チュートリアル / 宋さんの3ds Max キッチンスタジアム
第10回:照明単位
- 3ds Max
- コラム
- チュートリアル
- ライティング
- 中級者
- 建築・製造・広告
- 映画・TV
それでは引き続き照明単位について解説していきましょう。
輝度は物体の輝きを示す単位で、その物体の明るさは物体の照度と反射率で決定します。
物体の面積に密接に関わりますので、「cd/m2」と表記されます。
光度や光束が点からの光の強さを示すのに対して、輝度は物体が放す光の量を示します。ちょっと照度(ルクス)と混同しがちですが、輝度は、視点から見た場合の光の強さです。3DCGで表示される色の情報は、輝度自体をRGBの信号に変換して表示していると考えるとわかりやすいかもしれませんね(実際にPhoneシェーディングではこの考えでRGB値を作成しています)。
輝度値は視点の位置によって大きく変化しますので、照度と異なり設定や管理に注意が必要です。例えば最近一般的になってきた液晶テレビやプラズマテレビなどの広告を見るとわかりやすいかもしれません。
よくテレビのカタログに書かれているにはこんな感じです。
「左右170°から見た場合でも、400cd/m2の明るさを確保しています」
つまり、液晶テレビなどは真正面から見た場合と、横から見た場合で画面の明るさが変化するのでこういった表現になるわけですね。また、テレビの画面の大きさにかかわらず400cd/m2といった表現もされることがあります。つまり同じ値であっても、輝度はその面積によって放出される光のエネルギーが変わるわけです。20インチの液晶テレビも、50インチの液晶テレビも 同じ400cd/m2の輝度の値であれば50インチの方が多く光を放出するわけですね。
では、その光の強さを光度(カンデラ cd)と比較するとどういった比率になるのでしょうか?
輝度自体は視点の位置で値が大きく変わりますが、ここでは輝度値を持つ特定の面の法線方向から見た場合の値を基準にして考えていきます。3DCGでよく使われるだろう発光体や面光源といった使用用途を前提として理解していきましょう。
図 A
実際には、平面ではなく球体から切り出したパッチ面で考えるのが正しいのですが、結果から先に述べますと1m2の板から放出される1cd/m2の光エネルギーと、1m上部に13cdの点光源が配置した場合が同じ光量だということです。
1cd/m2の光とは、半径1mの球体の真ん中に13カンデラの光があった場合とその球体表面の1x1m2の面積から放出される光の量です(図B参照)。なんで13倍なの? というのは単純に半径1mの球体の表面積は13m2になるからですね。
図 B 球体上の1m2のパッチ面はその球体の1/13の面積になります。
少々ややこしくなってきましたが、前回のコラムで「1カンデラは特定方向への球体のステラジアン立体角における測光量として定義されます。」と記載しました。ここまでくると何となくステラジアンの意味がわかってきたかもしれませんね。ステラジアンというのは球体の表面において球体の半径と同じ長さの弧で構成される平方形とその球体の中心との立体角のことをいいます。なので、cd/m2の数値とcdの値を同じ値として設定してしまうと、大きなミスということになります。そもそもcd/m2は面積によって光量が大きく異なりますので、オブジェクトライトなどを設定する場合は、その表面積を十分考慮する必要があります。
ここでも、現実世界のものの値を例にとってだいたいの目安を覚えておくとよいですね。先にも述べましたが発光面の面積に依存しますので、同じ値でも面積が大きくなると光量が上がります。注意してください。
輝度を理解すると「面倒くさい設定だな」と思われるかもしれません。しかし、3ds Maxでmental rayやirayを使ってのシーン設定をする場合、この設定をうまく利用すると、簡単にスタジオライティングなどが設定できます。特にAutodesk MaterialやArchi & Designシェーダには輝度の設定項目がありまので、どんどん活用していきましょう。
Archi & Design Materialの設定画面
Autodesk Materialの設定画面
Autodesk&Materialの自己照明ロールアウトには代表的な発光体のプリセットが登録されています。これらの値を参考にすると設定値を短時間で求めることが出来ると思います。
ライトオブジェクトを一切使わずに、四方に配置した平面オブジェクトのマテリアル設定のみでライティングをしています。
mental rayやV-Rayなどでこういったテクニックを利用することが出来ますが、この例ではmental rayを使っています。各マテリアルにはスタジオライティングのディフューザのように円形グラデーションで発光面をマスクしてあります。シャープなリフレクションが必要な場合はエッジの立ったマスクを用意すればいいだけなので、とても簡単な設定ですみます。
通常のライトオブジェクトは使わずに、マテリアルだけでライティングしますので、任意のライトを最低一つ配置し、その設定を「オフ」にすることをお忘れなく。あとはファイナルギャザーだけでレンダリングします。お試しください。
輝度値はその面積によって光量が変わりますから、設定する際は物体の表面積を正確に把握しておく必要があります。実は昔から3ds Maxに搭載している便利な機能で「計測」機能というものがあります。この機能を使うと、選択したオブジェクトの表面積やシェイプの長さなどを一瞬で割り出すことが出来ます。
「コントロールパネル」 > 「ユーティリティ」タブ > 「計測」
輝度に関しては、照明分析機能を使ってデータを抽出することが出来ます。照明分析では照度値と輝度値を測定できますが、輝度値はカメラの角度によって変化しますので注意してください。
●光束(ルーメン lm)
光束(ルーメン)は光光源から放出される光の量を示します。「lm」と表記します。一般的な照明器具のカタログ表記としてはもっともポピュラーな単位といえるでしょう。また、3DCGでライト強度を設定する場合は、この単位を用いるのが一番簡単かもしれません。
カンデラと混同しがちですが、ルーメンはカンデラとは異なり光源から放出される純粋な光の量を示します。
基本は光源からの全方向への光の量(光子の量)となりますが、照明器具の場合は反射板の影響を示すために配光角を加味した発光効率をカタログに表記している場合があります。こういったケースではルーメン値と配光角度が明記してあるので、その値の扱いには注意が必要です。
お時間があるときにでも、照明器具メーカーさんのホームページなどを見てください。様々な照明器具のスペック表にこのルーメン値が記載されています。とても参考になります。
いくつか代表的な照明器具の目安をあげてみましょう
光の強度単位その2
●輝度(カンデラ毎平方メートル)輝度は物体の輝きを示す単位で、その物体の明るさは物体の照度と反射率で決定します。
物体の面積に密接に関わりますので、「cd/m2」と表記されます。
光度や光束が点からの光の強さを示すのに対して、輝度は物体が放す光の量を示します。ちょっと照度(ルクス)と混同しがちですが、輝度は、視点から見た場合の光の強さです。3DCGで表示される色の情報は、輝度自体をRGBの信号に変換して表示していると考えるとわかりやすいかもしれませんね(実際にPhoneシェーディングではこの考えでRGB値を作成しています)。
輝度値は視点の位置によって大きく変化しますので、照度と異なり設定や管理に注意が必要です。例えば最近一般的になってきた液晶テレビやプラズマテレビなどの広告を見るとわかりやすいかもしれません。
よくテレビのカタログに書かれているにはこんな感じです。
「左右170°から見た場合でも、400cd/m2の明るさを確保しています」
つまり、液晶テレビなどは真正面から見た場合と、横から見た場合で画面の明るさが変化するのでこういった表現になるわけですね。また、テレビの画面の大きさにかかわらず400cd/m2といった表現もされることがあります。つまり同じ値であっても、輝度はその面積によって放出される光のエネルギーが変わるわけです。20インチの液晶テレビも、50インチの液晶テレビも 同じ400cd/m2の輝度の値であれば50インチの方が多く光を放出するわけですね。
では、その光の強さを光度(カンデラ cd)と比較するとどういった比率になるのでしょうか?
輝度自体は視点の位置で値が大きく変わりますが、ここでは輝度値を持つ特定の面の法線方向から見た場合の値を基準にして考えていきます。3DCGでよく使われるだろう発光体や面光源といった使用用途を前提として理解していきましょう。
図 A
実際には、平面ではなく球体から切り出したパッチ面で考えるのが正しいのですが、結果から先に述べますと1m2の板から放出される1cd/m2の光エネルギーと、1m上部に13cdの点光源が配置した場合が同じ光量だということです。
1cd/m2の光とは、半径1mの球体の真ん中に13カンデラの光があった場合とその球体表面の1x1m2の面積から放出される光の量です(図B参照)。なんで13倍なの? というのは単純に半径1mの球体の表面積は13m2になるからですね。
図 B 球体上の1m2のパッチ面はその球体の1/13の面積になります。
少々ややこしくなってきましたが、前回のコラムで「1カンデラは特定方向への球体のステラジアン立体角における測光量として定義されます。」と記載しました。ここまでくると何となくステラジアンの意味がわかってきたかもしれませんね。ステラジアンというのは球体の表面において球体の半径と同じ長さの弧で構成される平方形とその球体の中心との立体角のことをいいます。なので、cd/m2の数値とcdの値を同じ値として設定してしまうと、大きなミスということになります。そもそもcd/m2は面積によって光量が大きく異なりますので、オブジェクトライトなどを設定する場合は、その表面積を十分考慮する必要があります。
ここでも、現実世界のものの値を例にとってだいたいの目安を覚えておくとよいですね。先にも述べましたが発光面の面積に依存しますので、同じ値でも面積が大きくなると光量が上がります。注意してください。
- 液晶テレビ
- 400~1000 cd/m2
- コンピュータ用液晶モニター
- 200~300 cd/m2
輝度を理解すると「面倒くさい設定だな」と思われるかもしれません。しかし、3ds Maxでmental rayやirayを使ってのシーン設定をする場合、この設定をうまく利用すると、簡単にスタジオライティングなどが設定できます。特にAutodesk MaterialやArchi & Designシェーダには輝度の設定項目がありまので、どんどん活用していきましょう。
Archi & Design Materialの設定画面
Autodesk Materialの設定画面
Autodesk&Materialの自己照明ロールアウトには代表的な発光体のプリセットが登録されています。これらの値を参考にすると設定値を短時間で求めることが出来ると思います。
ライトオブジェクトを一切使わずに、四方に配置した平面オブジェクトのマテリアル設定のみでライティングをしています。
mental rayやV-Rayなどでこういったテクニックを利用することが出来ますが、この例ではmental rayを使っています。各マテリアルにはスタジオライティングのディフューザのように円形グラデーションで発光面をマスクしてあります。シャープなリフレクションが必要な場合はエッジの立ったマスクを用意すればいいだけなので、とても簡単な設定ですみます。
通常のライトオブジェクトは使わずに、マテリアルだけでライティングしますので、任意のライトを最低一つ配置し、その設定を「オフ」にすることをお忘れなく。あとはファイナルギャザーだけでレンダリングします。お試しください。
輝度値はその面積によって光量が変わりますから、設定する際は物体の表面積を正確に把握しておく必要があります。実は昔から3ds Maxに搭載している便利な機能で「計測」機能というものがあります。この機能を使うと、選択したオブジェクトの表面積やシェイプの長さなどを一瞬で割り出すことが出来ます。
「コントロールパネル」 > 「ユーティリティ」タブ > 「計測」
輝度に関しては、照明分析機能を使ってデータを抽出することが出来ます。照明分析では照度値と輝度値を測定できますが、輝度値はカメラの角度によって変化しますので注意してください。
●光束(ルーメン lm)
光束(ルーメン)は光光源から放出される光の量を示します。「lm」と表記します。一般的な照明器具のカタログ表記としてはもっともポピュラーな単位といえるでしょう。また、3DCGでライト強度を設定する場合は、この単位を用いるのが一番簡単かもしれません。
カンデラと混同しがちですが、ルーメンはカンデラとは異なり光源から放出される純粋な光の量を示します。
基本は光源からの全方向への光の量(光子の量)となりますが、照明器具の場合は反射板の影響を示すために配光角を加味した発光効率をカタログに表記している場合があります。こういったケースではルーメン値と配光角度が明記してあるので、その値の扱いには注意が必要です。
お時間があるときにでも、照明器具メーカーさんのホームページなどを見てください。様々な照明器具のスペック表にこのルーメン値が記載されています。とても参考になります。
いくつか代表的な照明器具の目安をあげてみましょう
- 住居用小型LEDダウンライト
- 300-500 lm
- 住居用6-9畳向けシーリングライト
- 8000lm 前後
- 60W型電球型蛍光ランプ
- 800 lm前後
- 40W型電球型蛍光ランプ
- 500lm前後
- 1
- 2