株式会社フロム・ソフトウェア
ARMORED CORE for Answer
3ds Max と mental ray で創造するフォトリアルを超えたフィクション世界
- 3ds Max
- ゲーム
リアルとフィクションの境界を疾走するクリエイティブ
mental ray で主人公機体をレンダリング
「前作同様、フォトリアルな映像をベースにしながらも、今回は質感がかなり違って見えるはずです。実は今回、ムービーの主人公機体を目立たせることが大きな狙いなんです」(鈴木氏)。実写さながらのリアリティを追求してきた ARMORED CORE シリーズのムービーでは、主人公機体もあくまで兵器として、背景に馴染んだリアルな質感で描かれるのが通例だった。しかし今作では、主人公機体となる白いアーマード・コアにヒーローらしい存在感を持たせるため、あえてリアルな背景に馴染ませず、ライティングや質感を変え、構成もやや外しぎみに作っている。ある意味、これまでと逆のやり方なのである。
「機体自体は変に見えない程度に、浮かせ気味にしています。このため、今回初めて機体を mental ray でレンダリングしました」(鈴木氏)。従来は 3ds Max の標準レンダラー・スキャンラインを使っていたが、mental ray のレンダリング品質に注目しており、実用化へ向け実験を行っていたのである。 「mental ray の本格的な活用は初めてだったので最初は多少時間がかかりましたが、狙いどおり機体のシルエットを柔らかく表現し、その大きさを強調できました。スキャンライン、mental ray は実装されていますが、それ以外にも多彩なレンダラーが揃うのも 3ds Max の大きな魅力。それぞれの親和性も高いと思いますよ」(鈴木氏)。なお、今回も mental ray を使用した主人公機体以外は、基本的に全てスキャンラインでレンダリングしている。
巨大すぎる"動く背景"をリアルに見せる
OP ムービーの役割はゲームの特徴を伝え、ユーザーのプレイ意欲を喚起することにある。今作で言えば、敵役となる全長 2km の巨大兵器「アームズフォート」のスケール感を見せることだろう。
「リアルタイム用モデルを基に、細かいパーツを付けテクスチャを貼って仕上げました。巨大さをリアルに感じられるよう、現実世界にもあるパイプ等を使っています」。そう語るのは平沢翔太氏。ムービー終盤、主人公機と巨大兵器が対峙する印象的なシーンで、巨大兵器のディティールアップを行った。実は氏は背景担当。このアームズフォートが巨大過ぎ、キャラクタとして扱うと工数が合わないため背景扱いとなったのだ。実はこの"動く背景"はムービー冒頭にも登場するが、その制作は平沢氏ではない。
「コンテにないシーンでしたが、どうしてもバーンと最初に巨大兵器を見せたいという社内の要望で......。しかし人員配置も済んでいたため社内では賄いきれず、白組さんにお願いしました」(宮崎氏)。アニメーション/実写の企画制作、VFX等で有名な、あの白組である。ゲームのムービー制作の実績も豊富な白組には様々なチームがあるが、宮崎氏が依頼したのは Autodesk Maya を使う部隊だった。
「昔なら 3ds Max/Maya 間のデータ互換の問題が持ち上がるところですが、FBX 形式でやりとりできる現在はまったく問題ありません。凄いボリュームでしたが、白組さんは期日どおり素晴らしいものを仕上げてくれました。さすがです」(鈴木氏)。
こうして予定通り仕上ったムービーはゲーム本編と共に話題を呼び、「ARMORED CORE for Answer」 は 2008 年上半期有数のヒットゲームとなった。しかし、休む間もなく宮崎氏らの新たな挑戦は始まっている。
「機体、背景とかなりのノウハウを蓄積したので、次のチャレンジはアニメーションに関するものでしょうか――。カッコいいとかリアルだとか。キレイなだけの CGではなく、喜怒哀楽まで表現できる OP ムービーを 3ds Max で作ってみたいですね」(宮崎氏)。
導入製品/ソリューション | ・Autodesk 3ds Max |
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導入目的 | ・ゲームのリアルタイム CG /プリレンダー CG 制作のメインツールとして ・プラットフォーム(ゲーム機)の進化に対応した品質向上 |
導入効果 | ・リアルタイム CG /プリレンダー CG の品質向上 ・プラグイン、CG データなど過去資産の蓄積と活性化 ・独自の制作パイプラインの確立と業務効率化 ・多種多様なツールとの連携の強化 |
今後の展開 | ・外部とのコラボレーション強化 ・さらなる品質向上とより多彩な CG 表現の追求 |
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*上記価格は年間契約の場合の1ヶ月あたりのオートデスク希望小売価格(税込)です。