チュートリアル / 宋さんの3ds Max キッチンスタジアム
第10回:照明単位

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光の基準

次に、光の強さの基準ってあるのでしょうか?

実は日本工業規格JISで規格化されているのをご存知ですか? 一般的に、各照明設計をされる方や、照明器具メーカーさんなどではこの規格を参考にして様々な照明設計や照明器具の設計をされています。

様々な状況に応じた規格が明記されていますが、規格番号JISZ9110 照明基準総則はとても参考になると思います。閲覧だけであれば無料ですので、一度お読みになるとよいと思います。非常に細かく明記されています。 また、単純に強さ(Lx)だけでなく、色温度についての指標も載っていますので、大変参考になると思います。

日本工業標準調査会
http://www.jisc.go.jp/
上記サイト内の「JIS検索」から検査ページに移り、「JIS検索番号からJISを検索」にZ9110を入力し検索すると、照明基準総則PDFデータを閲覧できます

少々細かすぎて、よくわからないと感じる方は、検索サイトで「JISZ9110」と検索してみてください。様々な団体でこの内容をわかりやすくまとめて公開されているところが多くあります。 光の強度に関しては、基本ルクスで定義されています。前回のコラムで書いたルクスを基準としたライトの設定方法を理解すると非常に簡単で正確な照明ビジュアライゼーションが可能になります。


配光データ



3ds Maxでは以前から配光データファイルを読み込んで利用することが出来ます。この配光データファイルはIESファイルとして扱います。 3ds Maxで配光データを扱うのは至って簡単です。フォトメトリックライトを作成して[ライトの配光(タイプ)]から「フォトメトリックウェブ」を選ぶだけです。 あとは、好みの配光データを選択すれば設定は終わりです。

配光データを用いると、通常のスポットライトやポイントライトでは表現できない美しい光の分配結果をレンダリングイメージで得ることが出来ます。 最新の3ds Maxであれば、ビューポートのリアルタイムシェーディングでその結果を見ることも可能です。

下図の例では通常のスポットライトでのレンダリング結果と配光データを使ったレンダリング結果の差を見ることが出来ます。配光データを使うことによって単なる正確な光の強度だけでなく、そのしょうめい照明器具を使った場合の光の色や照らされる空間の情感までも表現することが出来ます。





照明器具メーカーさんの中ではWEB上から各メーカーで販売している照明器具データをIESファイルとして公開しているところがあります。こういったデータは上図に使わない手はないですね。

しかし、ここからが重要なのですが、各照明器具メーカーさんから公開されている.IESファイルはその全てが3ds Maxや他のAutodesk製品で使用できるわけではありません。 Autodeskが提供しているレンダリングツールで使用できるIESファイルは IES LM-63-1991標準ファイル形式 をサポートしています。残念ながら照明器具メーカーさんでは、各社別々のフォーマットを採用しているケースがあり、Web上で公開されている全てのIESファイルが使えるわけではありません。

また、配光データはその強度分布を測定する範囲によってもTypeBとかTypeCとかに分かれます。AutodeskのツールではTypeC測定のものをサポートしていますので、使用に関しては十分注意してください。 3ds Maxの照明器具データとして公開されている、ERCO社や日本のオーデリック社のデータであれば、そのまま使うことが出来ます。

いかがですか? ライト一つとっても意外と奥が深いですよね。CGのライティング設定をする際に今まで書いてきた全ての要素が必要というわけではありませんが、各パラメータを理解する上で、光そのものの諸知識や単位系などの知識を持っていると、難しかったライティングワークがとても正確になり、また作業効率を上げることが出来ます。

では、次回ですが少し傾向を変えて、mental images 社の最新レンダリングツールである「iray」について述べていこうと思います。

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