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第31回:カメラの構造と特徴を学ぶ カメラの設定が変わると、見る人の気持ちが変わる2

2012.02.10

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こんにちは、パーチ長尾です。

前回から「カメラの構造と特徴」についてお話ししています。

私たちビジュアルクリエイターの仕事は、「人の感情を変化させるビジュアルを作る」ことですが、同じ被写体やシーンでも、カメラの設定が変わるとそのイメージが強化されたり、弱まったりします。 その理由は、人の目と脳が引き起こす現象と、カメラの設定が似ているかどうかにあるような気がします。

今回はこのあたりに関連のある、「レンズの画角とそれが与える印象」について解説していこうと思います。

もし、思ったようなイメージが作れない、心に響く物が作れない、映像に違和感がある、 という悩みを抱えている方がいたら、この後を読み進めてみてください、解決のヒントになるかもしれません。

画角「5つの区分」

前回はレンズの画角はどのようにして決まるのか、その構造について解説しました。これまではカメラ文化の影響で【焦点距離】という単位でレンズを選ぶことが多かったのですが、実は【画角】の方が重要です。そのため、カメラマンは焦点距離と画角を結びつけてイメージしています。

慣れてくれば《○○mm》のレンズは画角《○○度》くらいで、《こんなイメージ》になる、と想像がつくようになります。
また、写真や映画を見れば使われているレンズがわかるようになります。

まずはレンズを次の5つに区分して覚えてください。
・超広角(魚眼など):画角90°〜180°
・広角:画角50°〜90°
・標準:画角50°近辺
・中望遠:画角50°〜20°
・望遠:画角20°〜5°

これらはレンズ選びにとって重要な【画角】をもとに、たくさんのレンズを区分するための用語です。区分は人によって違いがありますが、広く使われている用語で区分してあります。また、3つに区分される場合や4つに区分される場合もあります。
そこで、ここではビジュアル制作実務で利用しやすい区分にしてみました。ほとんどの業務では、【広角】【標準】【中望遠】のみを利用し、特別なシーンにのみ【超広角】【望遠】を利用します。そのためこの区分法で覚えると、実務と結びつけて覚えられるので、有効な利用法が早く身につくと思います。

作りたいイメージが決まったら、そのイメージに最適な【区分】を選んでください。まずは、漠然と5つの区分から選び、その後でより細かく画角(または焦点距離)を調整していきます。


図1「5つの区分」 具体的な角度をイメージしてみてください。

画角によって変化するイメージ

どのようなシーンでどの画角を使うのか? が分かれば、【レンズ使い】は完璧です。
5つの区分がどのような効果を持つのか一つずつ見ていきましょう。

と、その前に、どうして人は画角によって受け取るイメージが変わるのかについて、再確認です。前回【画角50°】は私たち人間がぼんやりしているときの視野だから、画角50°近辺のレンズ(5つの区分の標準に属する)で撮影した画像は、写真でも映画でも「日常生活(心の動揺もなくゆったりと流れる普通の時間)」のような印象を受ける、と解説しましたね。まさに普段から見慣れている見え方のため、心の動きは少なく、ビジュアルとして「つまらない」印象を受けます。

一方で、街を歩いているときに「あっカッコイイ!」とか「あれなんだろう?」とか思って見るとき、人間の視野はぐっと狭くなります。中望遠くらいの画角です。
そこで、ビジュアル作りでも主人公が緊張した際の映像や、少し集中して見てほしいときなどに中望遠を利用することで、よりイメージが強化され伝わりやすくなります。

5つの区分ごとの効果を一覧にしてみました。これを参考に制作を進めると、より効果を高めることができると思います。まずはそのシーンのコンセプトや状況を明確にして、それに合った画角を設定してみてください!


図2「5つの区分ごとの効果一覧表」 画角が与える心理効果と、それに適したシーン。レンズの物理的効果と、それに適したシーンをまとめました。

《標準》の特徴

標準レンズはビジュアルとしてつまらない印象を与えますが、これを逆手にとって利用します。映画などのストーリーがある映像では、ずっと緊張感のあるシーンばかりで構成してはかえってつまらない作品になってしまいます。そこで、ほとんどのシーンを日常的(普通)に描き、これぞという時に緊張感のあるシーンを挟み込みます。こうすることで【対比効果】が生まれ、また映像にメリハリがつき、作品が面白いものになっていきます。
そのため、標準レンズは非常に多くのシーンで使われる、まさに《標準》として利用していきます。

一方で、写真のようにその一枚に全てを込めるような印象的なビジュアル作りでは、《標準レンズ》は嫌われ者です。写真を見て感動してもらう、広告を見て目をとめてもらう、には《感情を揺さぶる》ことは必須だからです。そのため、広角・中望遠を活用することがほとんどになります。

しかし、ここ数年のスローライフ流行りと、力の強すぎる映像に飽きてきたために、最近は好んで利用されています。写真を見た人に「安心する」「ゆったりする」という気持ちになってほしいという狙いには、《標準》画角がぴったりなんですね。

〈 次ページへ続く 〉《超広角》の特徴

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