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第57回:シルエットを使ったモデリング

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なんだかうっかりMayaネタが減ってしまっていますので、春の気分に乗っかり心機一転、コラムの形態も少し変えて見たいと思います。

あくまでMayaネタですが、3DCGを作る上で基本となるテクニックを毎回短めに、一つのトピックに絞ってコラムにします。その方が読みやすくて、実践に活かしやすく、あとからもう一度見ていただくときにも検索しやすいので、今まで以上に活用していただけるようになると思います。

というわけでまずは当面モデリングについてのネタです。新しく3DCGを始める方にもすぐに役立ててもらえる話になる予定です。


さて、モデリングするとき皆さんは何に気をつけながらモデリングされているでしょうか?

「デザイン画があって、その絵と同じようになるようにモデリングできれば完成」
「適当にモデリングを始めて、なんとなく完成したら完成」

モデリングがよく出来ているかどうか、評価の方法はいろいろです。シルエットを使って評価するのも結構使える手ですので今回ご紹介いたします。

シルエットで形状を分析してみましょう!


シルエットをビューで見る

Mayaのビューでモデルのシルエットだけ表示するには、次の手順を実行します。
1. モデリングビューで5キーを押して、シェーディング表示にします。
2. パネルメニューのLighting > Use Flat Lightingを選択します。
3. 必要に応じてAlt+bキーで背景の色を変えます。

57_01.png

余計なシェーディングやテクスチャの情報がなくなり、形状だけに注目できるようになりました。


好ましいシルエット

アニメーション、特に映画での話ですが、シルエットがシンプルなほどアニメーションの見栄えが良くなるとされています。ごちゃごちゃしている形状だと動きがイマイチわかりにくいので。

シルエットがシンプルであるほど「何が」「何をしているか」がすぐに認識できるようになります。

これはゲームでも好ましいことで、見えているキャラが敵なのか味方なのか、強いのか弱いのか、そして攻撃してきているのかどうか、そういうことを瞬時に見分けられる方がゲームの体験をより良くします。

よく海外のCGアーティスト本で、シルエットでキャラデザインをするものがあります。シルエットでメッセージを伝えることの重要性を垣間見ることができます。

例えばこんな感じで…。



あまりに適当でアレな感じですが、逆に驚くほどそれぞれが何者か、ヤバそうなのか安全なのか、どういう光景なのかわかりやすいことに改めてシルエットの重要さに気づきます。

これはCGで始まったアイディアではなく、古くから絵画でも行われている手法です。
とある海外のアートスクールでは、デッサンするとき対象物を10本程度の線で描くようにします。どんなものでもこのシンプルさで表現されるべきで、絵に力強さを与えます。



大体10本で、何を描いているか意外とわかるもので、これが絵の特徴となっています。補足しておきますと、左から貝に載っている人、黒い服の人、背骨が多い人です。


メッシュというモノの見かた

形状としてメッシュを見ると、2つの側面があります。シルエットという「エッジ・稜線」、そしてシルエット内の「サーフェス・面」です。(ややこしいですが、Mayaでいうコンポーネント名、頂点、エッジ、フェースではなく、見た目としてのエッジとサーフェスです。)



白の輪郭が「エッジ」、中の暗い部分が「サーフェス」にあたります。
この2つは役割が違いますし、最適化の方法が異なります。

シルエットを担当するエッジはパッと見のクオリティに大きな影響を与えます。あまりポリゴンを減らしてしまうとシルエットの形状が変わってしまいます。例えば丸いものがカクカクしてしまうとクオリティが低く見られます。シルエットのリダクションには特に注意が必要です。

一方シルエット内は比較的リダクションしやすいです。極端な話、オブジェクトが動かないならシルエット内はただの板ポリゴンでも問題ないことがあります。



「エッジ」と「サーフェス」はカメラの位置とか、見る場所によって変わりますので、そこら辺も加味してあげる必要があります。

基本的なアプローチとしてエッジはシンプルに、サーフェスは低ポリゴンにして、テクスチャや法線マップで潤沢なディテールを追加します。これはアニメーション映画での手法と同じです。


まとめ

モデリングのポイントとして「シルエット」と「シルエットの内側」についてご紹介しました。

それぞれ「エッジ」「サーフェス」と呼びました。それぞれで最適化の方法や役割が異なります。これがわかると、モデリングがよく出来ているかどうか判断しやすくなります。キャラだけでなく、小物、大物、背景、あらゆるモデルにこの手法が当てはまります。

この方法は絵画でのテクニックでもあります。アートワークは感性で評価しがちですが、実は理論的に見ることも可能です。理論的に見ることで、他の人ともテクニックやアイディアを共有しやすくなりますので、とても大切なことです。


驚くほど超特急な内容のコラムですが、逆にわかりやすくなっていれば幸いです。
次回もモデリングに関わるショートトピックスをお届けします。


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