株式会社ケイテック 
3ds Maxの活用で拡大し進化していく二輪開発のビジュアライゼーション

株式会社ケイテック 3ds Maxの活用で拡大し進化していく二輪開発のビジュアライゼーション
  • 3ds Max
  • 建築・製造・広告

中村正人氏
株式会社ケイテック
ビジュアル制作
中村正人氏
天辰祐介氏
株式会社ケイテック
ビジュアル企画
天辰祐介氏

日本を代表する重工業メーカー・川崎重工は、陸・海・空から宇宙まで幅広い分野に製品を生み出しているが、中でもなじみ深いのは「Kawasaki」ブランドで知られるオートバイやJet Ski®だ。ケイテックはこの世界的に有名なKawasakiブランドのオートバイをはじめ、多彩な製品のデザイン/開発を支援している川崎グループの関連会社。グループ外にもサービスの提供を行うとあって注目を集めている。そして、そんな同社の特徴の一つである高度なビジュアライゼーション力の中心にあるのがAutodesk® 3ds Max® だ。その導入と活用についてケイテックのお2人に話を聞いた。

3次元モデルデータを3ds Maxで使い回せ

一連の作業は全て川崎重工の開発チームとケイテックのコラボレーション作業
(1)手描きスケッチを起す (2)スケッチを基にクレイモデルを制作 (3)完成したクレイモデルを3Dスキャナでスキャン (4)3Dデータを3次元 CADに取り込み面を貼り3Dモデル化。このモデルデータを3ds Maxにコンバートし加工。一連の作業は全て川崎重工の開発チームとケイテックのコラボレーション作業
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3ds Maxで制作したオートバイの3DCG。下のワークフローで作りあげた3次元モデルを、用途に合わせ3ds Maxでさまざまに加工していく。

「オートバイ、特にKawasakiが得意とする大型の単車は、実用的というより趣味的な色合いが強い乗り物です。性能はもちろん、デザインの重要性が非常に高い。全体の意匠はもちろん、エンジンのメッキ部の造形からさまざまなマテリアルの質感、フレームにエンジンを乗せた時のすき間等、デザイン的にも詳細なこだわりが必要なんです」(中村氏)。

当然、そうした「カッコ良さへのこだわり」はユーザにも共通する。開発段階で徹底したデザイン検証が必要となるのはもちろん、販売促進においてもそれらのこだわりやマシンの機構、仕組みをリアルに表現し、ユーザに伝えていくことが重要になってくるのである。そのため、かつては実機を撮影するなどして対応していたが、現在のモデル開発期間においては、もはや全てを実機で対応することが困難になってきていたのである。

「そこで3次元CADのデータを活かし、3D CGを活用しようと考えました。メカニカルな表現はもともとCGの得意とするところですし、CGでなければできない表現というものもたくさんあります。せっかく1機のバイクがパソコンの中にできあがっているのですから、使いきらなければもったいないですよね」(天辰氏)。

こうして天辰氏らは3D CGの導入検討を開始する。販売会社やWebからさまざまな製品の情報を集め、展示会で使い勝手を比較し、最終的に選んだのが 3ds Max だったのである。

「選定ポイントは、使い勝手や機能はもちろん、当社の3次元CADとのデータ互換性の高さ。実は当時、別部門でWeb3D用に3ds Maxを使っており、データコンバートや使い勝手についても、最初から大きな安心感があったんです」(天辰氏)。

3ds Maxの幅広い活用を軸に新市場を開拓

コンバーターを介して、3次元CADデータを3ds Maxへインポートする。画像は3ds Maxの取り込み精度の設定画面。
コンバーターを介して、3次元CADデータを3ds Maxへインポートする。画像は3ds Maxの取り込み精度の設定画面。
3ds Maxで精緻に再現したモーターサイクルのエンジン・フレーム周りのビジュアルの検討。最新の3ds Max9と64ビット機の導入により、400万ポリゴン以上のデータもスムーズに扱える
3ds Maxで精緻に再現したモーターサイクルのエンジン・フレーム周りのビジュアルの検討。最新の3ds Max9と64ビット機の導入により、400万ポリゴン以上のデータもスムーズに扱える

こうした経緯を経て、2003年、天辰氏らは3ds Maxを導入し、いよいよ3D CGの本格的な活用を開始した。まず社内で人気を呼んだのは、新しい機構説明のため、社内や販売会社向けの技術紹介資料で使うデザイン・ビジュアライゼーションだった。もともとKawasaki製品の販促活動では多量の技術資料が使われており、3ds Maxがそこで大いに活用されたのだ。しかし、アニメーションを含む3ds Maxの多彩な表現能力から生みだされるハイクオリティなビジュアルイメージは、その高い評価と共に技術資料という枠を飛び越え、さらに様々なシーンで活躍するようになっていった。

「バイクのエクステリアには意匠部品と多くの機能部品が混在しています。たとえばオイルフィルターやブレーキペダルまでもが、エクステリアを形成しています。つまり、数多くのマテリアルでひとつのデザインが成り立っているわけで、ボルトの表面処理の違いだけで大きくイメージが変わったりもします。
そのためエクステリアとして、表面処理でネガティブに解決する部品、ポジティブに解決する部品をCGでしっかり検討していく必要がありました」(中村氏)。

世界市場を目指すハイクオリティな販促活動

米国で人気のUTILITY VHEICLESにVエンジンを搭載した新製品販促用CG。実車撮影では困難なシチュエーションでVエンジンの迫力を強調している。
米国で人気のUTILITY VHEICLESにVエンジンを搭載した新製品販促用CG。実車撮影では困難なシチュエーションでVエンジンの迫力を強調している。

このような強いこだわりで作りあげるKawasaki製品だけに、その販促活動においても一段と高いレベルのビジュアライゼーションが求められる。当然、ここでも3ds Maxの役割は大きく広がっている。

「Kawasaki の二輪の販促では、形状、質感とも徹底して高品質なビジュアライゼーションが求められます。Kawasakiユーザが販促のビジュアライゼーションに求めるクオリティはそれほど高いということですね。そして、3ds Maxはそのニーズに、高度なフォトリアル表現で応えてくれました」(天辰氏)。

世界的なブランドであるKawasakiの二輪車は、日本もさることながら、欧米を中心とする海外での人気が非常に高く、その人気に応えるペースでモデルチェンジされる。しかも、地域によりカラーリングやグラフィック等も変える必要があり、バリエーションは数えきれない。この膨大なデザインワーク、検証作業、販促活動の効率化と品質向上において、3ds Maxのビジュアライゼーション機能が果たした役割は想像以上に大きいと言える。

他分野へ、そしてグループ外への挑戦

二輪を通じて蓄積したデザインノウハウと、3ds Maxによるビジュアライゼーション力を合わせ持つユニークなクリエイティブ集団。そんな評価を確固たるものとしたケイテックは、グループ各社の多種多彩なニーズに応え、航空宇宙、船舶、鉄道車輌、その他産業機械などへも展開。豊富な実績とノウハウを蓄積し、いまやグループ外へも進出を果たした。

「最近は二輪以外の分野でも企画段階から3D CGでプレゼン資料を作るなど、初期段階のCG需要が拡大しています。特に構造や動きを見せるムービーの仕事も増えていますね。私たちにとっても3ds Maxにとっても得意分野ですし、積極的に挑戦しています」(中村氏)。

その意味で、大きな課題となっているのが3D人体モデルの研究だ。当然ながら二輪の販促でも走行シーンのニーズは非常に大きい。しかしリアルな動きをするバイクには、必ずリアルなライダーが必要になってくる。

「2輪走行時の複雑で精緻な人体の挙動を、3ds Maxでいかに精密に再現するか・・・・・・私たちもモーションキャプチャーを試したり、映像分野の専門家に取材するなどして研究を進めています。リアルな質感でリアルな動きをする人体モデルは他分野のムービーにも応用できますし、ぜひ実現したいですね!」(天辰氏)。

株式会社ケイテック
設立:1990年5月1日
取締役社長:繁治 登
資本金:8,000万円
事業概要:

・製品/販促企画
・プロダクトデザイン
・グラフィックデザイン
・ウェブデザイン
・ITソリューション
・Ondemand Printing
本社所在地:〒655-0024
神戸市中央区海岸通8番神港ビルヂング1F
TEL:(078)322-1038 FAX:(078)322-1037
URL:http://www.ktec-kobe.co.jp/

導入製品/ソリューション Autodesk 3ds Max
導入目的 ・二輪車の3次元CADデータを活用したビジュアライゼーションの展開
・二輪車を中心とするデザインワークの効率化
・3D CGを活用した営業品目の拡大
・3D CGを活用した新規マーケットの開拓
導入効果 ・より短納期/高品質な二輪車デザインの制作フローの確立
・複雑多岐なマテリアルを組み合わせた質感チェック、細部に渡る詳細なデザイン検証を高度化&効率化
・ワールドワイドな市場において、各地のコアユーザへ的確にアピールする高品位ビジュアライゼーションを確立
・グループ内外の二輪以外の幅広い分野にアピールし新市場開拓を実現
今後の展開 ・グループ外の新規マーケット開拓のさらなる推進
・3ds Maxによるリアル人体モデルの開発と、これを活かしたアニメーション制作体制の強化
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