チュートリアル / もしもMotionBuilderでプリビズをしたら
第4回:3D立体映像のプリビズ
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9月15日に開催されましたAutodesk University Japan 2011にお越し頂いた皆様、ありがとうございました。プリビズについてできるだけわかりやすくお話したつもりですが、楽しんで頂けましたでしょうか?限られた時間内で話すというのは難しいものですね。
さて、今回は、講演の中でもふれました3D立体映像のプリビズについてお話したいと思います。
図のように、それぞれの目に対して表示される映像の位置関係によって、飛び出し感や奥行き感が変わるわけですね。
この映像の位置関係を「視差」と言いますが、これをコントロールすることによって3D立体映像を表現していくことになります。
飛び出し感や奥行き感は、この基準に沿ってつくられます。そこで問題になるのは、飛び出し感と奥行き感のバランス。目の前10cmのところに指を立てて見て下さい。寄り目で指を凝視していますね。その時、遠くのものはどういう風に見えていますか?おそらく、ピントがあっていない二重像になっていると思います。逆に、ずっと遠くのものを見て下さい。そこで先ほどと同じ位置に指を立てて見てください。先ほどとは逆に、指はピントがあっていない二重像になっていますね。そうです。現実の世界では、強い飛び出しと深い奥行きはひとつの画面の中で共存ができないのです。
ですが3D立体映像では、現実の世界とは違って、飛び出しと奥行きを共存させねばなりません。見る人によって見る場所が違うからです。ですから制作する場合には、このことをよく理解して、スクリーン面と視差を設定することが必要となるわけですが、それは非常に難しい作業になります。そこでプリビズが威力を発揮します。制作をスタートさせる前に、3D立体空間をどのように構成するかをしっかりと設計する。このことが、その作品の良し悪しを決するのです。
ですが、左右のカメラ間距離(インターアクシャル)やスクリーン面(コンバージェンス)は数値で入力しなければなりません。前述しましたように、視差にしてもスクリーン面にしてもこの位置でなければならないという明確なものは何もありません。全ては見る側の感覚次第です。ですから、インターアクシャルにしてもコンバージェンスにしても、数値を入れては確認し修正するという試行錯誤を繰り返さないといけません。これは非常に手間がかかる作業になります。
そこで考えました。なんとか感覚的にこれらを制御できないものかと。結果つくり上げたのがAutodesk MotionBuilder 2012を使った3D立体プリビズシステムです。PCにゲームで使用するコントローラをUSB接続し、キー入力により各数値を上下させます。これを使えば、監督やカメラマン、VFXスーパーバイザーといった方々が、数値が幾つかなんて気にすることはなく、感覚的に視差(立体感)を制御することができるようになります。あとは、そこで得られた数値を実際の3D立体カメラリグやCGソフトウェアへ反映させれば良いわけです。
MotionBuilderは、外部機器のドライバーを持っているので、特殊なプラグインなど開発することなく、外部機器を接続し、新たな機能を付加させることが可能です。Mayaのような3DCGソフトウェアではそうはいきません。モーションキャプチャのような様々な外部機器入力をサポートしてきたMotionBuilderであればこそできるのです。
このシステムはまだ完成の域には達してはおりませんが、幾つかの作業を経験しながら向上を図っています。日本の3D立体映像制作をよりよいものにするお手伝いができればと考えています。
このシステムを、10/20(木)~10/22(土)に東京お台場の日本科学未来館で開催される3Dフェア2011に出展します。もしご興味あればお越し頂ければと思います。
http://dcexpo.jp/program/3dfair/
さて次回は、プリビズにも活用されるバーチャルカメラについてお話したいと思います。
お楽しみに。
さて、今回は、講演の中でもふれました3D立体映像のプリビズについてお話したいと思います。
3D立体映像のしくみ
映画館や家庭用テレビで見ることが出来る3D立体映像は、両眼視差という性質を用いて表示されています。顔の前30cmくらいに指を立てて、片目ずつ見てみて下さい。右目で見える形と左目で見える形が違うはずです。これが両眼視差です。3D立体映像は、画面上に左目用と右目用の映像を表示し、それぞれを特殊なメガネなどを使って対応する目に見せ、脳の中で錯覚を起こさせて立体に見せるという仕組みなのです。図のように、それぞれの目に対して表示される映像の位置関係によって、飛び出し感や奥行き感が変わるわけですね。
この映像の位置関係を「視差」と言いますが、これをコントロールすることによって3D立体映像を表現していくことになります。
プリビズで確認すること:視差
「視差」を図で書くのは簡単ですが、実際にこれをつくりだしていくのは意外に難しいんですね。飛び出しや奥行きの基準になるのはスクリーン面なのですが、まず、それをどこに指定するのかを決めなければなりません。周りを見渡してみてください。そこは立体空間なわけですが、どこが飛び出しで、どこが奥行きかなんて明確ではないでしょう。それは人それぞれの感覚です。それなのに、基準を決めなくてはいけない。難しいと言った意味がお分かりになったでしょうか。飛び出し感や奥行き感は、この基準に沿ってつくられます。そこで問題になるのは、飛び出し感と奥行き感のバランス。目の前10cmのところに指を立てて見て下さい。寄り目で指を凝視していますね。その時、遠くのものはどういう風に見えていますか?おそらく、ピントがあっていない二重像になっていると思います。逆に、ずっと遠くのものを見て下さい。そこで先ほどと同じ位置に指を立てて見てください。先ほどとは逆に、指はピントがあっていない二重像になっていますね。そうです。現実の世界では、強い飛び出しと深い奥行きはひとつの画面の中で共存ができないのです。
ですが3D立体映像では、現実の世界とは違って、飛び出しと奥行きを共存させねばなりません。見る人によって見る場所が違うからです。ですから制作する場合には、このことをよく理解して、スクリーン面と視差を設定することが必要となるわけですが、それは非常に難しい作業になります。そこでプリビズが威力を発揮します。制作をスタートさせる前に、3D立体空間をどのように構成するかをしっかりと設計する。このことが、その作品の良し悪しを決するのです。
プリビズのためのシステム
Autodesk MayaやAutodesk Softimageなど、最近の3DCGソフトウェアはほとんどが3D立体カメラ機能を持っています。従来であれば、シーンの中にカメラを2つ設置し、コンストレインなどを駆使して3D立体カメラリグを構築しなければなりませんでしたが、現在は通常のカメラを設置するのと同じ手順で、3D立体カメラを設置することができるようになりました。ですが、左右のカメラ間距離(インターアクシャル)やスクリーン面(コンバージェンス)は数値で入力しなければなりません。前述しましたように、視差にしてもスクリーン面にしてもこの位置でなければならないという明確なものは何もありません。全ては見る側の感覚次第です。ですから、インターアクシャルにしてもコンバージェンスにしても、数値を入れては確認し修正するという試行錯誤を繰り返さないといけません。これは非常に手間がかかる作業になります。
そこで考えました。なんとか感覚的にこれらを制御できないものかと。結果つくり上げたのがAutodesk MotionBuilder 2012を使った3D立体プリビズシステムです。PCにゲームで使用するコントローラをUSB接続し、キー入力により各数値を上下させます。これを使えば、監督やカメラマン、VFXスーパーバイザーといった方々が、数値が幾つかなんて気にすることはなく、感覚的に視差(立体感)を制御することができるようになります。あとは、そこで得られた数値を実際の3D立体カメラリグやCGソフトウェアへ反映させれば良いわけです。
MotionBuilderは、外部機器のドライバーを持っているので、特殊なプラグインなど開発することなく、外部機器を接続し、新たな機能を付加させることが可能です。Mayaのような3DCGソフトウェアではそうはいきません。モーションキャプチャのような様々な外部機器入力をサポートしてきたMotionBuilderであればこそできるのです。
このシステムはまだ完成の域には達してはおりませんが、幾つかの作業を経験しながら向上を図っています。日本の3D立体映像制作をよりよいものにするお手伝いができればと考えています。
このシステムを、10/20(木)~10/22(土)に東京お台場の日本科学未来館で開催される3Dフェア2011に出展します。もしご興味あればお越し頂ければと思います。
http://dcexpo.jp/program/3dfair/
さて次回は、プリビズにも活用されるバーチャルカメラについてお話したいと思います。
お楽しみに。