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「『共感』を漫画に求めていない」浅野いにおの頭の中

「『共感』を漫画に求めていない」浅野いにおの頭の中

2017.07.28

  • 3ds Max
  • マンガ

(最終章)CG使って絵を作るって、なんでそんなことをわざわざするんですか???

インタビュー中

――さきほど「CGなどのテクノロジーで可能性は広げていく」とおっしゃってましたが、そのお話も聞かせてください。浅野先生の作品はとくに『おやすみプンプン』以降、背景含めて描写がめちゃくちゃ細かくなったと思うんですけど、これは例の「3DCG」が関係しているんですか?

『ソラニン』までの僕は、キャラクターよりも物語に注目されることが多くて。僕自身、作画はそんなに得意じゃなかったんですけど、『プンプン』では背景や作画に関して一切妥協せずにやろうと決めたんです。

『おやすみプンプン』1巻より ©浅野いにお/小学館・ヤングサンデーコミックス

『おやすみプンプン』1巻より ©浅野いにお/小学館・ヤングサンデーコミックス

――プンプンって週刊連載ですよね? 毎週この緻密さで描かれて、よく6年半も続けられましたね......。

そう。「背景や作画を妥協せず連載を続けるためには、どこを削れるか?」ってことは僕もずっと考えていて。その結果出た答えが、「主人公のデザインを削る」というものだったんですよね。

『おやすみプンプン』1巻より ©浅野いにお/小学館・ヤングサンデーコミックス

『おやすみプンプン』1巻より ©浅野いにお/小学館・ヤングサンデーコミックス

――そこ!(笑) じゃあプンプンは、消去法で生まれたアイデアだったんですか? もっとこう、「読者が主人公に自己投影しやすいようにシンプルな形にした」とか、そういうカッコいい製作秘話はなく!?(笑)

主人公を5秒で描ければ、他の部分に時間をかけられるじゃないですか(笑)。自分のやりたいことが、それで合致したんです。

――なんか......天才というか......ただブっとんでるというか......。

実際、物語が折り返す頃には頭の中でエンディングまで描けていたので、『プンプン』は後半になるとほとんど作画に集中していました。デジタルとアナログを併用した描き方を考え始めたのも、その時期からです。

デジタルで作画している部屋は別室なので、見に行きますか?

――是非!!

こちらが、CGを制作する部屋。メインの職場よりもコンパクトだが、めちゃくちゃ集中できそうな空間!

こちらが、CGを制作する部屋。メインの職場よりもコンパクトだが、めちゃくちゃ集中できそうな空間!

ここが、CGなどを描いている部屋ですね。

――あれっ......!?

――あのカエルは......!!!!!!!!!!?

『ソラニン』の薬局前にいたやつ

ーーうわーーー! 『ソラニン』の薬局前にいたやつーーーーー!! 本物だーーーー!!!!! 

『ソラニン』1巻より ©浅野いにお/小学館・ヤングサンデーコミックス

『ソラニン』1巻より ©浅野いにお/小学館・ヤングサンデーコミックス

ああ、そうです。『ソラニン』の映画で使ったあと、いただいたんです(笑)。

――テンション上がる! ちょっと! 帰りに記念写真撮っていいですか!?

はい、どうぞ(笑)。

興奮する僕をよそに、CG作画について話を始める浅野先生。

興奮する僕をよそに、CG作画について話を始める浅野先生。

――いやーすごい。さっきからテンション上がりっぱなしですみません。で、そもそもなんですけど、「3DCG」ってどんなことができるんですか?

3DCGは「3次元コンピュータグラフィックス」のことですね。漫画はもちろん平面なので普通は「2次元」なのですが、僕は「3次元で作図」をしてから「2次元」に落とし込んでいます。

――え、なんでですか......? 平面で良いのに、わざわざ立体を作るって、メチャクチャ手間に感じるんですけど......。

少し遡るんですけど、僕はデジタルで書き始めるまで、背景には写真を使っていたんです。その理由のひとつに、アシスタントに背景のパースまで任せると、絶対に自分の思い通りの画にはならないということがあって。

――なるほど? 浅野先生は、完璧主義なところがありますよね。

単純に、人に任せるのが苦手っていうのもあると思います。写真の構図が完璧なら、あとはアシスタントに任せられる。

ただ、そのためには毎週写真を撮りに行く必要があったんですけど、それも途中から追いつかなくなっちゃって。取り逃がしたカットが出てきたり、いざ書こうとしたら「この建物の裏側がない!」と気づいたりして。

――描く前からコマの全てがイメージできるわけじゃないですもんね。

そこで、いっそのこと3DCGで最初からすべて作っておけば、いつでもどのアングルからでもその背景を見ることができるという発想になったんです(画面で3DCGで描いた建物をグリグリと動かしながら)。

――遠回りなのか近道なのか、かなりギリギリのラインに感じるのですが......。

どっちが効率的かっていうと、微妙なところですよね。ただ、それによって僕は安心感を得られたんです。

浅野先生が実際に作った宇宙船のCGを、写真と合成させている。宇宙船の元画像はヤカン。

浅野先生が実際に作った宇宙船のCGを、写真と合成させている。宇宙船の元画像はヤカン。

CGを使うようになったのは1年半くらい前で、ちょうど1年くらい前から「3DS MAX」っていうソフトを使うようになりました。

――たった1年で習得できるものなんですか? そもそも『GANTZ』の奥浩哉先生とか、CGを駆使される漫画家としてかなり有名だと思うんですけど、あそこまでCGを駆使するとなると、通常の「漫画家とアシスタント」っていう構成だと追いつかないような印象があるんですが......。

そうですね。でも、僕はできるだけアシスタントを増やしたくなかったし、自分でもCGを使えるようになりたいし、なるべく自分で作品を管理したいっていうのがあったので、僕と現状のアシスタントだけで、ゼロから勉強する方法を選びました。

――じゃあ、ほぼ独学で......?

最初は教本を買ってそれを1ページ目から読んでいたんですけど、なかなか実践まで至らなくて、そこでAutodeskさんに紹介してもらった株式会社Tooさんの3ds Maxのトレーニングに通って、勉強させてもらったんです。

――めちゃくちゃ勤勉じゃないですか。

うちのアシスタントも僕もみんなゲームが好きだったし、CGという分野に興味・関心は強かったせいか、そこからの上達は早かったですね。でもまだまだ、初心者です。

大きい宇宙船がぶつかって墜落するシーンを描きたくて試しに作ってみた

これとか、大きい宇宙船がぶつかって墜落するシーンを描きたくて試しに作ってみたんですが、従来のやり方で描くのだったら、まずこの構図を写真で撮れる高いところを探さなきゃいけないんですね。

――この構図なんて、ヘリコプターとかじゃないと無理なんじゃ......。

そうそう。『アイアムアヒーロー』の花沢健吾さんは、小田原から東京に移動するシーンを描くために、実際にヘリコプターを飛ばしてその画を撮影したこともあるそうなんですけど、僕はそこまで予算もかけられなかったし、CGで作ることができれば、少なくともその手間は省けると思ったんです。

――話が壮大すぎる。

CGは1回作ったら何回でも使えるし、レイアウトを変えれば別モノにもできるじゃないですか。蓄積がモノをいうので、そこはありがたかったですね。

『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション(通称:デデデデ)』の「侵略者」も、一部はCGで作られている。

『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』の「侵略者」も、一部はCGで作られている。

――浅野先生は近い将来、CGで街一個くらい作っている気がします。

目標はそれですね。全部自分たちで作れちゃえば、その中でいくらでもストーリーができるので。でも、今回のCGだって、実際に出てきたページ数はたった5、6ページなんです。せっかく作ったから、1話くらいそれでやりたかったんですけどね。

――普通はこれだけ頑張って作ったら、このシーンで2巻3巻やろうって思うのが作り手のエゴだと思うんですけど、たったの5、6ページ! そこを監督視点、ディレクター視点で見られるから恐ろしいです......。

単純にモノづくりが面白いんですよ。他の人がまだやってないものっていうのは、何をやっても新鮮なものが出てくるので。

特にCGに関しては、使っている漫画家人口が少ないから、「CGありきでできる話」っていうのはまだ手を付けられてない分野なんですね。だから、何をやっても新しいものが生まれてくる。漫画の可能性を広げてくれる意味での面白さも、かなりあります。

――テクノロジーによって漫画自体に新たな可能性が見えているっていうのは、夢があっていいですね。まだまだ進化しそうな気配を感じられて、正直驚きました。ありがとうございました!!

おわりに

浅野先生の仕事部屋

浅野先生の話を聞いていて一番感じたのは、プロとして食べていくために、一切の妥協を許さない姿勢。

アシスタントはほぼ立てず、自分で把握できる範囲のことしか周りに頼まない。効率面よりもクオリティを上げるためにCGを駆使し、作画の可能性を模索しつつ、グッズ販売などにもできるだけ協力することでブランドを維持する。

クリエイターからマーケター、プランナー、マネージャーまでひとりでこなすその姿は、漫画家だけでなく、モノづくりに関わる全ての人間を驚愕させるのではないかと思いました。

そして何より、このインタビュー全編を通して、浅野先生がちょっとかなりすごく引いてる様子を見て、やっぱり僕は浅野作品がかなり好きなのだと改めて実感。『ソラニン』の芽衣子、『プンプン』の翠、『デデデデ』の門出、みんなめちゃくちゃいいキャラしてるじゃないですか。最高じゃないですか!

浅野先生の仕事部屋

ということで、今回は特別に、『デデデデ』のダブル主人公・小山門出(こやま かどで)と中川凰蘭(なががわ おうらん)、オマケにイソベやんまで加えた当記事限定サイン付きイラストを、読者プレゼントとすることにしましたー!!!!!!!!!! やったー!!!! 僕がほしかったーーー!!!!!!!!(涙)

こちらが制作過程の動画ですッ! 

「原画そのままプレゼントって、ほとんどしたことないかも」と浅野先生も仰っていたので、激レア確定! ぜひ応募して、このサイン付き原画をゲットしてくださいーーー!!

【応募方法】
この記事1ページ目のURL(https://area.autodesk.jp/case/comic/asano/)とハッシュタグ #3dsmax を付けて、Twitterにツイートした方の中から抽選で1名様に、プレゼントさせていただきます。受付期間は8月7日24:00までです。
※鍵付きアカウントでのツイートは無効となりますのでご注意ください。
※当選結果は、当選者にのみ@autodesk_me_jpよりご連絡をさせていただきます。

以上、最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!
皆さんと漫画の未来が、明るいものでありますようにーーーーッ!!!!