チュートリアル / Mayaで作るセルルックキャラクター
そこはかとなくアウトローなモデリング方法でセルルックの美女を作ってみた
第3回:2次元キャラクターの「目」を魅力的に表現する為のアプローチ法 前編

2020.04.17

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2次元キャラクターの「目」を魅力的に表現する為のアプローチ法 前編

皆様いかがお過ごしでしょうか。
前回から大きく間隔が空いてしまいましたが、少しでもお役にたてる内容になるよう、引き続き尽力いたしますのでよろしくお願いいたします。

顔面の形状作り

今回は「目」をピックアップして解説していきたいと思います。

前回までのコラムで顔のフォルム作りは、基本的に一枚の平面から作成したため、目は顔と一体のメッシュとなっています。

しかし、このままでは視線の動きを付けることは当然できません。また、一体メッシュであるがゆえに細かな作り込みが足りず面の変化も乏しい状態です。
今回はこの状態から可動させられる構造にするため、どのような作業を行っていくかを解説していきたいと思います。

可動構造にするにあたり、今回は以下の3つの方法で解説したいと思います。

①眼球メッシュによる正攻法
②UVスクロール
③黒目浮遊法

①と②は従来からの一般的な手法です。
③は今回の扉絵のモデルでも使用しているちょっと特殊な方法となります。
③に関しては、実際に手を動かさなくても単純にテクニックとして「理解する」だけで表現の幅が大きく広がるような内容です。ぜひ最後までお付き合いください。

①眼球メッシュによる正攻法

眼球メッシュによる正攻法

ひとまず①の眼球メッシュを用いた正攻法でやってみます。一般的に最もポピュラーな方法かと思います。

まず、黒目+白眼部分を切り出し、それをひな形に眼球メッシュを作成し、はめ込んでみます。

今回使用しているキャラモデルは、テンプレ画像へのフィッティングを優先して作成したこともあり、この時点では眼球の球体をあまり意識せずにモデリングが行われています。このため、目頭、目尻に大きく隙間(緑の部分)が開いているのが解ります。

眼球メッシュのスケーリングや位置調整、まぶた形状の補正(Zの頂点移動のみ)を行い、できるだけ元のモデルの印象を維持するよう気をつけながら調整してみます。

眼球メッシュ構造

補正、調整を行った状態です。

補正、調整を行った状態

ベースモデルと比較して確認してみましょう。元々は直線的なラインのまぶた形状だったのが、眼球の球体に合わせるために意図せず曲線的になっているのが分かります。

また、目頭や目尻も隙間を埋めるためZ方向の後方に大きくスライドさせる必要が生じてしまいました。現実の人間と同じ構造ですので、当然「リアル」といえばリアルなんですが、元々目指した完成イメージからは若干離れてしまいました。

②UVスクロール法

UVスクロール法

続いては②のUVスクロール法です。ノンフォトリアル系キャラクターではかなり一般的な方法だと思います。眼球となる部分を緩い曲率のメッシュで塞ぎ、黒目部分をテクスチャのUVスクロールで表現する方法です。(塗装前のフィギュアの目と言うとイメージしやすいでしょうか。)

目の大きな2Dキャラクターデザインもこの方法だとイメージを損ねることなく目を動かすことが可能なため、ゲームCG等では広く使用されております。
アサインするテクスチャを変更することで、黒目の形状を自由に変化させることができるのも大きなメリットでしょう。


UVスクロール構造

テクスチャのアサインを行った状態です。
① の手法と異なり球体を意識する必要が無いので、元のまぶた形状と完全に同じ形状を維持できます。

テクスチャのアサインを行った状態

ただし、黒目は平面に対するテクスチャのスクロール表現に依存してしまいます。このため、瞳孔の奥行きは表現ができません。
真正面のアングルでは違和感はありませんが、少し角度がつくと瞳孔が飛び出たように見えてしまいます。そのためか視線が両目とも若干定まっていないような感じがします。

ちなみに、デザイン段階で瞳孔が存在しない(黒目が単色、単純なグラデーション等)キャラクターであれば、この手法で全く問題はないかと思います。

①②共に強い表情の変化(目を見開いたり、2次元的なデフォルメの強い表情等)を付けることを考慮すると、これらの方法では調整はかなりシビアになります。①の場合は、基本的に球体の曲面に沿った表情変化が基本になりますし、②の場合は、余白部分のポリゴンをある程度作っておかなければなりません。

いくらデザイン段階で攻めた表現をしても、ここでうまく調整できないと間違いなく当初の完成イメージから離れてしまいます。

③黒目浮遊法

それでは最後に③の黒目浮遊法を紹介いたします。まず、表面となる白眼に該当するポリゴンは作成しません。代わりに空洞の眼窩(※がんか:眼球が収まる頭蓋骨のくぼみ)ポリゴンを用意します。そして、眼窩の内側に白眼のカラーをアサイン、黒目のメッシュだけ浮かせて置いてしまうという方法です。

白眼のポリゴンがなければ形状に制限もかかりません。そもそも2Dイラストで白眼が描かれるケースは少ないでしょう。目が飛び出したようなデザインのキャラでない限り、一般的に描かれている実線は上下まぶたと目頭のラインのみだと思われますので。

ということで、「白眼は単純に色として認識しているだけ」という風に解釈し、3Dに落としこんだのが今回の手法になります。

黒目浮遊法

モデルを3つに分解します。「顔面」「黒目」「上まぶたの落ち影」部分を別オブジェクトにしました。

落ち影は、黒目と重なっている部分のポリゴンを付け足します。もし、デザイン段階で落ち影が存在しない場合は、このメッシュは必要がありません。白眼の一番明るい部分は必要ないため削除してください。

モデルを3つに分解。「顔面」「黒目」「上まぶたの落ち影」部分を別オブジェクトにする。

作成→ポリゴンプリミティブで球体を作成します。
本来の眼球と同じ位のサイズをイメージして頂ければOKです。
軸の分割数は、まぶたのエッジ数と合わせておくと調整が楽です。高さの分割は重要ではないので最低限で構いません。

サンプルでは軸→25 高さ→4としました。片方の地軸側のフェイスを削除します。

黒目浮遊法

開いたエッジ部分の頂点をスナップでまぶたのキワの頂点に合わせます。
球体メッシュを選択し、「メッシュ表示→法線の反転」を実行。
白眼のマテリアルカラーをアサインします。

黒目浮遊法

切り分けていた黒目、落ち影メッシュを表示させて様子を見ます。
黒目上下の不足(まぶたに重なっていて見えない部分)など足りない部分は追加してください。

黒目浮遊構造

各部調整を行った状態のものがこちらです。
ハイライトの切り離し+奥行きや黒目表面の凸部分の表現などを行いました。
※具体的にどのような処理がされているかはサンプルデータでご確認ください。


目線を変えた状態で3つの構造の見え方を比較した画像

視線を変えた状態で3つの構造の見え方を比較した画像です。
黒目浮遊法は白眼メッシュが存在しないため、まぶたの形状は球面による制限を受けません。
直線的な下まぶたのラインや目尻のエッジは、どのアングルからでも正面アングルの印象を維持しているのがお分かり頂けると思います。
浮遊構造は一見特殊に感じられるかもしれませんが、通常の眼球メッシュ同様にジョイント構造による制御が可能です。

浮遊構造の恩恵がもっと解りやすいサンプルのモデル

浮遊構造の恩恵がもっと解りやすい別サンプルのモデルを用意してみました。意図的に3D化にあまり適していない?デザインの目にしてあります。

浮遊構造にすると、まぶたの上下左右の曲率を自由に変えられることに加え、黒目形状の制限もほぼ無くなります。つまり、デザインの自由度が大幅に広がります。
白眼部分が空洞になっていることを生かした表現も模索が出来るのではないでしょうか。

もちろん、元のデザインによっては①の眼球メッシュ、②のUVスクロールのほうが適している場合もあります。そのあたりはケースバイケースで判断を行いましょう。

黒目浮遊法の注意事項は、大きく以下の2点が挙げられます。

・形状制限が緩いが、あまりトリッキーな形状にしない(見る側が立体感を認識できず、不思議な印象を与えてしまう可能性があるため)
・自由度が高い分、まぶたと黒目の干渉に注意が必要

オリジナルデザインを最大限表現するために

3D化に伴う「立体的な不都合、整合性」を解消するために元デザインの持ち味がスポイルされることは常々非常に残念なことだと感じています。

「なってしまった、ならざるを得なかった」ではなく「こうしたい、しなければいけない」という気持ちで取り組むと、デザインの魅力を引き出す新しい発見やアイデアが思いつくのではないでしょうか。

今回紹介した浮遊構造は、以前からそこそこ認知があり使用されている方もいるとは思いますし、実際にゲームやVチューバーのキャラクター等で近しい方法を活用した作品もよく見かけます。なので、当然既にどこかで解説されているかもしれませんが、コラムを読んでいる方には、最近CGを初めた方や学生さん達もたくさんいるとは聞いておりますので、そのような方達に少しでも参考になればと思い紹介させていただきました。

最後に今回のワークフローをムービーにまとめてみました。こちらで御確認ください。


次回の第4回では、目の表現方法の後編+鼻・口の解説を行いたいと思います。
次こそは!煌びやかな絵柄をお届けできるように頑張ります!

今回もコラム内で使用したサンプルデータを配布いたします。各構造による印象の違いなど、モデルデータを通じてじっくりとご確認ください

それでは。

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