 4Kをオープンしたことで、4Kに関する課題を明確にしていくとともに、より具体的なご提案ができると考えています〉。
映像技術事業本部 マックレイ技術部 部長の阿部直行氏は〈マシンスピードが速くなり、HDと同じような感覚で4K編集が行えることは非常に大きいと思います。BSデジタル放送開始前後にHDのデータ量が大きく、多くの作業時間を要した当時の状況とは全く違い、データ量の増大にマシンスピードが追いついていることを感じます。しかしながら、より重要なのは、スムーズな収録と撮影素材のデジタイズを含めたデータ管理の部分です。当社では撮影チームに加え、デジタル現像を担当するテクニカルチームを有しているだけでなく、各拠点間は10Gbpsのダークファイバーでネットワークするとともに、サーバーを介してデータ共有を可能とするなど、よりスムーズなファイルベースワークフロー／4Kワークフローを提供することが可能です〉とする。
また、4Kに関する問い合わせも徐々に増えてきているという。イベント事業本部では、7月9日～11日に東京ビッグサイトで開催される「第1回 ライブ＆イベント産業展」に出展し、F65による4K/8K収録から4Kプロジェクションによる大型映像の展開を積極提案する。一方、CM制作等の分野においても、メーカー等を中心に4K完パケの制作とともに、ダウンコンバートによるオンエア／4Kでのデジタルサイネージ展開の提案・問い合わせが増加しているという。

4月にはイベント「桜－8K×八景」開催

レイ 映像技術事業本部では4月、西麻布Studio 1（レイビル）3階のバルコニーで8Kイベントを開催した。イベントでは、8Kイメージセンサーを搭載した「F65」で撮影した8K×4K映像を、2台の4K対応BRAVIA（65インチ）で上映した。F65では東京の桜の名所8ヶ所を8Kで撮影したもので、イベント名も8Kと名所8ヶ所を掛けて「桜－8K×八景」とした。

4月に行われたイベント「桜－8K×八景」

写真左から、荒井寿斉氏、大谷朋之氏、阿部直行氏

執行役員 映像技術事業本部担当の大谷朋之氏は〈SDからHDへの変革期に当社では、いち早くHD撮影を開始するとともに、インディペンデントのテクニカル集団として、16:9の画づくりやポストプロによる撮影スタイルを提案してきました。4K制作の拡大には、いくつかのハードルがあるのも事実かもしれませんが、その精神はHDの時と全く同じです。ノウハウの蓄積とテクニカルチームの充実で、撮影から仕上げまで作品ごとに最適なワークフローを提案・サポートしていきたいと考えています〉としている。

レイ
http://www.ray.co.jp/
東京都港区西麻布3-2-30 レイビル　TEL03-5410-6130

取材：ユニ通信社