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第10回:tyFlowで地形を作成してForest Packを絡めてみよう!後編

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tyFlowで地形を作成してForest Packを絡めてみよう!前編

こんにちは!
株式会社DEFT、代表取締役の子安と申します。

今回は前回の告知通り、tyFlowとForest Packを活用して、シーンを作成していく手順の後編を紹介させて頂ければと思います!

tyFlowの地形作成オペレーターに関しては前回の前編にて細かくお伝えさせて頂きましたので、引き続きForest Pack PROを用いて、樹木などを配置していきます。

と、その前に!Fores Packの魅力に関してお伝えさせて頂きます。

Forest Packは長年愛用しており、昨今においてもCMの実写合成用CGやフルCG案件の背景制作などに多々使用させて頂いております。
メーカーのリンクは下記となります。
https://www.itoosoft.com/forestpack

記事用に作成したムービーとなります。今回はこちらのムービーの作成手順をお伝えして参ります!

今回の使用プラグインはtyFlow FREE v1.131、Forest Pack PRO 9.3.2、V-Ray7 Update2 hotfix1を使用して参ります。

それではまず、Forest Pack PROのベーシックな手順をお伝えさせて頂きます。

-Forest Pack PROの紹介 -

Forest Pack Proの導入方法に関しては割愛させて頂きますが、今回のオペレーションなどをご覧頂き、魅力を感じて頂ければ幸いです。

それでは樹木生成などのプロセスを動画にしてみましたのでご覧ください。

とっても簡単に植樹出来る事がお分かり頂けたと思います!

動画内の手順としては以下の通りとなります。
①ShapeでCircleを配置
②Forest Packのアイコンをクリック
③作成パネルが表示されるのでLibraryをクリック
④ライブラリーから今回はLowモデルを選択し、樹木を選択
⑤Circleを選択
⑥ビューポートに配置される
⑦Circleを拡大して木の植樹エリアを拡げる
⑧木のDensity(密度)を調整する
⑧テストレンダリング

次はランダム感を出すための修正をしていきます。

1つのアセットから簡単にランダム感を表現出来る事が分かるかと思います。

動画内の手順としては以下の通りとなります。

①Densityの数値を変更し、木の密度を変更
②Transform欄に移動
③ScaleのEnableにチェックを入れます。
 デフォルトで80%~120%のランダム値が入っている為、チェックを入れるだけである程度のランダム感が表現出来ます。
④RotationのEnableにチェックを入れます。
 こちらもデフォルトで数値が入っておりますので、チェックを入れるだけで回転のランダム感を表現出来ます。
⑤Densityに戻り密度を変更
⑥Circleを拡げて植樹エリアを拡大
樹木のランダム感や草、その他アセット配置に関しては、以上のような工程である程度のランダム感が表現出来ますので、以降も同じようなプロセスが重要となります。

- tyFlowで地形生成 -

概ね前編にて地形生成の作り方はtyFlowのオペレーターにより、様々なアプローチで狙いの地形が表現出来ることをお伝え出来たかと思います。

それらを踏まえて、冒頭の動画のような地形を作成していきましょう!

地形生成をする前に、重要なポイントがいくつかあります。

キャラクターを広い背景に配置したい場合、キャラクターはUnit set upをcm(センチメートル)で作成している事が多くあると思います。

とはいえ、背景制作はUnit Scaleを大きく設定した方がセットアップしやすい為、初期のセットアップでアプローチが大きく異なります。

今回使用するプラグインの特性を見てみましょう。

・tyFlow Terrain
 デフォルト設定の山並みとディテールにおいてはSystem Unit Setup がkm(キロメートル)推奨っぽい

・キャラクターのアセット
 cm(センチメートル)が多く見受けられる

・建物のアセット
 cm(センチメートル),m(メートル)が多く見受けられる

・Forest Pack Pro
 cm(センチメートル)
 km(キロメートル),m(メートル)をシステム単位設定にしていた場合、Forest Pack Proを配置する際にForest Pack Proのリスケールアラートが出る

このようにプラグイン、各アセットを配置する際の設計を考えなくてはなりません。

今回は最初にcm(センチメートル)でセットアップして、箱庭のような感覚で見え方重視で進めます。

最後はtyFlow側推奨と見られるkm(キロメートル)設定で作成していきます。

システムユニット設定は各プロダクションや個人的な見解やルールの下でご理解頂ければ幸いです。

1.cm(センチメートル)セットアップ

先述通りUnitsetupをcm(センチメートル)で進めていきます。

先述通りUnitsetupをcm(センチメートル)で進めていきます。

シーンにtyFlowを配置します。

シーンにtyFlowを配置します。

tyFlow Editor内にBirth Terrainを配置します。

tyFlow Editor内にBirth Terrainを配置します。

Birth TerrainのSetup UIのResolutionを変更します。

Birth TerrainのSetup UIのResolutionを変更します。

Default値は1024ですが、2048に変更します。

Default値は1024ですが、2048に変更します。

Terrain ScaleのDefault値が250.0cmになっております。

Terrain ScaleのDefault値が250.0cmになっております。

Terrain Scaleを25000.0cm(250Meter)に設定します。

Terrain Scaleを25000.0cm(250Meter)に設定します。

Terrain Noiseオペレーターを追加します。

Terrain Noiseオペレーターを追加します。

Terrain NoiseのDefault値は画像のような設定になっております。

Terrain NoiseのDefault値は画像のような設定になっております。

Strengthを2000.0cm、Scaleを5000.0に変更しております。

Strengthを2000.0cm
Scaleを5000.0
こちらに変更しております。

ビューポート上の設定

ビューポート上はこのようになっております。

25000.0cm(250m)四方の地形が生成され、Terrain NoiseのStrength2000.0cmにより、おおよそ標高2000.0cm(20m)の山並みが表現されております。
※ピンク色のボックスは高さ2000.0cm(20m)のボックスです。

Terrain Erosionオペレーターを追加します。

Terrain Erosionオペレーターを追加します。

Terrain ErosionのDefault値はこのようになっております。

Terrain ErosionのDefault値はこのようになっております。

Erosionを追加した状態ですが、前編のような雨の侵食効果がみられません。

Erosionを追加した状態ですが、前編のような雨の侵食効果がみられません。
これは、tyFlow Terrainのデフォルト設定と、先述しているcm(センチメートル)設定によってデフォルト設定が効果的に出ていない為となります。

サイズに関わるAmountやGravity、Max depthなどを各々数値変更しております。

サイズに関わるAmountやGravity、Max depthなどを各々数値変更しております。

サイズに関わるAmountやGravity、Max depthなどを各々数値変更しております。

侵食らしさが出ました。
このように、キャラクターや背景アセット、Forest Pack Proなどのシステム設定cm(センチメートル)に合わせた形でtyFlow Terrainを作成する場合は、Default設定から大きく逸脱して背景を表現していくことになります。

各数値を調整し初期設定がわからなくなった場合は、画像のように数値のボックスを右クリック→ポップアップウィンドウからSet to Defaultを選択すると初期の設定数値に戻す事が出来ます。

メモ
各数値を調整し初期設定がわからなくなった場合は、画像のように数値のボックスを右クリック→ポップアップウィンドウからSet to Defaultを選択すると初期の設定数値に戻す事が出来ます。

続いて、植樹していきましょう。

tyFlow Meshオペレーターを追加します。

Terrain Meshオペレーターを追加します。

tyFlow MeshオペレーターのSetup UIです。

tyFlow Meshオペレーターを追加すると、CGシーン内にメッシュとして認識する事が出来ます。
Render onlyにチェックを入れると、レンダリングのみメッシュとして取り扱われ、CG内のメッシュとして認識する事が出来ないのでご注意ください。

Forest Packのアイコン

Forest Packのアイコンをクリックします。

Forest PackのSetup UIが表示されます。

作成パネルにForest Packの作成UIが表示されます。
LibraryのSelectをクリックしてください。

Forest PackのLibraryパネルが表示されます。

Library Browserが表示されます。
左のフォルダエクスプローラーの3Dを開いてStarter Libraryを選択すると右に植樹する樹木のアセットが表示されます。

Library Browserの下部にMaterialのスロットがあるので、ここからV-Rayを選択します。

Library Browserの下部にMaterialのスロットがあるので、ここからV-Rayを選択します。

今回は遠景に使用するのでLowを選びます。

今回は遠景に使用するのでLowを選びます。

この状態にして樹木から1つ選びます。

この状態にして樹木から1つ選びます。
今回は「Silver Maple 2」を選択しました。
選択すると右下部に「Load Selected」ボタンが押下出来るようになるので、ボタンをクリックします。
押下すると画面上は変化が起きないのですが、この状態で植樹したいメッシュを選択します。
※冒頭のForest Packの紹介動画をご覧いただければお分かり頂けるかと思います。

画面に変化が現れました!

画面に変化が現れました!

シーンに配置されたForest Packを選択し修正パネルに移動します。

シーンに配置されたForest Packを選択し修正パネルに移動します。
Displayの項目がありますので、Viewportの欄からProxyを選びます。

ビューポート上にピラミッド形状のProxyが配置されます。

ビューポート上にピラミッド形状のProxyが配置されます。

Proxyのタイプも形状を選べますが今回は植樹しているので、木の形に近いPyramidのまま進めて参ります。

Proxyのタイプも形状を選べますが今回は植樹しているので、木の形に近いPyramidのまま進めて参ります。

今回はcm(センチメートル)で設定し、標高20メートルの山並を作成しておりますので、箱庭感覚で樹木のサイズを1/10にしてみましょう。

今回はcm(センチメートル)で設定し、標高20メートルの山並を作成しておりますので、箱庭感覚で樹木のサイズを1/10にしてみましょう。

いい感じのサイズ感になってきたかと思います。

いい感じのサイズ感になってきたかと思います。

一度レンダリングしてみましょう。
V-Rayレンダラーに設定し、V-Ray SunLightを配置します。
Physical Cameraで露出を設定して、レンダリングしてみます。

レンダリング画像です。

レンダリングされましたが、森林の密度感までとは行かないようです。

Forest PackのDensity(密度)を4400cmにしてみました。

Forest PackのDensity(密度)を4400cmにしてみました。

レンダリング画像です。

レンダリングするとこのような結果になりました。
木の密度が出て良い山並みが表現出来ました!

カメラポジションを下げてレンダリングしてみました。

カメラポジションを下げてレンダリングしてみました。
木の近くに寄るとより立体感が増しますね!

今回は多々あるプロジェクトでcm(センチメートル)アセットが多い状況がある前提にて、システムユニットを合わせてセットアップ致しました。

アセットモデルも同様のcm(センチメートル)アセットを読み込み、次のような動画を作ってみました。

弊社で作成していたアセットの五重塔を設置し、遠景は書き割りとなります。

このようにcmのアセットを入れるには、ベースからシステムユニットをcmで構築した方が後々楽になってきます。
キャラクターなどはリグが組まれている事が多い為、スケールを変更しづらい点がありますので、注意しながら進めて行くのがベストかと思います。

とはいえ、各プロダクションごとにローカルルールが多々あるかと思いますので、これが全てではありません。

今回のデータを用意しましたので、ご興味ありましたらダウンロードして確認してみてください。
※書き割りと五重塔は入っておりません。

2.km(キロメートル)セットアップ

cm(センチメートル)セットアップで長い解説にはなってしまいましたが、km(キロメートル)のセットアップはtyFlowのTerrainオペレーターとしてはデフォルトで非常に容易なセットアップとなります。
デメリットとしてはForest Pack自体がcm(センチメートル)アセット前提なので取り込む際に注意が必要です。

システムユニットをkm(キロメートル)に設定します。

システムユニットをkm(キロメートル)に設定します。

tyFlowをシーンに配置し、Birth Terrain→Terrain Noise→Terrain Erosionとオペレーターを入れてみてください。

tyFlowをシーンに配置し、Birth Terrain→Terrain Noise→Terrain Erosionとオペレーターを入れてみてください。
※Terrain DisplayはBirth Terrainを入れた時点で同時にセットアップされます。

もういい感じですよね!
とはいえ、250km四方の山並みとしては標高が40kmぐらいありそうなので、cm(センチメートル)のようなチューニングは必要になってくるかもしれません。
※標高1,000mの山と仮定すると、4km四方の地形であればちょうど良さそうな気もします。

しっかりリアルに作り込みたい方はデフォルト値から各背景や各アセットによってcm(センチメートル)の時のようにチューニングしてみてください。

Terrain Meshオペレーターを追加します。

Terrain Meshオペレーターを追加します。

Forest Packを配置します。
基本的にはcm(センチメートル)の時と同じですが、再掲させて頂きます。

Forest Packのアイコン

Forest Packのアイコンをクリックします。

Forest PackのSetup UIが表示されます。

作成パネルにForest Packの作成UIが表示されます。
LibraryのSelectをクリックしてください。

Forest PackのLibraryパネルが表示されます。

Library Browserが表示されます。
3DからStarter Libraryを選択すると右に植樹する樹木のアセットが表示されます。

Library Browserの下部にMaterialのスロットがあるので、ここからV-Rayを選択します。

Library Browserの下部にMaterialのスロットがあるので、ここからV-Rayを選択します。

今回は遠景に使用するのでLowを選びます。

今回は遠景に使用するのでLowを選びます。

この状態にして樹木から1つ選びます。

この状態にして樹木から1つ選びます。
今回は「Silver Maple 2」を選択します。

選択すると右下部に「Load Selected」ボタンが押下出来るようになるので、ボタンをクリックします。

ここでcm(センチメートル)のフローと異なりXRefオブジェクトとシステムユニットのミスマッチエラーが表示されます。

ここでcm(センチメートル)のフローと異なりXRefオブジェクトとシステムユニットのミスマッチエラーが表示されます。
Rescaleを施さなかった場合、ビューポート上に木が表示されなくなる事がある為、Rescaleにチェックを入れてOKを押します。
アラートウィンドウが閉じてビューポートに戻りますので、ビューポート上でtyFlowの地形メッシュをクリックします。

ここでForest PackのDensity(密度)に関するアラートが表示されます。

次に密度の警告が表示されます。
やはり広大な土地との兼ね合いと各プラグインのデフォルト値のギャップを感じますね...。

Density(密度)のデフォルト設定です。

Density(密度)のデフォルト設定です。

Density(密度)の数値を50kmに変更します。

Density(密度)の数値を50kmに変更します。

Forest PackのProperties内のobject ScaleやGlobal Scaleデフォルト値はこの数値です。

Forest PackのProperties内のobject ScaleやGlobal Scaleデフォルト値はこの数値です。

ObjectのScaleを500% Global Scaleを2000%にしてみました。ようやく木が敷き詰められ視覚的にも視認する事が出来ました。

ObjectのScaleを500%
Global Scaleを2000%にしてみました。
ようやく木が敷き詰められ視覚的にも視認する事が出来ました。

このようなチューニングを経てエディットしていくのは困難に感じます。

Density(密度)を微調整し50kmから43.0kmにします。

Density(密度)を微調整し50kmから43.0kmにします。

TransformのRotation、ScaleのEnableにチェックを入れ、ScaleのMaxには150%を入れました。

TransformのRotation、ScaleのEnableにチェックを入れ、ScaleのMaxには150%を入れました。

Surface欄のAltitude Range(高度範囲)のTop/Bottom Limitedにチェックを入れます。左側(Bottom)に18km、右側(Top)に40kmと入力します。

Surface欄のAltitude Range(高度範囲)のTop/Bottom Limitedにチェックを入れます。
左側(Bottom)に18km、右側(Top)に40kmと入力します。

窪みの部分の植樹が無くなりました。Surfaceは形状に伴った様々な条件付けにより、植樹する範囲をコントロールする事が出来ます。

窪みの部分の植樹が無くなりました。
Surfaceは形状に伴った様々な条件付けにより、植樹する範囲をコントロールする事が出来ます。

湖表現として木が生えていない窪みにプレーンを配置します。

湖表現として木が生えていない窪みにプレーンを配置します。

レンダリング画像です。

Physical Cameraに置き換えて、V-Ray Dome LightにHDRIを入れてレンダリングしてみました。
いい雰囲気になってきましたね!

カメラアニメーションをつけてレンダリングしてみました。

以上の工程のみでこのようなCG背景を作成する事が出来ます!
さらに時間をかけて細かいセッティングをする事で、よりリアルでディテールのある映像が作れるので皆様も試してみてください!

kmのデータもサンプルデータとして公開致します。
※HDRI 地面と湖のテクスチャなどは入っておりません。

次回はForest Pack PROをもう少しだけ掘り下げて紹介させて頂きます!

今回使用した3ds Maxバージョンとプラグイン情報、使用ソフトは以下の通りとなります。
3ds Max 2026.2
28.0-28.2.0.20659
V-Ray7.0 Update2 Hotfix1
tyFlow 1.131
Forest Pack Pro 9.3.2

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