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第4回:Darko Mitev
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今回の AREA 注目アーティストは、Darko Mitev 氏です!
私たちは、Darko 氏による美しい SF およびファンタジー キャラクターの長年のファンです。ここでは彼の経歴と作品についてお話を伺います。
こんにちは。Darko Mitev、29 歳です。マケドニア出身の CG ゼネラリストで、現在はアイルランドのダブリンに住んでいます。Brown Bag Films でリード キャラクター アーティストを務めています。
3D 業界に入ったきっかけは?
今から 13 年前、アニメ映画「ファイナルファンタジー VII アドベントチルドレン」を観たのが始まりでした。あまりにも魅了され、いろいろな人に話したことを覚えています。
それを聞きつけたコンピューター サイエンスの先生が、Maya 5 の Personal Learning Edition をくれたんです。FF7 はこのプログラムで制作されたんだよと。それを開いたことがきっかけで、今に至るというわけです。
3D 業界での初めての仕事は?
マケドニアにある Fx3X という VFX 会社の仕事でした。当時、その会社は TV アニメ番組を作るためにチームを拡張していて、私は運よくそこに加わることができたのです。
Fx3X に入社したときは、「Holly and Hal Moose」という TV アニメ番組の制作が始まったところで、その後、当時最大手の玩具メーカーだった Build-A-Bear の 90 分のクリスマス特別番組も手掛けました。
作品のインスピレーションはどこから得ていますか?
一番のインスピレーションの源は、素晴らしいストーリーです。映画、ゲーム、本、歌など、ストーリーが魅力的ならメディアは問いません。自分のアートワークでは、たくさんの考えをメッセージやストーリーに込めるようにしています。そのため、たいてい最初にちょっとしたストーリーを書きます。その後で、それがどんな風に見え、どんなスタイルが最適かを思い描きます。
仕事で気に入っているところは?
正直言って、とにかく仕事が大好きです。携わっているプロジェクトで優れたコンセプトやスクリプト ブレイクダウンを渡されたら、音楽をガンガンかけ、周りのことは忘れて制作に没頭するのが本当に楽しいんです。
仕事で何か苦手なことは?
管理業務です。アーティストとして成長し、リードや監督などへと役職が上がると、タスクや人、ものすごい数の会議をうまく管理して、番組のすべてのアセットやスケジュールを把握しなくてはなりません。各パイプラインの重要なステップであり、プロジェクトが日の目を見るには欠かせないことですが、アート制作に費やせる時間が減るので少しストレスに感じています。
お気に入りの映画やTV番組を教えてください。
たくさんありますよ! 短くまとめるならファンタジーとSFが好きなので、映画では「ロード・オブ・ザ・リング」三部作、「ホビット」三部作、「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」、「スター・ウォーズ」全エピソード、アニメ版「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊 インターナショナル・ヴァージョン」、「アップルシード」のすべて、「マトリックス」、「マーベル・シネマティック・ユニバース」です。
TV番組なら「ウィッチャー」、「オルタード・カーボン」シーズン 1 と 2、「カーニバル・ロウ」、「FRINGE/フリンジ」です。
ゲームでは何が好きですか?
これもまた難しい! いくつか選ばないといけないなら、「ウィッチャー 3 ワイルドハント」、「Detroit: Become Human」、「Fallout 3」、「FINAL FANTASY VII REMAKE」ですね。
これまで手掛けたプロジェクトで一番満足しているのは何ですか?
うーん。自分が携わった多くのプロジェクトに満足していますが、一番楽しかったのは「Elvenar」のシネマティクス プロジェクトです。私はドイツの Sehsucht 社のためにエピソード 1 と 2 を担当しました。「Revival」プロジェクトを公開した後に連絡をもらい、そういったスタイルのゲーム シネマティクスを求めていると言われたのです。ファンタジー ジャンルと、シネマティックながらも様式化された外観が好みなので、私はすぐにそのプロジェクトに夢中になりました。
オートデスクのソフトウェアをどのように使用していますか?
主なソフトウェアは Maya で、キャラクターのブロック アウトから小道具や環境のモデリング、UV まで、パイプラインでほぼ何にでも使っています。またメイン レンダラーには Arnold を使用しているので、ライティングやシェーディングは Arnold で行います。テクスチャ ペインティングには Mudbox を使うことがほとんどです。今でも Mudbox が素早く効率的にテクスチャ作業を行える、一番シンプルで簡単なテクスチャ パッケージだと思っています。
これまで受けたアドバイスで一番役に立ったものは?
何年も前、まだジュニア モデラーだった頃、職場の昼休みに業界のシニア アーティストが作成した複雑で詳細なアートワークを見ていました。そして「いつかこんな複雑で素晴らしいアートワークを作りたい」、と独り言を言ったんです。
するとアート ディレクターが私に近づいてきてこう言いました。
「なぜいつかなの? 今日やってみればいいじゃない。やり方を知らないからって、複雑なプロジェクトにチャレンジするのを恐れないで。やっているうちに分かってくるから。慣れ親しんだ安全地帯から抜け出すことで、人は成長するんだよ」
「慣れ親しんだ安全地帯から抜け出すことで、人は成長するんだよ」
次に予定しているプロジェクトは?
昨今の情勢によりオンライン開催となった IFCC Animation Conference での講演向けに、様式化したアートワークに取り組んでいます。とてもハッピーで、エネルギッシュで、カラフルなプロジェクトで、雪の環境にとてもクールなキャラクターが登場します。完成して皆さんに披露できるのを楽しみにしています。
Darko についてもっと知りたいですか?
本社AREAのギャラリーでは、3ds Max、Maya、Maya Creative、Mudboxなどのオートデスクのソフトウェアを使用したCGアーティストの最高の作品を展示しています。このコラムでは、その中の優秀な作品と作家を日本語にてご紹介します。あなたの作品もアップロードして、AREAコミュニティで共有しませんか?
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