トレンド&テクノロジー / PERCH長尾の知っ得!デザインビズ必読ポイント!
第31回:カメラの構造と特徴を学ぶ カメラの設定が変わると、見る人の気持ちが変わる2

  • 3ds Max
  • カメラ
  • コラム
  • 中級者
  • 学生・初心者
  • 建築・製造・広告

《超広角》の特徴

《超広角》は、画角90°以上のレンズです。その中でも180°の画角を作り出すレンズは特別に《魚眼》と呼ばれます。
3DCGでは簡単に90°以上の画角を作り出せるために特別な印象はありませんが、実際に利用されるレンズではこれ以上の画角を持つ製品は少なく、その作り出す映像も極度なゆがみや強すぎる印象から滅多に使われることはありません。

そのため、レンズが作り出す強すぎる印象に加え、普段から見慣れない(写真や映画で見ることがほとんど無い)ために、【非現実的】な印象を受ける画角です。 前回のコラムで、私の子供を撮影した作例を載せましたが、ちょっと怖く見えました。皆さんも少し不気味な印象を覚えたんじゃないでしょうか? そのため利用は極力控え、本当に必要なのかを再考すると【おかしい】【CGっぽい】雰囲気を避けることができます。利用は慎重に、ということですね。

私たち人間は【見慣れているかどうか】で物の印象を決める生き物です。そのため、自分の目で見ることができないのはもちろん、写真や映画でも見ることの少ない超広角で撮影された映像は極度な違和感を与えることになります。 これが超広角の最大の心理特徴と言えます!

《広角》の特徴

《広角》は、感情を揺さぶりたいときに利用しやすいレンズです。特に【開放感】を与えたいときに有効です。

また、その物理的な特性から、被写体の背景を広く写し込むことができます。そのため、状況描写に適しています。 主人公がいる場所、その花が咲いている場所、爆発があって周囲が壊れてしまった、などの場面で優れた効果をもたらします。

狭い空間(屋内など)では広角レンズをよく利用します。これはより広い空間を写し込むことができる物理特性に基づいていますが、それは屋外に限らず【状況説明時】に使うと覚えたほうがより良い映像作りにつながります。 例えば、SWATチームが屋内に突入していきます。そのとき彼らは非常に緊張していますので狭い画角で描くことで、見る人に緊張感を与えます。屋内=広角と覚えず、シーンのコンセプトやその景色を見ている人物の心理状態にあわせて画角を変えるようにしましょう。

広角の画角も範囲が広いので、シーンによって何が適しているか、もう少し変化がほしい、というふうに調整してみてください。ただし、超広角まで画角を変えるのは慎重に行ってください。


図3「実写による画角の違い:見る人の意識の違いについて」 中央にある建物を同じ距離から撮影した写真です。「広角」は建物が建っている状況がわかり、「標準」は自然に見た感じで、「中望遠」は建物に集中してみた印象になります。

《中望遠》の特徴

《中望遠》は、感情を揺さぶりたいときに利用しやすいレンズです。特に【緊張感】を与えたいときに有効です。
人間が集中した時、何かを発見した時の視野に近いので、この画角で描かれた映像を見た人は自然に【集中】【発見】を期待します。

かわいい子やカッコイイ人を見つけたとき、スポーツや戦争時などの高い緊張感を表現したいとき、意識を収集して何かに取り組んでいるとき、などに適しています。

中望遠といっても画角の範囲は広いので、色々試してみて、自分の映像作りでどのシーンに適しているか使いこなせるようになってください。


図4「3DCGによる画角の違い:背景が写り込む量について」 3DCG空間上に、被写体と柱を並べ、アングルが同じになるようにカメラを前進/後退させました。 「広角」は柱が5本写りますが被写体のゆがみが大きくなり、「標準」では3本写り、「中望遠」では1本しか写りません。

《望遠》の特徴

《望遠》は、あまり利用されないレンズです。写真等で頻繁に利用される例としては、スポーツや野生動物の写真ですが、どちらも【近づけない】という理由があるものなので、3DCGではあまり関係ないとも言えます。

しかし、私たち人間は自分の視野や、過去に見慣れた映像の《画角》から、その映像がどのようなものかを【期待する】という不思議な特性を持った生き物です。 そのため、スポーツシーンを描く時、野生動物を描く時、望遠鏡やスコープをのぞいているシーンで使うと非常に効果的です。

それ以外のシーンでは、極度な集中を感じる特徴を生かしたシーンや、スピードを感じるシーンに有効です。スピードを出した車に乗っているとき、速度が上がるに従って緊張感も高まり、視野が狭くなるので、そのときを思い出させるのです。

今回は【感情を想起させる映像作り】をより効果的にする《画角選び》に関してでしたが、いかがでしたか。仕事と作品作りの役に立ててもらえたら嬉しいです。
次回も引き続き、カメラの構造と、映像が与える心理についてお話しします。
普段から疑問に思っていることなどがあったら、facebook で教えてください。
facebook  https://www.facebook.com/kensaku.nagao

では、次回もお楽しみに。

製品購入に関するお問い合わせ
オートデスク メディア&エンターテインメント 製品のご購入に関してご連絡を希望される場合は、こちらからお問い合わせください。