アニメ Animation
「正解するカド」 Ⓒ東映アニメーション/木下グループ/東映
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アニメーションの制作工程(ワークフロー)

Posted: 2017.09.14

以下の表は、一般的なアニメーション制作の工程を簡略化したものです。アニメーション制作のスタジオによって、工程の数が違ったり、その前後の関係も変わったりしますが、概ねどの作品制作にも共通している部分を記しています。

アニメーション制作のワークフロー
アニメーション制作のワークフロー

アニメーション作品を作る際は、大きな3つの大枠があります。「プリプロダクション」、「プロダクション」と「ポストプロダクション」。今回はプリプロダクションとプロダクションの主な工程を紹介します。

プリプロ (プリプロダクション)

作品の準備段階に当たります。企画書をもとに、脚本・絵コンテ・設定を整え、アニメーショ制作に必要な材料を準備します。では、簡単に説明しますね。

企画

なにをどう作りたいのかを文書にまとめたもの。この作品を作ることによって、何を達成したいのか。作品のテーマは何なのか。どんなキャラクターを登場させて、どこで何をさせるという、簡単なストーリー展開の説明。ターゲットのお客さんは誰なのか、どういう形式とメディアでそのお客さんに見せるのか。公開後の展開を想定しているかどうか(例:グッズの販売などのキャラクタービジネスも視野に入れている)。等々。要は、「こんな作品を作りたい」を説明している文書です。

作品のテーマを決める

作品のテーマはコンセプトと共に一番最初に決めておくべきポイントですが、この作品のテーマは一体何なのか?すごく簡単に言うとしたら、「何を作りたいのか」「この作品で何を描きたいのか」「どんなお話を語りたいのか」という根本的なを内容を示すものです。

主題であるテーマは、その作品のタイトルを通してお客さんに一番ダイレクトに伝わりやすいかも知れません。どんな内容を扱うかによって、どの様な見せ方を選ぶのかを考えていくべきですが、本編の流れからも作品のテーマがお客さんにしっかりと伝わるように、まずはスタッフ全体で作品のテーマとコンセプトの理解を共有しておくことが最も大事です。

コンセプトを決める

コンセプトは、選んだ作品のテーマをどのような切り口で語るかが根底にあり、作品を作るに当たって基盤となる概念です。作品を作るためには、まずは「何を作りたいのか」というものがベースにありますが、「何故それを作りたいのか」という『動機』もある筈です。それを踏まえて、「何のためにその作品を作るのか」という『目的』を決めるのことが必要不可欠です。

例えば、テーマとして「少年ブリブリくんが色んなお仕事のお手伝いをしながら成長する物語」選んだとしましょう。そしてコンセプトとして「5~6歳のこどもをターゲットに、あまり世に知られていないお仕事も含めて様々なお仕事を紹介する」というターゲットを意識するものもあれば、「ある最新の技術を駆使してテレビシリーズの制作にチャレンジする」という「これを作って何を成し遂げたいのか」という考えがあります。

コンセプトの方向性は作品によっては様々ですが、[何を・何のために・どの様に]作るのか、作品制作の道しるべとなります。この作品のコンセプトが明確であれば、チームのスタッフ全員がどこに向かっていくべきなのか、進むべき道を把握できるようになります。また、作品を見る側の視聴者を魅了するポイントと結びつくことができます。

コンセプトがこの作品を導いていく訳ですから、最初の内によく考えておきましょう。

ストーリーを考える

まずは「あらすじ」を考える。誰が、どこで、何のために、何をしているのか、そうしてどうなるのか。「カッコイイ戦闘のシーンや派手なアクションをたくさん入れたい」とか「可愛いコスチュームを着たポップでラブリーな感じにしたい」という断片的なアイディアだけではなく、作品を通して「結局何を語るのか」ということが肝心で、この時点から「起承転結」のある展開を考えることが大事。

フォーマットを決める

アウトプットは何を想定しているのか。最終形態を決める。この作品は劇場で公開する予定なのか、TVシリーズなのか、オンデマンド配信なのか?どのメディアで作品をお届けするのかによって、作品の長さや製作本数が変わってきます。また、どんな形で見て貰えるのか?大型スクリーン、TV画面、タブレット端末、スマホの画面、など、お客さんが何を通して見て貰うのかによっても、作品の作り方や最終形態が異なります。

スケジュール表をつくる意味

ここでリアルな話ですが、作品を作るためには「予算」というものがあります。当然ながら、その予算内で作品を完成させるためには、どの部分にどうお金をかけるかを考える訳ですが、「いつまでに完成しなければいけない」ということも含めて考えねばなりません。それを実現できるためには、どの工程をいつまでに終わらせれば良いのかを定める「スケジュール」を作る必要あります。ものごとがスケジュール通りに進行できるかどうかは、プロデューサーや制作郡の腕の見せどころですね。

誰が企画書を書くの?

プロデューサーが企画を考えることが多いですが、監督自身が企画の案を出す場合もありますし、企画部というグループで作る場合もあります。作品ごとに異なりますが、基本的には「こんな作品を作りたい!」と思った人が書きます。

監督とプロデューサーの違いは何?

監督とプロデューサー

この二つがごっちゃになりやすい理由のひとつは、「誰々監督の作品」とか「誰々プロデュース作品」という風に宣伝されることが多いからだと思いますが、この作品は誰が作ったの?という単純な質問に対して、時には監督だったり、時にはプロデューサーだったり、答えのレベルでは同じ位置づけが与えられているからです。言ってみれば、監督もプロデューサーも両方、一緒に、この作品を作っています。しかし、それぞれがケアしている部分が全く違うのです。

監督は、「この作品はこういうイメージで作りたいので、こういうやり方で行きたいと思うんだけど、みなさん協力してね。」と言って、それぞれの役職の方々に的確な指示を出して、作品全体のクオリティをコントロールする人です。工事現場の現場監督に例える人がいますが、私に言わせてみれば、指揮者の様ですね。
多くのスタッフを束ねて作品を作らなければいけない訳ですが、良い監督になり得るための条件は、作品の完成のビジョン(仕上がりのイメージ)をしっかり持っていることと、それをスタッフにきちんと伝えられることです。即ち、コミュニケーションが最も大事な武器だと思います。また、物事がスムーズに動いている時だけ饒舌トークをするのではなく、荒波が立つ時にこそ舵をしっかり取り、スタッフと一丸となって船を最終目的までたどり着かせるのが、監督として最も力を発揮する時ではないでしょうか。

プロデューサーは、「企画を立てる人」「お金を出す人」とだけ思われがちですが、スケジュール内に目標のクオリティのものが出来上がるために、現場の制作の進行を調節することが最も大事な役割です。締め切りに間に合わせることも含め、出来上がった作品が良作なのか駄作なのかは、最終的にプロデューサーの責任になります。また、プロデューサーと監督が思い描いている作品を作るためには的確なスタッフを集める訳ですが、そのスタッフのモチベーション維持にも一役買っています。お金さえ出せば何とかやってくれる、または、安い賃金でこき使って倒れたら代役と摩り替える、という気持ちで自分の都合の良いように人を働かせてばかりいると、優秀なスタッフも離れ、良い作品制作にはつながりませんね。プロデューサーとして管理能力は必要ですが、スタッフをどれだけ大事に扱い、目的を果すように上手く仕向けるか、ということの方が一層大事に思えます。
また、出来上がった作品の配給や、製作にかかった資金の回収(リクープ)も考えるのがプロデューサーの役割です。

「楽園追放」© 東映アニメーション・ニトロプラス/楽園追放ソサイエティ

「楽園追放」© 東映アニメーション・ニトロプラス/楽園追放ソサイエティ

シナリオ

脚本のこと。誰がどの場面で何をするのか、何を言うのかが記されている、映像の構成に必要な要素が書かれたもので、作品の設計図になるものと言えます。シリーズの場合は、各話数で何が起きるのかが記されているシリーズ構成というものがあり、それを基準に各話数のシナリオが書かれる。

シナリオライターとは 

シナリオを書く担当の人。脚本家とも呼ぶ。アニメーション作品の場合は、アニメに特化したシナリオライターにシナリオを書いて貰うのが一般的。作品によって、監督自身がシナリオをも手がけることがある。

絵コンテ

これからどんな映像を作るのかが記された設計図となるもの。シナリオを元に作成されますが、どんな絵にするのか、どんな演出意図があるのか、どんなカット割りで、どんなカメラワーク使うのか、台詞や音響効果の入り方などの指示も含め、制作スタッフ全員と共有したい内容が書かれています。

絵コンテは誰が描くの?

基本的には演出家が描きます。作品によって、監督が演出を兼ねており、自ら絵コンテを描くことがある。TVシリーズなど話数が多いものは、各話で絵コンテの担当が変わることがあります。ただし、皆が好き勝手に自分なりの絵コンテを描いている訳ではなく、TVシリーズ構成の枠組みを考慮して、作品全体の流れと世界観を守って、各話の見所を最大限に引き出すための演出を盛り込んで描いています。

監督と演出の違いは何?

監督と演出の違い

いい質問ですね。これらの役職を英語に訳すと、どちらも Director ですからね。監督と演出を同じ人物が担う場合もあります。しかし、アニメーション制作においては、それぞれの役割がやはり違います。

監督は、作品全体の内容と品質の最高責任者で、「こんなイメージの作品にしたい」という目標をスタッフに共有し、それぞれの制作工程で思い描いたものが上がってくるように、それぞれの役職に適切な指示を出します。特に、デザインや設定周りが作品のイメージ通りに仕上がるようにコントロールをします。

演出は、監督の思い描いているイメージを、実際の映像の中でどんな絵にするのかを決める人です。各場面の見せ方や、その中での登場人物の演技などを決め、アニメーターなどに指示を出します。シリーズの場合は、各話それぞれに別の演出家が立ち、その話数の出来上がりの責任者とも言えます。監督はその話数の制作の指揮を演出に任せて、シリーズ全体を見渡して総括するという形を取ることが多い。
「この作品はどんなイメージの絵にしたい」を考える担当と「そのイメージを格好良く見せるためにはどうすれば良いのか」を考える担当という風にすみ分けがハッキリしている場合が多いけれど、作品によっては監督と演出の役割配分が異なる場合もあるし、同じ人物が監督・兼・演出をやることもあります。

設定資料

作品全体のデザインを統一するため、設定資料を作成します。その中には、キャラクターの設定やデザイン画、乗り物やロボットのデザイン(メカ設定)、場面などのデザイン(美術設定)があります。

©Quadrangle / BBKBRNK Partners

ブブキ・ブランキ ©Quadrangle / BBKBRNK Partners

菱川パトリシア

菱川パトリシア

株式会社アイケイアイエフプラス(IKIF+)

CGディレクター・グラフィックデザイナー。『少女終末旅行』(TVシリーズ)、『BAYONETTA BLOODY FATE』(劇場作品)などのCG監督を務める。その他に『ゼロから始める魔法の書』、『モンスターハンターストーリーズ RIDE ON』、『うたわれるもの 偽りの仮面』、『映画ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史』、『ドラえもん のび太の新魔界大冒険』、『イノセンス』、『スチームボーイ』などの制作にも携わる。 アニメーション作品の制作と並行で、東京造形大学・東京工芸大学でアニメーションの講師としても務めている。

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