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京楽ピクチャーズ. Shotgun活用事例インタビュー:5年間試行錯誤の末辿り着いたシンプルな利用方法で大きな導入効果

京楽ピクチャーズ. Shotgun活用事例インタビュー:5年間試行錯誤の末辿り着いたシンプルな利用方法で大きな導入効果

2020.01.07

  • Shotgun
  • 映画・TV

業務改善を行う立場の人々にとって自分が考えた提案や新しいワークフローをどうやって社内に浸透させるかは非常に困難な課題の一つである。便利なソリューションであっても社内のスタッフに受け入れてもらえず、使用しないスタッフがいれば業務効率化の実現は出来ないためだ。

そのため機能が豊富でカスタマイズ性が高いプロジェクト管理ツールShotgunをどのようにワークフローに落とし込むかは、導入を検討されている方達にとって腕の見せ所とも言える。今回、京楽ピクチャーズ. 株式会社の日比野 辰彦 氏が、Shotgunを社内で展開するために行った様々な工夫についてインタビューで詳しくお聞きした。

ーーはじめまして、まず自己紹介と会社紹介をお願い致します。

はじめまして、京楽ピクチャーズ. 株式会社の日比野です。遊技機メーカー京楽の映像部門で部長を務めています。映像部門では主にパチンコ、パチスロの液晶画面に流れる映像を制作しています。国内に約80人、海外のタイにも約50人のスタッフが働いています。

また、主力のパチンコ映像以外にも映画製作を行ったりVRコンテンツ制作に取り組んだり、映像に関わる研究開発も積極的に行ったりしています。京楽ピクチャーズ.のモットーが「あらゆる映像エンタテインメントにチャレンジ!」ですので。

VRコンテンツ制作
映画 テラフォーマーズ © 貴家悠・橘賢一/ 集英社 ©2016 映画「テラフォーマーズ」製作委員会
映画 テラフォーマーズ © 貴家悠・橘賢一/ 集英社 ©2016 映画「テラフォーマーズ」製作委員会
ぱちんこ GANTZ:2 ©奥浩哉/集英社 ©奥浩哉/集英社・「GANTZ:O」製作委員会  ©OK!!
ぱちんこ GANTZ:2 ©奥浩哉/集英社 ©奥浩哉/集英社・「GANTZ:O」製作委員会  ©OK!!
ぱちんこ AKB48-3 誇りの丘 ©AKS  ©KYORAKU
ぱちんこ AKB48-3 誇りの丘 ©AKS  ©KYORAKU

ーー日比野さんはどういった業務をこなしていらっしゃるのでしょうか?

映像部門やデザインセクションの管理監督が主な業務です。プロジェクト全体の品質管理や外部協力会社との連携、版元との折衝、撮影管理などのプロデュース業務から一般的な管理業務まで多岐にわたります。

ーーShotgunはどういった経緯で導入されたのでしょうか?

当時、弊社はスタッフの増員や開発の効率化に対応するため社内ワークフローの見直しを行っている最中でした。このため、Shotgunや類似ソリューションの検証作業を進めたり、自社ツール開発の可能性について検討したりといった調査を進めている時期でした。

そんな中、社内制作チームが、映画のプロジェクトに参加することがちょうど決定したため、まずはショット制作の進捗管理ツールとしてShotgunの導入を行おうという流れになりました。

ーー決め手は何だったのでしょうか?

複数ある選択肢の中でShotgunに決めた理由は見た目の分かり易さです。映画制作チームを新規に立ち上げた段階だったので、理解し易い環境を重視しました。

主に監督にチェックしてもらうために映像を仕上げていくショットの進捗管理を中心に活用していました。ショットの他にも3Dアセット制作の進捗管理でも効果を発揮していました。他にも、絵コンテやカラースペースなどの注意事項を情報共有する際にもとても便利でした。

SHOTGUN
SHOTGUN
SHOTGUN
SHOTGUN
SHOTGUN
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当時の使い方はしっかりとガントチャートでスケジュールの管理まで行い、プロジェクトメニューも幅広い用途に対応出来るようなカスタマイズを行っていました。

映画プロジェクトで少人数での対応が可能な効率化を強く感じられたので、これはパチンコ開発でもイケるのではと感じました。

これまでのパチンコ向け映像制作は、エクセルやメールベースで管理を行っていました。エクセルの場合、当然ながら画像と照らし合わせながらの管理が困難です。そして、結局は人の記憶力に頼って管理するような非効率なやり方でした。こういった状況もShotgunであれば必ず改善が出来ると思い運用方法を模索しました。

当時のスプレッドシート
当時のスプレッドシート

ーー当初、パチンコ向け映像の制作管理はどのように行われたのでしょうか?

まず、映像制作とパチンコ制作では共通の言語が異なります。演出というページは、画像の素材を管理するエンティティ(管理単位)として登録を行いました。フローの構築とともに権限の設定については細心の注意を払いました。誰がどの情報を閲覧出来て、どこまでの編集が行えるのかは時間をかけて検討を行いました。

発売中の「必殺仕置人」プロジェクトを例にとると、演出には低確率、高確率、時短モード、出陣モードといったモードが存在します。登録した演出にタグ付けしておくだけで、必要に応じて素早く情報を絞り込めます。これだけでもミーティング時の確認やディスカッションがとても捗りました。

企画演出のスタッフは、デザイナーほど高スペックのPCを所有していないケースがほとんどです。以前は確認のために大きなファイルサイズの動画を再生しようとして処理落ちするようなことも度々ありました。その点Shotgunは、PCのスペックを気にせずにウェブ上で動画のプレビュー再生が手軽に行えます。

ウェブ上で動画のプレビュー再生
目的の素材に素早くたどり着ける検索機能

目的の素材に素早くたどり着ける検索機能が優れているだけでなく、動画のコーデックやPCスペックを意識しなくても良いプレビュー環境も魅力と言えます。さらに、スプレッドシートの管理機能とこの画像のプレビューが連動しているのが素晴らしいと思います。

SHOTGUN
SHOTGUN

しかし、Shotgunの利点を感じとってくれる人達がいたなかで、従来のエクセル管理に慣れすぎている一部の人達にとっつきにくいと敬遠されてしまう状況も発生していました。

便利なものであることは確信していましたが、3つの壁にぶつかったのです。

ーー3つの壁とは何でしょうか?

一つ目の壁が、「なじみ」です。
当時はプロジェクト管理ツール自体を使ったことが無いスタッフがほとんどでした。新しいソリューションをすんなりと使えるスタッフと使いこなせないスタッフに分かれてしまった印象でした。若手スタッフは、新しいものに対する受け入れが速い傾向にありました。

2つ目の壁が、「柔軟性」です。
遊技機の制作管理は、担当スタッフによってそれぞれ手法が異なります。業界的な例でいうと、CG会社ごとに異なるルールでリグが組まれていたり、制作フローが違ったりということと同様ですね。スタッフ毎の独自の管理手法を吸収して汎用的に使いやすく構築するのはなかなか困難でした。

3つ目の壁が、「プロっぽい」です。
Shotgunはもともと映像業界でショットの進捗管理を行うために生まれた専門的なツールだと思います。つまり、企画者や演出担当などのデザイン業務に携わらないスタッフには全く未知の物でした。自分にとって得体のしれないツールを使っていく事にハードルを感じてしまう人達も少なからずいました。

日比野 辰彦 氏

ーーこの状況をどうやって打開されたのでしょうか?

クラウド製品であるShotgunの可能性については確信をもっていました。情報の一元管理を実現し、プロジェクトのメンバーと効果的なコミュニケーションが行えるツールですので。

やや複雑な運用を行うと機能を熟知しているデザイナーにとっては使いやすく効率化が見込める。しかし、とっつきにくいと敬遠する人も現れた...。

馴染めなかった人をどうすれば取り込めるか、どうやってさらに運用方法をシンプルにできるか考えました。Shotgunをガラパゴス化させてしまうのではなく、誰にでも浅く広く使えるような仕組みのほうが良いのではと考えました。

ーーなるほど、多くの人達にとってシンプルで分かりやすい運用を目指したのですね。

初導入の遊技機プロジェクトではタスクの進捗管理や情報共有の機能を積極的に使っていました。しかし、次のプロジェクトではあえてタスク管理は使用せず、情報共有の場とは異なる使い方を提案してみました。複雑な構成をばっさりと切り捨てた極力シンプルな運用方法です。

人気シリーズの4作目となる「CR冬のソナタ Remember」は、反響がかなり大きいタイトルでした。もともとはシリーズ3で完結のはずが、4がリリースされたという経緯があります。そこで、これまでフォルダ管理を行っていたムービー素材を引き出してShotgunに登録しておいたのです。

どのシリーズのどういった演出で使った素材なのかを直ぐに調べられる、いわゆるムービー素材のライブラリーのような使い方です。既に完成している素材なのでデザイナーには直接関係がありませんが、これには企画担当者が食いついてくれました。結果としては、デザインチームも動画素材の問い合わせに対応する負担が無くなるというメリットがありました。

SHOTGUN
SHOTGUN
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ーー過去のムービー素材は具体的にどのように活用されているのでしょうか?

過去の遊技機制作では続編機種の開発においても、比較的素材の作り直しが多く発生しておりました。しかし、現在は過去の素材が活かせる場合は、うまく再利用しようといった動きが主流になっています。

例えば、ミーティング時にあの機種のあの演出をやりたいといった意見がよくあがります。こういった時にパッとムービーを探し出せるとイメージが瞬時に共有できて助かりますね。

ノートの項目では管理ID、映像の管理番号がリストで確認出来るようにしてあります。管理番号と紐づき圧縮して保存されているAfter Effects等のデータにたどり着けるようになっています。検索→プレビュー→素材の再利用の流れがスムーズに行えます。

こういった検索ライブラリーは多くの演出が行われている「CR ぱちんこ AKB48」などのプロジェクトで細かな改良を加えて運用しており、通常ステージ、ビーチステージ、推しグループモード(AKB、SKEなど)といったように分類登録しました。他にも人気シリーズのプロジェクトにおいても演出モードや演出名から素早くフィルターや検索が出来るように整えました。

開発済みプロジェクト以外にもTVシリーズのヒーローの必殺技を検索できるようにしたり、他社の機種も参考のために検索できるように様々な情報を登録していきました。デザイナー向けにはテクスチャ素材集を検索出来るようにするなど埋もれてしまいがちな情報に素早くたどり着ける環境を、Shotgunを窓口にして提供したのです。

SHOTGUN

ーー検索ライブラリーとしてだけ使ってもらうというのは大胆な決断ですね。進捗管理はどうされているのでしょうか?

最初に受け入れてもらうためには良い判断だったと思います。最新のプロジェクトでは素材管理だけの状態から、あらためて進捗管理の機能も取り入れて進化させています。

現在の進化形では「ノート」と「演出」の二項目にシンプル化させています。

「ノート」にはチーム内で共有情報をアップしています。保留になっている事項やエクセルの企画書、仕様書など主に書類の受け渡し場として活用しています。

「演出」項目では、パチンコの演出映像を管理しています。

そして、素材の提出状況に関して進捗管理を行っています。未着手、サンプル制作中、完了といったシンプルなステータスの管理です。

また、セルの色付け機能を利用することで誰が現在ボールを持っているのかを視覚的に分かりやすくしました。
赤色はプランナー、緑色はデザイナー、青はプログラマ、オレンジは未着手といった具合です。

SHOTGUN

例えば、素材をアップロードした後にステータスを「音付け依頼」に変更するとセル色が変わります。サウンドチーム側は、色で依頼を察知して作業を行います。音をつけ終わった素材をアップロードして、「音付け済み」とステータスを変えて色をクリアにするといった形です。

全体管理を行う際にはガントチャートを利用せず、この一画面を確認するだけで現在の状況が正しく把握できるようなシンプルな構成になっています。

浅い階層でみんなが情報を把握出来るようにしたため、どのチームの対応が遅れているのか色によって一目瞭然です。視覚的に互いに刺激を受けながら対応出来る必要十分な仕組みです。

情報を集める場所、進捗を見る場所というシンプルに2つに絞ったことで、さらに利用者が増えプロジェクトが以前よりもスムーズに回るようになりました。

ーーちなみに3Dのシーンデータは、どのように管理されているのでしょうか?

3Dアセットの管理は、Shotgunから切り離して自社でシステムを構築しました。検索したアセットを再利用する時にプロジェクトに対してアセット利用の確認システムを構築したためです。ショッピングカートのような機能をイメージしていただくと良いかもしれません。この部分はあえて社内ネットワークに留めたいという理由もありました。

ーーShotgun導入による費用対効果についてお聞かせ下さい。

具体的な費用まで算出していませんが、まずプロジェクトへの投入リソースを最小限に留められるようになりました。参加人数をおさえつつも以前よりスムーズに仕事がまわっている気がします。状況が見える化された効果だと思います。

また、以前と比べて確実にスケジュールが早くこなせるようになったことを体感しています。例えば、あるプロジェクトでは、開発スケジュールを2、3か月も前倒することが出来ました。

以前のように動画をファイルサーバーから取得しなくても、ウェブで動画再生が出来て直ぐに返事や修正依頼が返せます。提出者もチェック側もレビューに対する個々のリアクションが速くなりました。

また、東京、名古屋など遠隔地のスタッフを一つのチームに混ぜた際にも効果が高かった印象です。このあたりはクラウド製品の強みですね。ステータス管理によって誰がボールを持っているのかがはっきりして、受け渡しの回転が速くなったためだと思います。

あとは物理的な打ち合わせの数や時間も減りました。以前までは週2回くらいは、打ち合わせに時間を費やしていました。しかし、Shotgunでリアルタイムに最新の情報進捗が把握できるため多くても2週間に1回などミーティングの時間が大幅に削減出来ています。それでいて以前よりも混乱や遅延といった問題が減っているのです。

なかなか数値化は難しいのですが、こういった様々な側面から確実に手応えを感じています。

ーー今後の展望についてもお聞かせ下さい。

ライブラリー検索機能は、プランナーにも大好評で社内のShotgun利用率がどんどん増加してきています。そして、シンプルかつ合理的な進捗管理は、今後のパチンコ向け映像制作でも運用面をブラッシュアップして利用して行く予定です。

将来的には前述した社内の3Dアセット管理とShotgunを連動させるような仕組みも上手く構築が出来ればと考えています。これ以外にも別のアプローチでShotgunの良さを生かせるようなワークフロー改善を提案して行きたいですね。

ーー貴重はお話をありがとうございました。最後にShotgunを検討中の方にメッセージをお願いします。

Shotgunは進捗管理ツールですが、既成概念にとらわれず運用を考えることでワークフローの管理ツールとして幅広く利用が出来ると思います。

もちろん、最初からがっつりと深い利用方法で運用するのも良いと思います。しかし、場合によっては弊社のようにあえて絞った利用方法も一つの選択肢かもしれません。

各社のフローに最適化した運用を行うことで、映像制作以外の現場でも活用が出来るはずです。たとえ利用方法がシンプルであっても大きな恩恵を受けられるはずです。そして、CG専門スタッフではないプランナーなどの一般のスタッフも同じ情報を共有することで、プロジェクト進行におけるコンセンサスが取りやすくなると思います。業務のクラウド化を検討する際にワークフローに取り入れてみてはいかがでしょうか?

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