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The Chemical Brothers Wide Open. Image courtesy of The Mill
The Chemical Brothers Wide Open. Image courtesy of The Mill

映像制作の現場から CM編

Posted: 2017.04.21

CM制作現場のフロー

映像といっても制作手法によっては、その流れ(フロー)も大きく変わってきます。やはり映像のメインとなるのは実写プレート(撮影素材)です。この実写プレートを映像の中でどの様に活かすのか?これによって制作の工程も大きく左右されます。

ここではオートデスクのウェブページということもあるので、デジタルツール寄りの話になっています。フローはその条件によって大きく変わるので、ここに記載されるものは非常に大きなくくりであると考えてください。

では、実際のCM制作現場のフローを見てみましょう!

CM制作現場のフロー
CM制作現場のフロー

映像制作の中で、映画・テレビ・CM制作においては最近では掛ける予算と時間を除けば、フローは然程大きくは変わらないでしょう。

CM作品の制作において2つのポイント

1. 表現技法

CM作品は年間でどのくらいの本数が制作されているのでしょうか?テレビ、映画館、そして最近ではインターネットなどでも流されるCM作品ですが、プロダクトの種類だけCM作品の種類があると言っても良いでしょう。そして、その表現技法も多岐に渡っています。実写、2Dアニメーション、フル3DCGアニメーション、ストップモーション、モーショングラフィックス、など...。ある意味において、CM作品の制作は映像表現技法の実験場と言っても過言ではありません。

覚えておこう

CM作品において
国内での年間の制作本数は、2016年には東京キー5局だけでも16,043作品/7,470銘柄/2,028社となります。出典(「CM総合研究所調べ」)
CM作品が消費されるスピードは映画作品やテレビ・ドラマ作品と比べ物にならないほど速いものなのです。また、つくり出される本数も桁違いに多いため、CMの重要な役割でもある「人の記憶に残る」ためには、優れたアイデアが命とも言えるでしょう。

オートデスクからの提案

確かにCM作品は優れたアイデアを映像として表現することも重要な構成要素となりますが、それ以上にクライアントの意向(商品イメージ)を顕すことが最も重要でしょう。そのクライアントの要望に受け答えするプロデューサー、監督、そしてクリエーターと、扱う商品の特徴やターゲット層など重要な情報のコミュニケーションづくりにおいて、また全体の工程管理がスムースにできるシステムづくりをお勧めします!特に絵づくりにおいては Shotgun は大切なイメージの共有化を図れるでしょう。

2. あなたはThe making of new Vitz storyを観ましたか?

CM作品は映画やテレビ・ドラマ作品と違い、必ず人が主体でなければならないという訳ではありません。あくまでもクライアントの商品が主体なので、その表現のアプローチには多くの技法が使われています。例えば「車」のCMはテレビでよく見かけますが、最近では主役である車の殆どが3DCGツールによって手掛けられています。ちなみにタイトルのCMは大好きですよ!

ですが、商品が「車」なので、その絵づくりにおいては、所謂「CGっぽいつくり」ではCM作品を観ている人が興ざめします。モデル制作、アニメーション、ライティング、レンダリング、合成といった作業は手が抜けません。

覚えておこう

それでも実写素材との合成は手間が掛かり、その上で細かな修正がある場合、意外にコストも掛かってしまうことがあります。VFXを主体に海外で展開しているプロダクションThe Millは「The Mill BLACKBIRD」という撮影車両を開発し、後処理である合成作業の時間の短縮に役立てているそうです。

オートデスクからの提案

「車」など「工業プロダクト」のCM作品の制作において、クライアントからCAD形式のデータが提供される時があります。その場合、データ変換にかなりの労力と時間を取られてしまいますが、Autodesk MayaAutodesk 3ds Max であればCADデータ互換ツールを使うことで作業の効率化が進められます。

そしてMayaや3ds Maxに搭載された新しいレンダラー"Arnoldレンダラー"は品質の高い画質を提供します。非常にユーザーライクなレンダラーなので、クリエーターが目標の絵づくりに対して迷わず到達でき、試行錯誤の時間が短縮されるでしょう。

商品イメージ

CM作品の制作は、「商品イメージ」が大切な世界ではありますが、だからと言ってクリエーターは写実的な表現だけに拘っているのではありません。視聴者は常に新しい世界観の創出を求めていますし、クライアントからも常に求められるものです。そのためにデジタルツールを使い、試行錯誤しながら新しい絵づくりを探しているのです。

覚えておこう

CM作品の制作は、15秒から30秒といった短時間の中で観る人に商品の印象を強く与えなければなりません。監督は前段階のコンテを描く時において現実的なプランが見え、クライアントチェックを通してミスを少なくし、かつ現場で臨機応変に対応することができるのか?監督の持つ資質として問われます。

オートデスクからの提案

CM作品の制作では、長期間に渡ってのスタジオ撮影はおこないません。撮影時までに監督のビジョンが明確になっているのかも大切な要素と言えるでしょう...絵コンテを固め、アニマティクスで現場スタッフとイメージの共有化をおこない、撮影素材を入念にチェックする。ゆえに、スケジュールの計画性はもちろんですが、フローに関しての効率性も大きく求められます。そのため、現場のオンセットとしてMac版 Autodesk Flame / Autodesk Flame Assist を使い、撮影現場で精度が高い状態でチェックをおこない、クオリティを保ったまま、Autodesk Flame に持ち込んで仕上げる一貫した作業の連携性は重要視されるでしょう。

まとめ

CM制作において大切なポイントは、映画制作やテレビ・ドラマ制作と同じで如何にスタッフ間の「コミュニケーション」を円滑にして、チームビルディングをおこなうかということです。前述のとおりCM制作ではクライアントの意向ありきなのです。あくまでも「商品イメージ」が大切なのでクオリティの高い絵づくりが求められます。そして場合によっては現場での柔軟な対応も求められることもあります。ですが、あまり効率性を求めてしまうと逆にスケジュールに破綻を招く場合があります。

イメージづくり

CM作品は、主役となる商品のイメージがクライアントのブランディングへと繋がるので、いつまでも頭の中に残るインパクトの強い「イメージづくり」が大切になります。そのため制作技法も実写撮影に拘らないで、フル3DCGのアニメーションや2Dアニメーションで全編を通す作品も見受けられます。

そして、最近の技法では3Dプリンターも活用されています。背景小道具から、コマ撮りのモデル(人形)などにも活用されています。CMではありませんが、LAIKAが制作した映画作品「Kubo and the Two Strings」では、Mayaでモデリング、そしてアニメーションを付け、そのモデルデータを3Dプリンターで出力し、ストップモーション撮影をおこなう、といった技法を採用しています。

Kubo and the Two Strings

Kubo and The Two Strings, image courtesy of LAIKA

覚えておこう

CM制作は、その時代の映像表現技法のトレンドをいち早く採用する!と言っても過言ではありません。とにかく技法に関しては貪欲な業界だと思います。

厳しい関門

CM制作では、映画制作やテレビ・ドラマ制作と違うポイントとして、常にクライアントが現場にいるということです。実写プレートも2D、3DCGで制作された素材もデータとなってポストプロダクションに渡り、合成をおこない、完成された絵となりますが、その間、クライアントはその出来栄えをシビアに吟味をすることでしょう。ただ、ご機嫌を取っているだけでは良い作品は生まれてきません。

大切なのはなんといっても作業スピードでしょう。そしてCM作品は、尺においては短い秒数ではありますが制作本数が多い時もあり、必然的にバージョニングの管理も発生します。またアウトプット先となるメディアも最近ではテレビ放送のみならず、映画館、インターネットなどがあり、多岐に渡ってのフォーマット管理も作業に含まれます。

覚えておこう

業界ではApple ProRes、MXF、DHxHDなどのフォ−マットがよく使われています。ですが、次世代に向けてのフォーマットの策定もあることは確かです。なにせIP放送というインターネットで展開する映像サービスも普及し始めているので、アナログ時代とは違いデジタルにおいては様々なフォーマットがアウトプット先として利用されています。

ここでの問題点としては、扱うフォーマットの理解不足から起こるクオリティの劣化です。これは近年の視聴環境の変化に大きく影響する問題と言えます。

オートデスクからの提案

CM作品の制作現場において、ポストプロダクションで長年に渡り一番多く使われている映像のフィニッシングツールはFlameでしょう。CM制作では、1本の作品で1種類のフォーマットで納品とならないのが現状です。

Flameは、中間フォーマットを作業に応じて選択する事が可能です。最高品質を維持するために非圧縮のDPXやOpenEXRフォーマットを選択して納品直前まで最高の状態を維持し、デリバリーするフォーマットに変換します。

また数多くあるエフェクト系のプラグイン、スクリプト、そしてノウハウ...さらにShotgunのサポートで工程管理やプレビューがやりやすくなりました。最新のツールセットで大規模人数の制作においても、小規模人数の制作においてもスタッフ間のコラボレーションを効率化できるでしょう。

Image courtesy of Carbon VFX

Image courtesy of Carbon VFX

ポストプロダクション

CM制作において、もっとも手間の掛かる作業であり、監督やクリエーターの主戦場となるのがポストプロダクションルームです。そして前述のとおり、クライアントが常に側にいる緊張感の中での作業は相当ハードかと思われます...が、その頃にはチームの一員となっている筈なので、逆に信頼を得やすくなっているかもしれません。でも往々にしてチームビルディングは簡単ではありませんが...。

クライアントは、今日の拘束時間を気にしつつ、大型テレビの画面に映し出される「結果としての映像」を確認し、クリエーターはオペレートに撤しながら液晶モニターに映し出される操作画面を確認しています。

覚えておこう

ここで気づいた人は、クリエーターの素質十分だと思います。なぜならば両者の画面の「色」は決して同じ「色」ではないからです。

主にテレビなどの場合、日本の放送規格(NTSC-J)として、習慣として9300Kが基準値となっています。一方、PC環境の基準値は6500Kなので、比べると高い色温度となり、結果、テレビの映像は「青色」が強く見えてしまいます。 テレビとPCの画像を見比べてみると、PC環境の画面の「赤色」が強く見えてしまいがちです。
※ただし視聴環境やモニターの設定条件により左右されます。

参考として、アメリカの放送規格(NTSC)は色温度の基準が6500Kとされています。

ただ結果は、あくまでも最終のアウトプットのテレビの画面となるので、クライアントからOKが貰えれば仕事はフィニッシュとなります。

オートデスクからの提案

「色」は回想力、認識力を増すなど、人の心の働きに影響を与えていることは確かです。Autodesk Lustreを使って、高性能でリアルタイムのカラーグレーディングを実現し、クリエーターが求めるクリエイティブなルックを可能にしています。「色」を自在に操ってCM作品を手掛けて見てください。

またビジュアルエフェクト用の Flame を相互に活用すれば、グレーディングとフィニッシング アプリケーション間を移動する際にも、単一のデータセットを使用することで、全体の作業を短時間で効率的におこなえ、プロジェクトのフィニッシングがより簡単におこなえます。

まとめ

CM作品の制作において、チームのスタッフに留まらず、クライアントとの「コミュニケーション」能力は必ず求められますし、テレビ・ドラマ作品と同じく視聴環境が激変する世界でもあるので、これからますます技術的な理解力も求められるでしょう。また作品は常に時代のトレンドを生み出すことにも繋がるので、表現技法の多様さを忘れず、貪欲なまでに新しい技法を取り込みましょう!

Text by Takao Kido, GIGAON Co.,Ltd

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