トレンド&テクノロジー / 3DCG の夜明け 〜日本のフル CG アニメの未来を探る〜
第11回:松山 洋 氏(株式会社サイバーコネクトツー代表取締役社長・ゲームクリエイター)

2016.06.24

  • アニメ
  • ゲーム
松山洋(株式会社サイバーコネクトツー代表取締役社長・ゲームクリエイター)
松山洋(株式会社サイバーコネクトツー代表取締役社長・ゲームクリエイター)

日本におけるフルCGアニメーション制作への理解と振興を目指す本連載。今回は福岡県・博多に拠点を構えるゲーム開発会社サイバーコネクトツーの社長・松山洋氏にご登場いただく。同社の開発する『NARUTO -ナルト- ナルティメット』シリーズはマンガ・アニメ的な表現を採り入れたCGで人気を博している。そうした制作のスタイルから見たCGとアニメのクリエイティビティに話をうかがった。そのなかで大きな話題の柱となったのは教育と人材育成に関する課題だ。ますますシームレスになるアニメ・CG・ゲームの世界において、海外と将来を見据えた戦略図と未来図は必ずや示唆に富んだメッセージとして映るに違いない。

【聞き手:野口光一(東映アニメーション)】
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ゲームクリエイターで求められている職種、飽和している職種

東映アニメーション/野口光一(以下、野口):本日はよろしくお願いいたします。社長でありゲームクリエイターでもある松山さんには、まずゲームクリエイターという職業についてのお話から伺えればと思います。ゲームクリエイターは「子供が将来なりたい職業」というアンケートで常に上位にランクインされています。子供たちから憧れの職業と見られていることについて、松山さんはどんな印象をお持ちでしょうか?

松山洋(株式会社サイバーコネクトツー代表取締役社長・ゲームクリエイター)

松山洋(以下、松山):我々ゲーム業界はこの10年、20年で子供たちに十分に憧れてもらえるだけの仕事をしてきましたという自負がありますので、まずはその結果をありがたいなと思っています。ですが、現状を考えると楽観視はできないなというのが率直な思いです。この順位は小学生こそ上位ではありますが、年齢が上がって中高生になるにしたがって下降していくという結果も出ています。子供の頃は、「なんとなくなりたい」と思っているからこのように答えているのですが、いざ現実的に就職先として選択する年齢に近づくと「どうやってゲームクリエイターになればいいかが、わからない」という問題に直面し、順位が下がっていくというわけです。これは業界を挙げて反省すべき点だと考えています。

野口:つまり、ゲームクリエイターになりたいといっても、何をしたらなれるのか道筋がわからないということでしょうか?

松山:ええ。ゲームを作っている人の職種がどう分類されているかわからないというのが、彼らにとっての第一関門です。私は弊社の会社説明会にいらっしゃる学生さんや専門学校などで毎年3,000~4,000人にお話をさせていただいていまして、彼らぐらいになるとゲームが大きく4つの要素―企画・グラフィック・プログラム・サウンド―で作られているということは、おぼろげながら分かっている。でも、グラフィックのアーティストであれば2Dを目指すのか3Dを目指すのか。そしてその中でもアニメーターかエフェクターか、それともユーザーインターフェース(UI)かといったゴールへの視点が漠然としていて、何となく勉強をしているわけです。就職を考えるのであれば、いま企業が求めている職種と飽和している職種については、一般的なゲーム情報誌を読むだけでも分かるのに、その視点を持たないまま、何となく一生懸命にキャラクターモデルや背景を作っているわけです。

野口:飽和している職種に向けた勉強をしても、現実問題として狭き門になってしまいますね。

松山:その通りです。ビジネス的な観点から説明すると、現在開発しているプレイステーション4向けソフトには、大量のグラフィックリソースが必要です。それを日本人だけ作ると時間と予算をオーバーしてしまいますので、基幹部分以外は中国に外注するわけです。これはアメリカの開発会社が作る大型タイトルでも同様です。中国の方たちにはゼロから生み出すことをお願いするのはなかなか難しいのですが、設計図があってキャラクターデザインと三面図と仕様書を渡すと、もう工場のように本当にクオリティの高いものを作ってくれます。そしてそれは日本のスタッフの半分に近いくらいの人月単価です。ですので、それに対して日本の新卒の学生が、見よう見まねで作ったグラフィックをポートフォリオとして出したところで、就職という観点で言えばまったく勝ち目はないわけです。端的に言うと、図抜けたレベルの技術を持っている方を除いて、日本の学生はキャラクターモデラーや背景モデラーを目指してはダメなんです。

野口:どのような職種が求められているのでしょうか?

松山洋(株式会社サイバーコネクトツー代表取締役社長・ゲームクリエイター)

松山:圧倒的に足りないのは手付けのアニメーターですね。モーションキャプチャーは、エンジニアもスタジオも多いですから十分足りています。でも手付けのアニメーターはまったく足りていません。我々が手がけているタイトルですと『NARUTO -ナルト- ナルティメット』シリーズや『ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン』といったタイトルで必要な、アニメのような柔らかさのある動きをつけられる人です。なのに、専門学校のCGのカリキュラムでは、最初に箱を表示してモデリングを始め、テクスチャを貼って、シェーダーをちょっといじってから背景を作って、そのあとでようやくアニメーションという順番になる。だいたいはグラフィックモデルまでで時間切れになって、就職活動を始める時期になるから、なんとなくそれまで勉強してきたからという理由でグラフィックモデラーを目指すわけです。そういう現実を我々業界側も教えてなかったために、ものすごく不毛な勉強をさせてしまっていた。「その道は無理だよ」と教えてあげないと可哀想ですよ。そしてどの会社も不合格通知一枚で、なぜ不合格なのか、どれくらい足りなかったのか、どれくらい見当違いだったのかを教えていない。これはアンフェアでしょう。このやり方を変えないといけません。弊社が昨年12月から始めた「スーパーゲームスクール」という試みでは、アーティストコースの場合、初日からBipedという人形を使ったアニメーションの勉強をやらせています。

野口:アニメの場合、2Dの動画はある程度、海外に外注していますが、3Dの方は一部の会社を除いてほぼ海外に外注していないというのが現状です。御社のタイトルですと、マンガ的なルックですので、日本のリミテッドアニメのような動きを求められそうな印象ですが、そうした動きも海外の方は上手く作れるのでしょうか?

松山:我々が仕様を固めてしまえば、最近では中国の方もある程度までできるようになっています。ただ、プログラマーが側にいてフレーム単位で修正していくようなアクション部分については、そもそもの話、離れて作業を行うのが難しいので社内で行なっています。ここで、弊社が福岡に拠点をおいているという強みが活きてきます。福岡という場所は、東京へも上海へもソウルへも1時間半のフライトで行ける距離にあります。つまり、我々は東京に行く感覚で上海やソウルに行けるというわけです。極端な話、午前中にテレビ会議をしていて上手く伝わらないとなると、午後から現地に飛んで詰めるということもできるわけです。そのフットワークの軽さが福岡に拠点を置いているという理由のひとつでもありますね。

直接の声を聴かずして、業界に未来なし

野口:松山さんはジャパン・エキスポ(※1)などの海外のコンテンツイベントに積極的に参加をされていますね。近年、「クールジャパン」政策などが取り沙汰されているなか、実際のところ日本のアニメやゲームコンテンツは海外のギーク層にしか受けていないという話もあります。実際に行かれてみての印象はいかがでしょうか?

※1 ジャパン・エキスポ
2000年よりパリで毎年7月に開催される日本文化の総合博覧会。マンガ・アニメ・ゲームのほか伝統文化についての催しも開催され、多くの日本人クリエイターやアーティストがゲストとして招待されている。

松山洋(株式会社サイバーコネクトツー代表取締役社長・ゲームクリエイター)

松山:実際にはそうですね。ジャパン・エキスポしかり、E3(※2)もしかり。コンテンツ好きの、いわゆるオタク層に受けています。ですが、ムーブメントというものはそこから生まれるものですから、彼らの背中を押すしかないんですよ。

※2 E3
Electronic Entertainment Expo。 1995年より毎年6月にロスアンゼルスで開催されるコンピュータゲームの見本市。この催しに合わせて各メーカーのビッグタイトルが発表されることで知られる。

野口:ゲームを作る上での意識としては、あくまで日本人向けに作って外国人は少し意識する程度なのか、それとも最初から世界で売れるようにするのか、どちらの傾向が近いでしょうか?

松山:それでいえば、後者ですね。世界で売れるような形にしています。ただ、我々は日本人ですから自分たちの感性を信じてモノを作るしかない。ですから、外国のお客様に対しては、日本人が作った日本のゲームだと分かって遊んでもらっています。ただ、そこで弊社が他の会社と決定的に違うのは、世界で売れることに対して諦めていないという点です。

野口:どうすれば彼らに受けるのでしょうか?

松山:文化と育ってきた環境が違いすぎるので、どうすれば彼らに気に入ってもらえるかは考えてもムダです。でも嫌われないようにするという努力はできます。そこを考えていない作品は、知らず知らずのうちに彼らに嫌な思いをさせてしまっています。具体的に言うと宗教、暴力、過度なセクシーさ。あとは飲酒と喫煙。これらに関する感覚が日本と外国で全く違います。よく言われる例で言うと、お寺のマークとハーケンクロイツが似ているという事例。それが作品性に関わらないのであれば最初からそういうデザインにしなければいいわけです。これはチェックして差し替えるといった開発効率にも関わってくる話でもあります。そうしたことに気をつければいいだけなのに、無頓着に「こういうやり方しかできない」と言ったり、逆に気に入られようと自分を曲げて作ったりした結果、外国人のお客様に「そうじゃないんだけどな……」と言われて誰にも振り向いてもらえないものを作ってしまっている。

野口:そうした感覚は、現地に足繁く通うからこそ分かることでもありますか?

松山洋(株式会社サイバーコネクトツー代表取締役社長・ゲームクリエイター)

松山:そうですね。1年に十数回海外に出張する理由のひとつですね。

野口:では学生さんと接するのも同じ理由から?

松山:ええ。我々は作品を買ってくれる若い人のことをもっと知らなければいけないし、若い人に業界に入ってきて欲しいと思っています。なぜなら、これから若い世代のクリエイターが、さらに若い世代のお客様に作品を作る必要があるからです。それは自明のことにもかかわらず、経営者は10代・20代の方たちの声を直接聞いていない。それではよくないと思います。向き合わないで作っても届きませんよ。

野口:“松山洋とあそぼう”(※3)の企画もそうした思いから生まれたんですね。

※3 松山洋とあそぼう
サイバーコネクトツー20周年企画として、松山社長が単身で全国を周ってファンミーティングを行う企画。参加方法など詳細は http://www.cc2.co.jp/20th/

松山:はい。お客様と接することに対する思いからでもありますし、将来のクリエイターに対するものでもあります。今、ゲーム情報誌にクリエイターインタビューとして載るのはみんな私みたいな40代以上のオッサンばかりで、20代30代のニューヒーローがいない。もちろん弊社でも若い人材を育成して、積極的に表に出られるように打ち出してやってはいます。でもなかなか後続を育てられていない。その理由はハッキリしていて、雑誌でインタビューを受けているクリエイターやプロデューサーの大半が、若い頃からガムシャラにやってきただけだから、自分でも何をどう教えていいか分かっていないんです。そして何の手も打てないまま10年・20年と経った結果、現在の状況になってしまっています。今の若い子たちって、我々のような昭和の人間と違って、「這い上がって来い!」と言っても、マニュアルがないと上がって来ないんですよ(苦笑)。でも四の五の言っていられないんです。道しるべは出してあげないと。15年前、弊社には人事の部署もなかったので、全国の学校を周って若者にメッセージを発信して、「一緒にやっていこう」と社員を増やしていきました。それと同じことを、今年の“松山洋とあそぼう”でやろうとしています。専門学校に通っていても大半の生徒さんは「クリエイターになれたらいいな」ぐらいの感覚でいます。そこで、「なりたい自分になるんだよ!」と。どうすればなれるのかを教えてやる、その闘い方は間違っているから正してやると、ひとつひとつ彼らの心のスイッチを押して回っているんです。

野口:そして、「サイバーコネクトツーに来い!」と。

松山洋(株式会社サイバーコネクトツー代表取締役社長・ゲームクリエイター)

松山:正直に言えば、そういうことです(笑)。でも、ウチに入るのが無理だったら、せめて他のゲーム会社に入って、ライバルになってくれと思っています。そうすると競いあって業界が盛り上がるじゃないですか。極端な話、専門学校を出て地元のIT企業とかデザイン会社に入って、特にやりたくない仕事についても給料はもらえて生きてはいける。「バカ野郎。夢を見ろ、世の中を変えろ。そのために生まれてきたんだろ」と話をする。ウチの教え方は手取り足取りじゃない。「ゆっくりと能力を身につける方法もあるけど、天空闘技場のウイングさんみたいなショック療法で、今すぐ目覚めることもできる。君ならどうする?」と話をすると、ニヤリとする奴がおるわけですよ(笑)。「今、ニヤッとした君はこっち側だ。『HUNTER×HUNTER』すら読んでいない人にウチは無理だ!」と(笑)。こう言うと分かるわけです。

野口:(笑)。押してあげれば来るというのは面白いですね。

松山:もう、しつこいくらいグイグイいきますよ!(笑)。日中は、今ゲーム業界がどうなっているのか、どういう闘い方をすればいいのかという講演をします。スライドもゲーム系と非ゲーム系(アニメ・マンガ・情報処理)に分けて用意して、段階別に講演をしています。すると中にはスイッチが入る子もいて、「夜のファンミーティングに行ってもいいですか」と言ってくるわけです。

野口:それも本当に松山さんおひとりで周っているわけでしょう。

松山:会社の顔って、監督なりプロデューサーなり社長なわけですからそういう人間が降りて行かないと。ひとりで周ると言ったら社内のみんなが心配しましたからね。でも、付いてくるなと言いました。だってファンミーティングで飲んでいて、私がいらんことを言いそうになると、絶対に広報が止めに入るでしょ(笑)。それではファンのもとへ降りていったことにならないから。これまでのファンミーティングで印象的だったのは鳥取。ゲームファンばかりの集団の中に、中学1年の男子とその子のお姉ちゃんとお母さんという一組がいたんです。「どうしていらしたんですか?」と聞いたら、知り合いの知り合いから「鳥取県にゲーム会社の社長が来るらしい」と情報が回ってきたそうなんです。その中1男子はゲームクリエイターになりたいと思っているそうで、「せっかくそういう人が来るんだったら、直接お母さんが会って話を聞いてあげる」と連れてきたそうなんです(笑)。もう、お母さん大正解(笑)。この回は、ほとんどこの親子に向けて話をしていましたね(笑)。こういう経験があっただけでも、この企画をやってよかったなと思います。

野口:十年後のある日、その子がサイバーコネクトツーの面接にくるかもしれませんね(笑)。

松山:ホント、そうあってほしい(笑)。

これからの日本発コンテンツの闘い方、育て方

野口:ゲーム開発の今後についても伺えればと思います。昔は日本のゲーム業界が世界を席巻していましたが、現在は家庭用機もPCもネットゲームも世界では海外メーカーが隆盛です。まるで映画業界におけるハリウッドのように。今後は海外に全部持って行かれてしまうのでしょうか。

松山洋(株式会社サイバーコネクトツー代表取締役社長・ゲームクリエイター)

松山:海外のビッグタイトルは日本の作品と予算規模が違いすぎます。そして何十億、何百億という予算がかけられたタイトルと、我々が数億で作ったゲームも、海外では同じように$59.99で売られているわけです。おっしゃるように、これは邦画とハリウッド映画の関係と似ていて、邦画のように味のある作品を選ぶ方もいると思いますが、圧倒的多数はそうした予算がかかった派手でわかりやすい方を選ぶわけです。今や日本はゲーム後進国ですから、お金と規模では残念ながら闘えないので、我々が持っているゲーム本来の面白さで勝負しないといけないわけです。

野口:日本のクリエイターが持つ特性というのは?

松山:私自身が考えるに、日本の強みというのは、小さい島国だからこそ流通が安定しているところにあると思います。その結果、毎週ほぼ全国同時に、「週刊少年ジャンプ」が発売されて、週40本以上の大人向けの新作アニメが放送されている。そうしたものを浴びるように吸収できる環境にあるわけです。そういう国から生まれるクリエイター、発明品、作品というものはやっぱりあるわけです。たとえば『進撃の巨人』の設定とか着想のように。あの作品のように人の胸を打つ作品というのはやっぱりアイディアと演出ありきだと思うんですよ。クリエイティブの原始的な部分で勝負するなら、日本から生まれるものがそれになると思うし、もっと生まれるべきだとも思います。

野口:現在、サイバーコネクトツーではどのくらいのタイトルを開発されているのでしょうか?

松山:スマホのゲームが2作品、家庭用が5作品です。公開されているのは『ファイナルファンタジーVII』のリメイク作品だけですが、それ以外は発表待ちの状態です。そしてこれら以外にも、1年後、3年後、5年後にむけて、一部のスタッフと企画しているタイトルが5つあります。これらは水面下で動いているので、全スタッフが知っているわけではありません。その意味で弊社は企画に時間をかけますね。

野口:その企画はプロット程度のものでしょうか? それともある程度長いシナリオまで開発されるでしょうか?

松山洋(株式会社サイバーコネクトツー代表取締役社長・ゲームクリエイター)

松山:シナリオまで書きます。そして実際に契約して、ラインを動かして開発スタートとなってから完成までは、だいたい2~3年かかります。もっとかかる作品もありますが、だいたいは2年くらいで終わらせないと、使われている技術も旬のものではなくなるという、テクノロジーの進化と並走するメディアならではのジレンマもあります。

野口:昔、ゲームの開発は最初は暇だけれども最後の方はまったく家に帰れないという話を聞いたことがあるのですが、今はどうなのでしょうか?

松山:そういう会社もあるかもしれませんが、今はクオリティと物量の規模が大きいので、そういう開発の仕方はそもそもよくないですね。弊社でも残業や休日出勤をすることもありますが、頻繁にやっていると疲弊します。我々の業界では「マイルストーン」と呼んでいるのですが、プリプロダクションでも本開発でも、ところどころで節目を作って、ここまでに何々を完成させるという線引きを行なっています。そうやって定期的に波を作っているので、忙しさを均等にならしている形ですね。人数も多いので編成を固定化すると暇な人とそうでない人が生まれるので、毎月のように編成を変えて席替えをして余っている人を出さないようにしています。

野口:著書『熱狂する現場の作り方』にはそうした組織論も書かれていましたね。印象的だったのは、毎週月曜日には朝礼を行なって、スタッフも午前9時には出社するという部分です。アニメ業界では午後に出社するというのも珍しくないですから(苦笑)。

松山:15年前にサイバーコネクトツーの社長になったときに最初に始めたのはそこだったんです。出社が遅いと夜遅くまで働くようになって結局、労働時間が変わらないんです。弊社だと海外のスタッフとのやり取りもありますし、朝は早いほうがいいですよ。それにこれは、アニメ・マンガ・ゲーム・映画業界みんなで反省しなくてはいけないところだと思うのですが、子供が就職したいと言ったら親はどんな業界か気になりますよね? そんなときにちょっと調べればこういう実態が出るような業界ではいけません。子供たちに夢を作っているのに社会から後ろ指を指されるような働かせ方の業界ではダメですよ。業界全体を変えないと未来がなくなります。

野口:松山さんにはアニメ会社も経営していただきたいくらいですよ。

松山洋(株式会社サイバーコネクトツー代表取締役社長・ゲームクリエイター)

松山:(笑)。弊社にも元アニメーターの方っていっぱいいるんですよ。貯金がなくなったのでアニメ会社を辞めて「今からコンピューターを覚えるのは難しそうだけど、サイバーコネクトツーだったらアニメっぽいことをやっているし、私でも雇ってもらえるかな」と言ってやってくる(笑)。でもそれで正解(笑)。実際にやらせてみると、弘法筆を選ばずといいますか、頭のなかで絵が作れる人なので、2ヶ月ぐらいでほぼ即戦力ですよ。今はアニメ会社でも必ずデジタルを扱っているわけだから、そんな風にしてゲーム・CG・アニメの垣根を少しずつなくしていって、コンテンツ業界を変えていかねばならないと思っています。

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INTERVIEWER : 野口光一(東映アニメーション)
EDIT :日詰明嘉
PHOTO : 弘田充
LOCATION :サイバーコネクトツー

著者

野口 光一

野口 光一

東映アニメーション 映像企画部 プロデューサー