株式会社カプコン 
ロストプラネット2における新しい映像表現

株式会社カプコン ロストプラネット2における新しい映像表現
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こだわりのエフェクト表現

ゲーム中でクリーチャーが死亡した際は、凍って粉々に砕け散るという表現が行われている。このクリーチャーが凍る表現では、急に氷のモデルに置き換わるのではなく、任意のポイントから球状に変化させる「氷結表現」や「炭化表現」が行われている。

前作では破壊できるモデルをそれぞれセットして背景物への干渉を実現していた。このため、プレイヤーが干渉出来る対象は限られていた。本作では背景物への干渉や爆風で水面が波打つ様子など細かいインタラクションが大幅に強化されている。例えば、爆風に合わせて木の枝が揺れる表現では、単純な間接制御ではなくモデルに干渉する度合いを設定し豊かな動きを与えている。また、プレイヤーが着地した際に草木が反応する動きはポリゴンの変形で表現されている。こういった表現はプレイヤーに臨場感を与えゲームの世界観へ自然と導いてくれるものである。

通常ゲーム内での水の表現は非常に処理負荷がかかるものである。そこで、いかに負荷をかけずに自然に見せるかという検討が行われた。結果として、水面の質感、水面下のゆがみフィルタ、縦方向のフォグ処理の3つを組み合わせることで効果的な水の表現する判断がくだされた。

本作には雨の表現にもこだわりが詰め込まれている。ゲームのプレイ中にステージはその時間に合わせて天候変化が発生する。雨が背景やキャラクタにあたり、その当たり方がリアルタイム変化している。この表現手法として背景やキャラクタのノーマルマップに雨のアニメーションのノーマルマップをブレンドさせる方法が採用された。雨の強度に合わせて、ブレンド率を変化させるのだ。また、側面用・底面用のマップを用意し、それぞれに適応している。他にも、テクスチャの向きを統一するなどの地道な方法でリアリティあふれる雨の表現を実現している。

最新技術と柔軟なアイデアを融合させたゲーム制作

カプコンではゲームの遊びの要素を考えるために、仮マップの制作がまず行われる。仮マップの段階で敵やアイテムをセットして、仮マップをプレイしながらプレイヤーからの視点や遊びの要素が詰めて行くのだ。実際にマップを歩いてプレイ時間や巨大ボスの攻撃範囲などを体感したうえで、地形に適宜修正が加えられる。このようにして、前作で登場した雪原の他にも、新たにジャングル・水中・市街地・宇宙空間などの様々なステージマップの完成度が高められていった。

各所に障害物をセットした際に、AIキャラクタは最適なルートを自動選択する。

物語を盛り上げるリアルタイムムービーの画作りは、MTFW上のフィルタ効果で演出されている。

BloomFilter、ToneMapControl
 ブルームフィルタとトーンマップフィルタを追加することで少し印象が変わる。

BloomFilter
 ブルームフィルタは、輝度の高い部分から光が溢れ出る「ライトブルーム」表現を行う。

ToneMapControl
トーンマップコントロールは、瞳の瞳孔が周囲の光量によって光を通す量を変化させる仕組みをシュミレーションする。具体的には、暗い場所にいると目が慣れて明るく見えてくる等の現象を表現する。

ColorCorrectFilter(色補正)、lightScattering(フォグ)
色調補正とフォグ処理を加えることでまた印象が変わる。ゲームの状況に合わせて、色の印象を変えて雰囲気を出すために用いられる。砂漠の屋外を印象付ける太陽光が強いイメージを前面に出している。

ColorCorrectFilter
カラーコレクトフィルタで色調補正を行う。

lightScattering
屋外光の散乱をシミュレートする。

被写界深度
被写界深度を加えることで空気感が加わる。

エフェクト
エフェクトを追加することで迫力のある最終映像の完成である。

実は列車戦の制作では、プレイヤーが乗る列車は固定させたままで周りの風景を動かしている。爆発などのエフェクトも列車の進行方向に合わせて高速に移動させているのだ。これは2Dゲームの頃に良く用いられていた表現手法であるという。加治氏によると決して目新しい技術ではないが、カプコンではこういった遊び心を大事にしているという例としてご紹介頂いた。

「カプコンでは、「どういう遊びをしたいか」が最も大事であり、その表現方法についてアイデアの交換を行います。ロストプラネット2は、最新技術と柔軟なアイデアを融合させて作り上げた作品です。アイデアを具現化する作業で、Softimageの柔軟なアーキテクチャが大きな力を発揮したことは言うまでもありません。アーティストのこだわりと熱意にしっかりと応えてくれるSoftimageの進化にはこれからもさらに期待しています」と最後に加治氏は語ってくださった。

株式会社 カプコン
url: www.capcom.co.jp
加治 勇人 氏 (CS開発統括 制作部 CS第一制作室)

導入製品/ソリューション ・Autodesk Softimage

*上記価格は年間契約の場合の1ヶ月あたりのオートデスク希望小売価格(税込)です。

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