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第93回:Crease(折り目)の値って何基準?
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メッシュを選択して1,2,3キーを押すとSmooth Mesh表示となり、見た目上メッシュが分割されてなめらかになります。
すべてが丸っこくなるので、一部は角を作りたいということがあります。そういうときは「Mesh Tools > Crease Tool(メッシュツール > 折り目ツール)」を使って、エッジや頂点を選択してCrease値を設定します。Crease Toolにしてからエッジを選び、中マウスボタンでドラッグすると角を作ることができます。
またはCrease Set Editor(折り目セットエディタ)を使って、どこにCreaseがあるか管理しながら角を作ることもできます。
「Windows > Modeling Editors > Crease Sets(ウィンドウ > モデリング エディタ > 折り目セット)」でエディタを立ち上げられます。
Newでセットを作成して、エッジや頂点を選択して「Add(メンバーを追加」」して、同じCrease値のものをセットとしてまとめていきます。
で、ここで疑問なのですが、この「Crease値(折り目値)」は一体何なのか・・・。1.0にすれば完全な角、つまり元のメッシュのエッジや頂点にくっつきそうですが、そうなりません。次のキューブは、すべてのエッジにCrease値1.0を設定していますが、案外丸っこいです。
数字を増やしていき、2.0にすると元のメッシュのエッジの位置に、スムースされた形状も張り付きます。
なぜに2.0?
今回はこのCrease値が何を意味しているか見ていきましょう!
Crease値は分割レベルに対する吸い付き具合
Creaseの値を見ると、なんとなくエッジの曲率?(そんなものがあるかどうかわかりませんが・・・)という感じがしてしまいます。
0.0で丸っこくなるなら、1.0だったら硬いんだろう、なら完全な角ができるのだろう、というふうに感じてしまいます。
実際は「1.0 = 100%」元の形状の位置に行くというわけではないのです。
実は「分割数と同じCrease値のとき、元の位置にくっつく」という値です。
例えば分割数2のとき、Crease値が2.0なら元のエッジや頂点の位置につくのです。
分割数というのは、メッシュのアトリビュートで「Smooth Mesh > Subdivision Levels > Preview Division Levels(スムーズメッシュ > サブディビジョンレベル > プレビューの分割レベル)」のことです。デフォルトで2になっています。
これを踏まえて見てみましょう。
まずデフォルトで分割数が2ですので、Crease値が1.0だと、元のエッジに半分ぐらい近づきます。
(キューブの中にある灰色の線の形状はCrease値が0.0の形状です。)
Crease値を2.0にすると、分割数2と同じ値になるため、元のエッジの位置に付きます。
分割数は始めに決めておくほうがベター
注意が必要なのは、もっと滑らかにしようとしてあとから分割数を増やしたときです。
分割数を2 → 4にすると、こんな見た目になります。
Crease値は変えていませんが、形状がエッジから離れてしまっています。Crease値は0~100%という値ではなく、あくまで分割数に対しての値であるため、分割数が変わると効き具合が変わります。
まあ、Crease値を「この辺に角っぽさを作る」という値として捉えていれば、分割数を変えても印象が大きく変わることはないですが、それでも形状が痩せるなど変化しますのでご注意ください。分割数4のときに、形状を元のエッジの位置に持っていく場合、Crease値は4.0にします。
正確なベベルとしては使えない?
分割数を変えると角の具合が変わります。有機的なものを作っているときには悪くないですが、工業製品、ハードサーフェスモデリングをする際にはちょっと扱いにくいかもしれません。固定した幅で角を作りたいときでも、分割数を変えると角の具合が変わってしまいますので・・・。
なるべく固定した角を作るときは、エッジのそばにエッジを作るようにします。
次のモデルは、左側は上のエッジのCrease値を2.0にしています。
右側はCreaseを設定せず、角を作りたいところのエッジの際にエッジを追加しています。
分割数を2から6に上げると、こうなります。
左側はCreaseで設定している角の部分の印象がかなり変わっています。
Creaseを使わずに、エッジを追加している方は印象が保たれてます。
まあこれをやると、とてもモデリングしにくくなるので、あとから修正が難しくなります。最終仕上げとして行うなら、分割数を決めてCrease値を設定していくほうが後々マシかも知れませんが。
メッシュを必ず元のエッジ・頂点にくっつけたい(必ず角にしたい)ときの設定方法
Crease値を100とか、これ以上分割しないだろうという値にしておきます。分割数を7ぐらいに警告が出ますので、普通は10ぐらいで十分なはずです。
次の図は、分割数を2にしているときです。
これを分割数6にすると、このように変わります。
左側はCrease値と分割値が一致しないため、丸っこくなっています。右側はCrease値が大きいため、6分割程度ではへこたれません。
まとめ
なんとなくCreaseを使っていると、値の意味がよくわからず「このぐらい角が出ればいいかな」と見た目で設定したものの、後でいつの間にか角の具合が変わってしまった、ということがあるかもしれません。おそらく原因は分割数の変更ですので、Crease値の意味がわかればより上手くモデリングできるようになること間違いなし!
どんどんMayaでモデリングしてみてください!