チュートリアル / 3ds Max:プラグイン活用で表現の幅を拡げよう!
第6回:3ds MaxとV-Rayで現実世界のカメラを理解する

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3ds Max:プラグイン活用で表現の幅を拡げよう!

こんにちは!
株式会社DEFT、代表取締役の子安と申します。

- はじめに -

今回は3ds MaxとV-Ray、撮影機材を用いてカメラとCGの関係性を説明する内容となっております。

特に、3ds Maxのカメラ設定をあまり気にした事がない方や、少しでもリアルなカメラを知りたい方向けに極力入門編として記載して参ります。
記載している内容に専門用語などは散りばめておきますので、それらをヒントに検索をしてカメラの奥深さに気づいて頂ければ幸いです。

3ds Maxのバージョンは最新の2026,V-Rayも2026用のV-Ray7を使用して参ります。
3ds Max 2026.1
Renderer V-Ray7,update1

V-Ray 7は30日間のトライアル版もありますので、下記にリンクを貼っておきます。
https://www.chaos.com/jp/free-trial

撮影機材に関して

レンズとカメラ

所有しているNikon Z8やレンズに加えて、かねてから私がお付き合いのあるNikon様から
AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f3.5-4.5E ED
NIKKOR Z 28mm-135mm f/4 PZ
こちらをお借りしました。

こちらのレンズを使用しつつ、RICOH THETA XとRICOH THETA Z1も織り混ぜながら説明して参ります。

それでは早速始めていきましょう!

Stepとしては以下の内容となります。

Step1…撮影
Step2…HDRI環境素材を収録
Step3…撮影素材と3ds Maxのカメラを合わせる
Step4…Lens analysis toolを使用してみよう
Step5…3ds Maxのカラースペース設定とV-Rayのカラースペース
Step6…完成動画

Step1…撮影

撮影ポーズ

撮影した際のカメラスペック(特にセンサーサイズ)や、地面からの高さや使用しているレンズなどをメモしておくと合成のプロセスが格段と楽になります。

屋外撮影

使用カメラ Nikon Z8 , NIKKOR Z 28mm-135mm f/4 PZ

屋内撮影

使用カメラ Nikon Z8 , NIKKOR Z 50mm f1.2 S

今回の利点は何といっても合成素材とHDRI収録機が同じ機材だという事です。
ミラーレスカメラになってこのような組み合わせが出来る事を非常に有り難く感じております。

Step2…HDRI環境素材を収録

Nikon Z8とAF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f3.5-4.5E ED

カメラ : Nikon Z8
レンズ : AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f3.5-4.5E ED
極力レンズの先端を中心に水平に回転する事が望ましいです。

私の収録方法は90度ずつ4方向撮影しております。

ブラケット撮影はシャッタースピードによりますが、9段階の撮影をするのに5秒程度のスピードとなります。

雲の動きなどがありますので、極力スピーディーに収録することをお薦めします。

キーワード:ノーダルポイント、水平機など

NDフィルターとAF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f3.5-4.5E ED

こちらのレンズは後玉にフィルターを挿入出来るので、FUJI FILMのND光量調整用フィルターをカットしました

ヒント
なぜ、NDフィルター(光量を抑えるフィルター)を入れるのか?
晴天の屋外HDRI収録は極力幅広い収録をする事で太陽シミュレーションが可能となります。
特に光量を抑えた撮影は有益であり、影の落ち方に大きく影響をします。

VFXの現場で多く使用されているRICOH THETAですが、残念ながらNDフィルターを装着出来ない為、光量を抑えた撮影には限界が出てきます。

THETA撮影や、現場収録の時間が限られている場合はHDRI編集時に太陽を追加するなどの処理をするのも1つの手ではありますが、今回は違いをご理解頂く為にNDフィルターを入れて撮影を致しました。

NDフィルターを挿入したAF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f3.5-4.5E ED

このようにフィルターを挿入します。

Nikon Z8のブラケット撮影は1シャッターで最大9段階で撮影可能。
光量低めと光量多めで2回に分けて今回は18段階収録。
※撮影中にレンズを外すと撮影ポジションがズレる可能性が出てくるので、NDフィルターは挿入したままで行います。

レンズはF22まで絞り、シャッタースピードは1/32000、ISOは1/100としておきます。
Nikon Z8のブラケット撮影を上記設定にて9段階1.7EVステップで撮影します。

RICOH THETA Z1のブラケット設定画面

RICOH THETA Z1のブラケット設定画面
最大19の露出設定を登録出来るので設定さえ終われば撮影ボタンを押すのみで有難い。
極力広い幅で設定しておくことをお薦めします。

RICOH THETA Xのブラケット設定画面

RICOH THETA Xのマルチブラケット設定画面
最大13の露出設定を登録出来る。

THETA Z1の場合はF5.6 シャッタースピード1/25000、ISO80が光量を最大に落とした収録となります。

RICOH THETA Z1のHDRI収録

RICOH THETA Z1 ISO 100 / シャッタースピード1/25000 f5.6
太陽はまだ光が拡散しており、空の青と雲なども認識出来る暗さです。

RICOH THETA Z1のHDRI収録

RICOH THETA Z1で収録したHDRIにてレンダリングした結果
光量を抑えて収録したもののスペックの限界で太陽シミュレーションがしっかりと行えません。
HDRI編集で太陽を足す、あるいはV-Ray Sunlightと絡めて落ち影を出す工夫が必要です。

Nikon Z8で収録したHDRI

Nikon Z8 ISO/100 シャッタースピード1/32000 F22 (+ND1.2)
太陽の点が見事に小さな白点となって収録されております。

Nikon Z8で収録したHDRIにてレンダリングした結果

Nikon Z8で収録したHDRIにてレンダリングした結果
光量を抑えて収録したため影がしっかり落ちてます。

このように両方日差しの強い環境下にて収録しても、収録する露出の幅によって太陽のシミュレーションと陰の落ち方が変化してしまいます。

今回は良質なライティングが出来る(落ち影もしっかり落ちる)HDRIの基本だけお伝えしたかった為、光量を抑えた収録方法についてクローズアップさせて頂きました。

「HDRIを使用しているけど落ち影が出ない」などの悩みがある方には何かしらのヒントになるかと思います。

HDRIの統合の仕方に関しては、かなりページ数を要しますので今回は割愛させて頂きます。
文献が多数出ているかと思いますので、ご興味ありましたら検索をしてみてください。

キーワード:HDRI制作,EV値,露出,絞り,ブラケット撮影など

屋外と屋内の撮影素材

今回は屋外と屋内2パターンを高画素機ミラーレスカメラNikon Z8と360度専用収録カメラRICOH THETAで撮影しました。

上段 : Nikon Z8 x AF-S Fisheye NIKKOR 8-15mm f3.5-4.5E ED
中段 : RICOH THETA Z1
下段 : RICOH THETA X

Nikon Z8 RICOH THETA Z1 RICOH THETA X
太陽光収録 ⚪︎
画総数 ⚪︎ ⚪︎
撮影オペレーション ⚪︎
スティッチHDR化 ⚪︎ ⚪︎
セットスケール適応度 ⚪︎ ⚪︎
バッテリー ⚪︎ ⚪︎

あくまで個人的感想ではありますが、RICOH THETA Z1はやはり専門機故の利便性はかなり優位性があります。

太陽光収録    = 光量を極限まで抑えて太陽光を収録出来るか?
画素数      = ライティングのみならず、反射や屈折も兼ねた素材としての高解像度か?
撮影オペレーション= 収録時の手間や取り回しは容易か?
スティッチHDR化 = 360度パノラマHDRIを作成する手順の容易さ
セットスケール  = 狭い箇所などの撮影は容易か?
バッテリー    = バッテリーの持ちや交換バッテリーなどバックアップがあるか?

とは言え、シミュレーション精度をよりあげるにはNikon Z8のようにカメラスペックが高い機種に軍配が上がると感じました。

セットスケールが小さな場所で撮影する場合、綺麗な360度HDRIを収録するにはRICOH THETAにかないませんでした。

RICOH THETA XのHDRI収録シーン

RICOH THETAのコンパクトさから、機動性と撮影の容易さにはかなわない。

セットスケールが小さい場所にミラーレス機を置いた場合

セットスケールが小さい場所にミラーレス機を置いた場合、レンズの先端を中心に回転させたいところだが撮影は困難を極める。

合成用途に応じて何が重要か?を前提に機材を取捨選択出来るのが一番ベストだと思っております。

Step3…撮影素材と3ds Maxのカメラを合わせる

現実の撮影機材とCG内のカメラについて簡単に説明させて頂きます。

CG同様、カメラを語り始めるとキリがない分野ですので、ここでは重要なポイントのみを下記に記載致します。

1.センサーサイズ
2.レンズ(mm)
3.F値(絞り)
4.色温度(Tempature)
5.撮影時の高さ、角度

Apple iphone16であれ、映画用の撮影機材であれ、カメラのスペックを把握することは重要な一歩です。
カメラスペックを知ることにより、カメラ固有の得意不得意な分野が見えてきます。

1.センサーサイズ

センサーサイズと記載しておりますが、古くはフィルムカメラから変わらず、どのようなカメラであれ撮像サイズは存在します。
今回の機材はNikon Z8となります。分かりやすい振り幅として他の機材(RED KOMODO-X Z Mount ,FUJIFILM 写ルンです,Apple iPhone16)も記載しておきます。

Nikon Z8 : 35.9×23.9mmサイズCMOSセンサー、フルサイズ/FXフォーマット
RED KOMODO-X Z Mount : 27.03 mm x 14.26 mm
FUJIFILM 写ルンです : 135フィルム(36mm x 24mm)
Apple iPhone 16 : 公式発表なし

センサーサイズの比較

センサーサイズの大きさにより同じ焦点距離のレンズを装着しても画角が異なってきます。

2.レンズ(焦点距離)

Nikon Z8 : マウント(装着)するレンズにより異なります。
RED KOMODO-X Z Mount : マウント(装着)するレンズにより異なります。
FUJIFILM 写ルンです : 32mm
Apple iPhone 16 : 26mm(35mm換算済み)

1のセンサーサイズと2の焦点距離を3ds Max内 VRay PhysicalCameraに反映していきましょう!

V-Ray PhysicalCameraを配置

V-Ray PhysicalCameraを配置し修正モディファイヤを表示します。
Sensor & Lens項目
Film gate(mm)に撮影に使用したセンサーサイズの横幅を入力します。
Focal Length (mm)に装着しているレンズの焦点距離(mm)を入れます。

RED KOMODO-X Z Mountに50mmのレンズをマウントした際の入力例

RED KOMODO-X Z Mountに50mmのレンズをマウントした際の入力例
画角は(見える横の角度)28.44度となります。

Nikon Z8に50mmのレンズをマウントした際の入力例

Nikon Z8に50mmのレンズをマウントした際の入力例
画角は37.203度となります。

同じ焦点距離のレンズをマウントしても、センサーサイズが異なるので画角に大きく影響している事が分かります。

FUJIFILM 写ルンですの入力例

FUJIFILM 写ルンですの入力です。
レンズは交換出来ないので、画角は56.738度の固定となります。
※Nikon Z8にて同じような画角を表現したい際は、35mmのレンズを装着するか、ズームレンズで32mmに合わせて撮影するとほぼ同等の画角が得られます。

さて....Apple iPhone 16ですが公表が無いながら35mm換算値として26mmと記載があるので以下の内容でセットアップします。

Apple iPhone 16の入力例
Apple iPhone 16の入力例

換算後の入力としてはこのようになります。

このまま進めても画角自体は合っていると思われるので、このまま進めても良いはずではありますが、せっかくなので公式ではない情報を元に「焦点距離は5.96mm」らしい、という情報を元にセンサーサイズを求めて行きます。

Apple iPhone 16のセンサーサイズを割り出す

割り出せました!
画角(Field of View)を同じ状態にてFocal lengthを5.96mmにするとセンサーサイズは横8.044mmとなりました。

このように、各センサーサイズとレンズの焦点距離(mm)が密接に絡み、最終的に画角が分かればCG上は特別気にすることは無いのですが、共通言語として「35mm換算??レンズは??センサーサイズは??」と話に上がる現場は多いので覚えておいて損はないかと思います。

こちらはNIKKOR Z 28mm-135mm f/4 PZのズームレンズをモニター出しをしている動画です。
このように焦点距離が伸びる程、画角は狭くなっていきます。
これらはCGのカメラも共通の話となります。

3.F値

絞りの値となり、被写界深度に大きく影響します。

これらはCG上ポスト作業に委ねる事が多いと思いますが、知っておくと今後役立ちます。

各機公表F値
Nikon Z8 : マウント(装着)するレンズと設定により異なります。
RED KOMODO-X Z Mount : マウント(装着)するレンズと設定により異なります。
FUJIFILM 写ルンです : F10
Apple Iphone16 : F1.6

動画内においてはNIKKOR Z 50mm f1.2 Sを使用しております。
絞り解放F1.2~最小絞りF16のレンズとなります。
絞り解放(F1.2)になるとレンズ内の羽は最大まで広がり、光を多く取り込む事となります。
最小絞り(F16)になるとレンズ内の羽は閉まっていき、光を取り込む量が少なくなります。

特徴としては下の画像例となります。

NIKKOR Z 50mm f1.2 S

NIKKOR Z 50mm f1.2 S
めちゃくちゃキワキワなフォーカスですね!

NIKKOR Z 50mm f1.2 SのF1.2で撮影した画像

拡大した画像はこちらです。
カメラの角度にもよりますが、今回は8mmぐらいしかフォーカスが来ておりません。
私はこのピン浅に惚れてこのレンズも購入しました。

NIKKOR Z 50mm f1.2 SのF4.5で撮影した画像

同レンズF4.5で撮影した画像です。
4cm程Focusが来ております。

NIKKOR Z 50mm f1.2 SのF8で撮影した画像

同レンズF8で撮影した画像となります。
5~6cm程フォーカスが来ております。

NIKKOR Z 50mm f1.2 SのF16で撮影した画像

同レンズF16で撮影した画像となります。
だいぶフォーカスが合っている距離が大きくなりました。
これらの数値とチャートを参考にポスト作業で被写界深度調整をする事が多いです。
CGで被写界深度を設定してしまうと、後戻りできなくなる事が多いので避けて通っておりますが、自主制作などの際は大いに活用すると良いかと思われます。

V-Rayの説明ページのリンクを貼っておきます。
https://support.chaos.com/hc/en-us/articles/20369220464657-How-to-enable-and-control-Depth-of-Field-DOF-in-V-Ray-for-3ds-Max

余談ですが、目盛りに使用したテープはIKEAさんで家具購入の際に頂いたテープです。
便利ですね。

キーワード : F値,Fナンバー,被写界深度,DOF,Tストップなど

最小絞りにした際は取り込む光量が少なくなる為、シャッタースピードを長くするか、感度を上げるなどして、光量を上げなくてはなりません。

しかしながら、最小絞りにする事でシャッタースピードを長くし、以下のような撮影表現も可能となります。

シャッタースピードを長くして撮影した画像
シャッタースピードを長くして撮影した画像
シャッタースピードを長くして撮影した画像

キーワード:長時間露光,バルブ撮影,LongExposure

4.色温度(Temperature)

色温度というと難しいかもしれませんので、簡単に説明すると以下の内容となります。

暖色系のライト(タングステン)はオレンジ色に近い色となります。
ろうそくの炎、白熱球など

寒色系のライト(デイライト)は白から青色となります。
蛍光灯、曇天、日中光

VRayPhysicalCameraのColor & Exposure設定

まずVRayPhysicalCameraを配置し、カメラ設定内のColor & Exposureを確認します。
White balanceがデフォルトD65になっているので、Temperatureに変更します。

5500K

Temperatureに5500と入力します。

VRayLightのTemperatureを2600Kに設定

このようにVRayLightを配置し、Temperatureに2600と入力します。

5500Kのカメラで2600Kのライトを当てたレンダリング

レンダリングするとこのような結果になります。
オレンジ色のライティングが行われてます。

2600Kのカメラ設定

カメラのTemperatureを2600Kに設定します。

2600Kのカメラで2600Kのライトを当てたレンダリング

オレンジ色のライトを当てているのに白くライティングされてます!
これがホワイトバランスです。
様々な光源の条件下に合わせてカメラのTemperatureを合わせるとたとえオレンジの光源であっても白くライティングされたように見えるのです。

それではスフィアにカラーを入れてみるとどうでしょう?

2600Kのカメラで2600Kのライトを当てたスフィアレンダリング結果

しっかり色も出ております。
ホワイトバランスがしっかり取れておりスフィアのカラーも再現されております。

5500Kのカメラで2600Kのライトを当てたスフィアレンダリング結果

カメラを5500Kに戻してみました。

逆に暖色のエモさを表現したい場合はオレンジに写るようにカメラのTemperatureを設定してレンダリングします。

このようにホワイトバランスは大きく絵作りに左右しますのでカメラマンなどにホワイトバランスを聞いておくのを忘れないようにしましょう。

キーワード:色温度,Temperature,ケルビン,K

5.撮影時のカメラポジションや角度

基本的には以下の点をメモしておくと良いでしょう。

・カメラの高さ(被写体が机の上などの場合、机の高さも測っておく)
・カメラの向き ティルト、パン、ロールなどを角度計を使用するなど
・被写体までの距離

Step4…Lens analysis toolを使用してみよう

V-RayをインストールするとV-Rayの他にもLens analysis toolがインストールされます。

これは実際のレンズによっては歪みが出てしまう為、レンズの解析を行いレンダリング画像に歪みを反映出来るツールとなります。

Analysis & Print Test Chartの選択

Analysis toolを開いて、上のタブAnalysis > Print Test Chartを選択します。

Grid_VRay.psがダウンロードされますので、.psをpdfに変換しプリントします。

Analysis & Print Test Chartのプリント例

このようなグリッドがダウンロードされますのでこちらをプリントします。

正対し、中心に向けて撮影します。

正対し、中心に向けて撮影します。

Lens analysis toolの使用例

Plofile > New Profile…を選択します。

Add photos…の選択

左下のAdd photos…をクリックします。

撮影した画像が取り込まれて撮影データからFocal Lengthが自動で入力されます。

撮影した画像が取り込まれて撮影データからFocal Lengthが自動で入力されます。

Analyze…ボタンの選択

Analyze…ボタンをクリックします。

計算がうまくいくとFocal Length以外にも計算結果が表示されますが、撮影グリッドなどが鮮明に写っていない場合などはErrorが出てしまいます。

計算がうまくいくとFocal Length以外にも計算結果が表示されますが、撮影グリッドなどが鮮明に写っていない場合などはErrorが出てしまいます。

Analyze Manuallyをクリックします。

Analyze Manuallyをクリックします。

グリッドに沿うように、始点終点を縦横選択すると赤いラインが表示されます。

グリッドに沿うように、始点終点を縦横選択すると赤いラインが表示されます。
※ガタガタだったりしますが気にせず下部のAnalyzeボタンをクリックします。

ああああ

Focal Lengthの横にも数値が入り計算完了となります。

メニューバーからProfile > Save Profile Asを選択し任意で名前をつけて保存します。
拡張子は.vrlensとなります。

VRayPhysicalCameraの配置

3ds Max内でVRay Renderに切り替え、シーンにVRayPhysicalCameraを配置します。

VRayPhysicalCameraのDistortion TypeをLens Fileに変更

Distortion項目からDistortion TypeをQuadraticからLens Fileに変更します。

Lensfileをクリックし、.vrlensデータを選択

Lensfileをクリックし、.vrlensデータを選択します。

50mmレンズの歪みを反映したレンダリング

実際のレンズもグリッドの歪みがほぼ見られなかったため、今回はあまり必要ではありませんでした。

グリッドチャートを撮影した際に歪みがあるレンズデータ

グリッドチャートを撮影した際にこのような歪みがあるレンズデータの場合です。

VRayPhysicalCameraの歪みを反映したレンダリング

レンダリング画像も歪みが出ております。

このように、VRayのカメラでもレンズの歪みを解析し、シミュレーションする事が出来ます。

キーワード:レンズディストーション、歪み、歪曲

Step5…3ds MaxのカラースペースとV-Rayのカラースペース

3ds Maxのカラーマネージメント設定

3ds Maxのカラーマネージメント設定画面です。
Rendering > Color Managementから立ち上げます。

入力するテクスチャの拡張子によって、カラープロファイルを各々設定出来ます。

Rendering Color Spaceの設定をAcesCGにします。
Automatic Display がsRGBになっている事で、画面上はsRGBで表示する事が出来ます。
書き出されるレンダリングはAcesCGのカラープロファイルになっている為、以降のポスト作業がAcesCGで統一されている場合、しっかりAcesCGのフローに合わせる事が出来ます。

V-Rayのカラーマネージメント設定

3ds MaxのカラーマネージメントをセットアップするとV-RayのColor ManagementもAcesCGにセットアップされているのが分かります。
Render Setup画面にてSettingsタブ > Color Managementにて設定を確認出来ます。

VRay BitmapのUI

V-Rayのテクスチャ設定などはVRay Bitmapで行う事が多いです。
Color Space Transfer Function内のTypeがFrom 3ds Maxになっている事を確認します。
この設定にする事で、3ds Max自体のカラーマネージメント設定を継承します。

TypeをNoneにするとテクスチャ単体で個別の入力設定を可能にする事が出来ます。

VRay BitmapのColor Space Transfer FunctionをNoneにし、Inputを個別に設定(AcesCGに設定)した例

Color Space Transfer FunctionをNoneにしInputを個別に設定(AcesCGに設定)した例

これらを管理する事で、全体のテクスチャのカラースペースを一本化し、レンダリング画像に綺麗に反映する事が出来ます。

Color Spaceを整え、AcesCGレンダリング設定(画面上はsRGB変換に設定)したレンダリング画像。

Color Spaceを整え、AcesCGレンダリング設定(画面上はsRGB変換に設定)したレンダリング画像。

左はNikon Z8 x Fisheyeで収録したHDRI画像内のカラーチャートとVFXボール、右はCG内に配置したVFXボールとカラーチャート。

ほぼ一致している事が確認出来ます。

V-RayのDisplay Correction

V-Ray RenderViewの右パネル内、Display CorrectionがsRGBにチェックが入っている場合は、OCIOに変更をした上で、Display DeviceをsRGBに設定する事をお薦めします。
※ディスプレイ上の表示をsRGBに変換しているだけですので、書き出された素材はAcesCGとなります。

キーワード:OCIO,AcesCG,sRGB,カラースペース,色空間

Step6…完成動画

屋外編はこのような動画となります。

屋内編はこのような動画となります。
撮影シーンにあった影がしっかりと計算されております。

今回使用した3ds Maxバージョンとプラグイン情報は以下の通りとなります。
3ds Max 2026.1
28.0-28.1.0.11484
tyFlow 1.128
Renderer V-Ray7,update1

次回はtyDiffusionに触れたいと思います!

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