「『共感』を漫画に求めていない」浅野いにおの頭の中
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こんにちは! ライターのカツセマサヒコ(@katsuse_m)です。
突然ですが、みなさんのオススメ漫画って何ですか?
「セレクトが偏ってる」って怒られそうなんですが、全て独断と偏見で挙げたオススメ漫画なので許してください。「だったらこれも読め!」とかそういう情報、どんどん知りたい次第です。
でも、そんな星の数ほどある漫画の中でも、皆さんに圧倒的にオススメしたい作品があるので、ひとつ聞いてもらっていいですか?
いきますよ? せーの、
『ソラニン』。
いや、めちゃくちゃ有名じゃねーかって。知ってますよそんなの。宮﨑あおい主演で映画化されてから知った「後発組」なのも認めますよ。なんなら僕が「宮﨑あおいファンだから見に行っただけ」っていう漫画ファンに怒られそうなきっかけなのももちろん認めますって。
でもね! 23歳当時の僕が! 『ソラニン』で種田と芽衣子に出会ってしまって! 浅野いにお作品の単行本全て読み返したことは! もう! 誰にも否定しようのない! 社会人の! 青春の! 始まりと! 終わりだったんですよ!!!!
と、日頃からTwitterや原稿上で騒ぎ散らかしていた僕なのですが、なんと今回、そんな僕の元にライター仲間の塩谷さんから依頼がありまして......
『ソラニン』の作者である浅野いにお先生に、会いに行くことになりましたー!!! やったー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
なんでも浅野先生は作画の際に「3DCG」なるハイテク技術を使いこなしてるらしく、今回は3DCGソフトを作っているAutodeskさんの提供によって、取材が実現したそうです! Autodeskさん、大好き!!
「3DCG」についてはよくわからんけれど、圧倒的に浅野先生と恋バナがしたいし、大好きな『ソラニン』の芽衣子さんがどうしてあんなに可愛いか聞きたいし、最近のSNSとかツイッターとかクリエイターについてどう思うかも聞きたいし、今後の漫画業界のことも教えて欲しいし、ほかにも聞きたいことメッチャクチャあるから、とりあえず会いに行ってついでに「3DCG」のことも教えてもらうことにします!! 楽しみだーーッ!!!
と、いうことで個人的な熱意と愛でお届けする当記事。あまりにも長すぎるので、気になる項目だけ読んでもらっても構いません! でも、最後にスペシャルすぎる読者プレゼントあるので、そこは見逃さないようにしてください! それでは、いきまーーすっ!!!
【目次】
・第1章 浅野先生は『ソラニン』の芽衣子さんみたいな女性と付き合っていたんですか?
・第2章 インターネットのクリエイターって、どうしたら生き残れると思いますか??
・最終章 CG使って絵を作るって、なんでそんなことをわざわざするんですか???
(↑気になる箇所がある人は、目次をクリックすれば該当箇所にジャンプします!!)
浅野いにお(あさの・いにお)先生
1980年生まれ、茨城県出身。2002年の連載デビュー作『素晴らしい世界』で注目され、2005年の『ソラニン』は映画化もされた大ヒット作に。その後も『おやすみプンプン』(通称:プンプン)などのヒットにより、同時代の若者を中心にカリスマ的な人気を博す。現在は『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』(通称:デデデデ)、『ビッグコミックスペリオール』(小学館)にて『零落』を連載中。
【第1章】浅野先生は『ソラニン』の芽衣子さんみたいな女性と付き合っていたんですか?
――今日はお会いできて、本当にうれしいです! 僕のバイブル、『ソラニン』なんですよ。めちゃくちゃ読んでます。
ありがとうございます。
――台詞やキャラクター、ストーリーもそうですけど、なにより空気感が絶妙で。浅野先生、どんな人生を送って、あの作品を作ったんだろう? って気になっていたんです。
僕は『ソラニン』を描くまで短編作品しか作ったことがなかったので、『ソラニン』が決まったとき、とにかく"初めての連載で自分がどれくらいのことをできるか"っていうことだけを考えていました。お金もないからアシスタントも雇えないし、その中での連載って、1~2巻が限界じゃないかと思っていたので。
――かなり現実的な考え方をされていたんですね。
ストーリーに関しても、大掛かりな取材をする余裕もないから、なるべく自分の環境に近い話をやらざるを得ない状況でした。それが結果として、当時の彼女であるとか、周りの友人や環境を反映したものになっていったんですよ。年齢も、当時の僕は種田とほぼ同い年でしたし。
――じゃあ浅野先生は当時、芽衣子さんみたいな人と付き合っていたってことですか!?
僕は種田ほど彼女に依存していたわけではないんですけどね(笑)。でもモチーフとなった人はいます。
――うらやましすぎる。
――『ソラニン』は社会人2、3年目ならではのモヤモヤ感、閉鎖感の描き方が最高だなと思っていたんですが、あれは浅野先生自身の気持ちがトレースされていたのもあるんですね。
僕も当時、漫画家として単行本は出せたものの、軌道に乗ったとは言いづらい状態で。当時付き合いのあった人間はみんな学生時代の友人なんですけど、大学卒業後、みんな"先の見えないクリエイター"みたいな状態だったんで、毎日楽しくもあったんですけど、不安にも囲まれていたんです。その空気をそのまま描いていました。
\(ソラニン未読の方、ここからネタバレ入ります)/
――主人公の種田が死んでしまうシーンも、初めから決めていたことなんですか?
はい、そこが物語のピークになるように考えていました。「新人漫画家だし、主人公を殺すくらいのことしないとダメだなあ」っていう気持ちがあったんです(笑)
――サラっと言ってますけど、結構なトンデモ発言ですよそれ。
そうですね。売れたい一心だったので。でも、当時連載していた『週刊ヤングサンデー』の編集長が、かつて『タッチ』の担当編集だった人で。
――あれ、『タッチ』も超重要人物であるカッちゃんが死んで......?
そう。だから種田が死んだとき、編集長から怒られたんですよ。「主人公を殺すことが、いかに大変かわかってるのか!? タッチのときにはクレームの電話が鳴り止まなかったんだぞ......!」って。
とはいえ、もう描いちゃった後だったので「しょうがないけども、死んだ後の再開1話目はなるべく明るい感じで始まってほしい」とか「葬式のシーンとかやめよう」って提案されたのは、今でも覚えています。
――漫画の歴史が詰まりまくったエピソードじゃないですか......。震えますよそれ......。
*上記価格は年間契約の場合の1ヶ月あたりのオートデスク希望小売価格(税込)です。